物流の「2024年問題」の解決に向けて
「荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの実証実験」を開始
2024/09/25
2024/09/25
「物流2024年問題」によるトラックドライバーの労働力不足は、加速化・深刻化しており、物流需要が変わらない中、配達量の減少や配達遅延などが懸念されています。
トラックドライバーの長時間労働は長年問題視されてきましたが、中でも今重視されているのが業務中に発生する「荷待ち時間」「荷役時間」です。
荷待ち時間とは、荷物の積み降ろしを行うために、物流倉庫内外でトラックドライバーが待機する時間のことです。荷物の積み降ろし場所(トラックバース)での時間帯による車両の集中、また、物流施設内での処理能力の問題や突発的なオーダーへの対応など、さまざまな原因から荷待ちは発生します。
荷役時間とは、輸送機器への積み降ろしや運搬、積み付け、取り出し、仕分け、荷揃えなど、倉庫内の作業全般を指しますが、ドライバー自身が関与しているケースも多く、荷待ち・荷役時間は、トラックドライバーの長時間労働の要因となっているだけでなく、輸配送業務の生産性低下の大きな要因となっています。
国土交通省が発表した「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」「2021年(令和3年度)トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」によれば、全体の運行のうち荷待ち時間があったのは24%でした。
また、トラックドライバーの拘束時間に関して、荷待ち時間がない運行では10時間38分、荷待ち時間がある運行では12時間26分と、当然ですが、荷待ち時間がある運行のほうが、拘束時間が長くなっています。
図1 荷待ち時間の有無

1運行あたり、どれだけの荷待ち時間が発生しているかに関しては、平均は1時間34分。1時間以上の待ち時間が半数以上、2時間以上の待ち時間が17.7%も存在していました。
図2 荷待ち時間の発生状況「1運行あたりの荷待ち時間の分布」

しかも、こうした荷待ち時間の実態を、荷主側はほとんど認識できていないことも判明しました。荷待ち時間が発生していることを認識していた荷主は約20%に過ぎません。
図3 荷待ち時間の発生有無

出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」
国は、こうした実態を改善するために、ドライバーの拘束時間、負荷の減少に向けて、2023年6月、荷主事業者などに向けたガイドラインを公開しました。
その中で、発荷主事業者・着荷主事業者の取組事項として、「荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握」「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ル-ル」が、最上位項目として記載されています。
荷待ち時間について把握できていない荷主が多い状況を鑑み、まず、時間の把握の必要性を説いています。「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ル-ル」は、荷待ちや荷役作業にかかる時間を計2時間以内にすることを荷主に求めルール化したものです。
また、「トラックGメン」を設置し、発荷主企業のみならず、着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化するとしています。
大和ハウス工業株式会社とキヤノンマーケティングジャパン株式会社は、前述したような「荷待ち・荷役作業の実態」「国からのガイドライン」を踏まえて、物流施設におけるトラックドライバーの荷待ち・荷役時間を可視化し、改善を支援するシステムを開発しました。
そして2024年11月1日より、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL平塚」において、当システムの効果を検証するための実証実験を開始します。効果検証後、2025年以降に、「DPL」への本格導入を目指しています。
大和ハウス工業は、物流デベロッパーとしてさまざまな物流の効率化につながる先進的なサービスの提供に取り組んできました。例えば、2018年からは開発する物流施設「DPL」に「トラックの入場予約システム・オンラインチェックインシステム」(※株式会社Hacobuが開発。)が導入できる環境を整備。ほかにも、物流効率化につながるコンサルティングサービスやロボットの導入支援など、主事業者とその物流委託会社となるテナント企業に対し、物流の効率化・自動化に向けた支援を行ってきました。
今回のシステムは、カメラが撮影する映像から物流事業者ごとにトラックを自動検知し、物流施設入場からトラックバースへの移動、バースでの荷役作業、物流施設退場までの記録を自動で把握、蓄積。また、映像をキヤノンMJグループ独自の作業解析技術を用いて、映像からドライバーの行動をAIが分析し、荷待ちや荷役の時間を計測することで、トラックの出入り時間の把握だけではなく、積み降ろしなどの荷役作業の分析まで行い、ドライバーにかかわる作業実態を可視化します。
図4 荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの概要図

物流における業務オペレーションの効率化を図ろうとするならば、まずは実態把握が不可欠です。そしてその実態に応じて、マテハン機器やシステムの導入などのソリューションを検討することが必要です。
大和ハウス工業においても、これらのデータに基づき、トラックドライバーの時間を要した点について、動作分析により課題を把握することで、荷主事業者やテナント企業の物流効率化に向けた改善策を提案し、実施を支援します。
当システムの開発は、物流の「2024年問題」にも対応する効率化ソリューションの採用に向けた第一歩となり、物流施設が単に荷物を保管する建物としてではなく、物流業務の効率化に資する役割と機能を持つことにもつながります。そして、物流施設内の作業実態を可視化する機能を「DPL」に導入することで、物流業務の効率化機能を持った物流施設が物流業界全体に広がるきっかけになることが期待されます。
映像とAIを活用した荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの実証実験を大和ハウス工業の物流施設「DPL平塚」で開始
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