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コラム vol.567
  • 土地活用税務コラム

広大地を相続した場合の注意点と対策は?

公開日:2025/09/30

先祖代々から続く広大な土地を保有してきたにもかかわらず、自宅が建つだけで特段の活用をしてこなかったというケースは少なくありません。
例えば、先祖代々からの土地で、現在でも約500坪(約1,650平方メートル)あり、その土地の一部を使って自宅が建っているというようなケースです。さらに、祖父母の代から施設を建てるなどの利活用をほとんどすることもなく、相続対策として特段何もしてこなかったため、祖父母から父に相続した際には、相続税の支払いのために、約半分の土地を売却せざるをえなかったということもあるでしょう。
立地条件が悪くない場合は、当然、多くの建築会社やハウスメーカーからさまざまな提案がきていると思われますが、事業リスクを恐れ、金融機関からの借り入れ、支払いに不安を持つ人も少なくありません。しかし、それでも固定資産税の支払いや管理費用は必要で、コストはかかり続けます。

広大地といってもさまざまな状況がありますが、次の世代へと相続する際に、相続税分のキャッシュがないと、また土地を売却する必要性も出てきますので、何か対策をしたいところです。せっかくの先祖からの土地ですから、なんとか守りたいものです。
単純に、500坪の土地に、きょうだい3人の自宅を建てたとしても、建設費はかかりますし、分割した分の相続税は各きょうだいにかかってきます。しかも、まだ余剰地があります。

遊休地を活用して不動産賃貸事業を開始する

まず考えられるのは、施設を建てて、不動産賃貸事業を始めることができるかどうかです。
当然、不動産賃貸業を始めるためには、用途地域の条件が合わなければなりません。用途地域とは、都市計画法に基づいて定められた土地利用のルールのことで、市街地の環境を維持増進するために市街化区域を大きく、住居系、商業系、工業系の3種類に分かれ、さらに13種類の地域に分けたものをいいます。
それぞれの区分において「建てられる建物」と「建てられない建物」が明確に定められており、建物の高さや規模、建ぺい率、容積率などの具体的な制限も設けられています。そのうえで、周辺地域の状況、土地の条件などによって検討することになります。
法的な条件をクリアし、さらに賃貸需要が見込まれる土地であるならば、地域の状況に合わせて、商業施設、医療・介護施設、宿泊施設などの施設建設が可能かどうか、建築会社や開発会社に相談してみるのも良いでしょう。自宅が一緒であることに制限が生まれれば、自宅の引っ越しを検討してみるのも方法のひとつです。先祖からの土地を守り、相続税のキャッシュを生み出すための方策を検討します。

大きな土地は相続税を減額できる

広大な土地を1人が相続したとしても、「地積規模の大きな宅地の評価減」を活用することで、相続財産の評価減を受けることができます。この制度は、面積が広い土地に対して、評価額を減額する仕組みですが、地積が広いほど利用価値が限定され、売買や活用が難しい側面があることに考慮された特例措置です。たとえば、ひとつの大きな土地を戸建て住宅用として活用する場合、敷地内に道路をつくったり、開発費用がかかったりしますので、その分の減った価値が評価額に反映されます。
「地積規模の大きな宅地の評価減」にあてはまる地積の要件は、三大都市圏においては500m2以上、三大都市圏以外では1,000m2以上とされており、地区区分は、路線価地域の場合、「普通商業・併用住宅地区」または「普通住宅地区」です。
ただし、以下の(1)~(4)のいずれかに該当する宅地は適用できません。

  • (1)市街化調整区域に所在する宅地(一部開発行為を行うことができる区域を除く)
  • (2)都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
  • (3)指定容積率が400%(東京都の特別区は300%)以上の地域に所在する宅地
  • (4)財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

相続人それぞれに相続することを念頭に、分筆し賃貸住宅を検討する

大型の施設が難しければ、賃貸住宅を検討しましょう。その際、将来の相続を考え、土地を分筆し、きょうだいそれぞれが賃貸住宅を経営できるように計画するのもひとつの方法です。そうすると、きょうだいそれぞれが収益を生む資産を持つことになり、相続税の支払いに充当させることも可能です。
相続までに時間があると想定される場合は、相続時精算課税制度を活用し、相続時までに相続税を用意できるようにすることも可能でしょう。
自宅の場合は、自用地評価額となり、評価額は、路線価方式または倍率方式で計算しますが、賃貸住宅などを建ててご入居者に貸しているときは、その土地は貸家建付地となり、相続税評価額が減少します。
また、賃貸住宅を経営することで、小規模宅地等の特例が活用できる可能性もありますので、こうした税に関することは税理士に相談しながら進めてください。

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