ハード・ソフト両面から
BCPとしての価値を提供する
物流施設
2025/06/23
2025/06/23
近年、日本各地で大規模な自然災害が相次いでいます。2011年の東日本大震災は言うに及ばず、ここ10年を振り返っても、山梨県での記録的大雪(2014年)、関東・東北豪雨(2015年)、熊本地震(2016年)、九州北部豪雨(2017年)、北海道胆振東部地震(2018年)、西日本豪雨(2018年)、房総半島で大規模停電を引き起こした台風15号(2019年)、東日本各地に浸水被害を引き起こした台風19号(2019年)、熊本豪雨(2020年)、北陸での記録的大雪(2021年)、埼玉県から東京都に流れる中川の大雨による氾濫危険情報(2023年)、能登半島地震(2024年)など、大規模な自然災害が毎年のように発生しています。
こうした災害が物流や社会インフラに与える影響は甚大であり、災害時のサプライチェーンや事業の継続を支える物流施設の重要性はますます高まっています。
まず、物流が止まると、その影響は被災地にとどまらず、ほかの地域のビジネスや生活にも大きく波及します。東日本大震災では、被災地から遠く離れた地域でものが不足するという事態が発生しました。そして、物流施設が災害による被害を受けてしまうと、入居するテナント企業の事業が止まる可能性もあり、事業やその事業に関わるサプライチェーンに大きな被害を与えてしまいます。
また、BCP(事業継続計画)を考える上では、地域の方々にとっての「防災」という観点も忘れてはいけません。被災された地域の方々の避難場所、支援物資の提供も重要な課題です。一刻も早い、安全な場所への避難は、災害時の対策として必要不可欠なことです。
大和ハウス工業は物流施設の提供者として、テナント企業のBCP、そして、地域にお住まいの方々への防災対策として、ハード・ソフトの両面から支援しています。
物流施設の免震化が広がった背景には、東日本大震災での経験があります。当社が提供した都内の物流施設では、震災の半年前に竣工し、稼働間もない頃に被災しましたが、免震構造により荷崩れがほとんど発生せず、すぐに業務を再開できました。
大和ハウス工業では、2011年以降、大型物流施設には免震構造を採用し、「DKB®弾性すべり支承」といった共同開発※1の技術開発を進めるなど、災害時の被害を最小限に抑え、テナント企業の早期事業再開を支援しています。
ほかにも、沿岸部や河川に近い物流施設では、浸水対策として、水が到達しない高さまでグランドレベルや床面を上げたり、寒冷地仕様として、雪置きスペースの設置や、豪雪時に影響を受けにくく雪庇対策としても有効な中車路構造にしたりするなど、さまざまなBCPとしての設計を行っています。
また、「PPA※2モデル自家消費型太陽光発電設備」をマルチテナント型物流施設(DPL)へ順次導入しています。これは、施設の屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力をテナント企業が使用できる仕組みで、BCPとしても有効な施策です。
さらに、DPLでは蓄電池を設置し、停電時にも自前で電力を確保できる体制を整えています。
こうした取り組みは、災害時の事業継続を支える先進的な対策として、DPLの大きな特長のひとつとなっています。
※1 黒沢建設株式会社、株式会社ビー・ビー・エムとの共同開発
※2 Power Purchase Agreement(パワー・パーチェース・アグリーメント・電力購入契約)の略
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20211001140257.html
「DPL」は、高速道路や幹線道路など主要な交通インフラの近くに立地していることが多く、非常時の備蓄倉庫としてはもちろん、避難所や他地域への物資運送拠点としても優れています。また、近年は物流施設の大型化が進んでおり、支援物資の仕分けや保管、在庫管理に必要な十分なスペースが確保でき、視認性の高い大型の建物は、地域の避難拠点としてランドマーク的な役割も果たします。
DPLでは、建物の耐震性を高めるだけでなく、非常用電源やかまどベンチなどの設置により、BCPにも対応。災害時にはトイレが大きな問題になることに備え、一部の施設では、下水道に直結した非常用便槽を設置し、非常時でもトイレが使用できる体制を整えています。

かまどベンチ/非常用便槽
DPLでは、自治体と連携し、安心・安全な地域づくりを目指して防災協定の締結を進めています。現在、神奈川県をはじめ全国18の自治体と防災協定を結び、災害時には建物の共用部を地域住民の一時避難場所として開放するほか、支援物資の一時保管や集積所としての活用、駐車場の提供も想定しています。
また、DPLは一時避難所としての利用に加え、行政からの支援物資を受け入れ、各地の避難所に分配するための二次拠点としての活用も想定しています。

物資輸送拠点としての利活用
2019年の台風19号で多摩川の氾濫が危惧された際に、DPL国立府中を地域住民の避難場所として提供しました。住民の方々は自家用車でそのままランプウェイの2階から5階に駐車し、約100台を収容。ラウンジを開放して、給湯室やトイレ、仮眠スペースとして提供し、約70名の方に復旧まで過ごしていただきました。

避難時の車路の様子/避難時のラウンジの様子
2023年に埼玉県三郷市を流れる中川が集中豪雨によって氾濫が危惧された際に、DPL三郷Ⅲで地域住民の避難協力を行いました。この時はテナントが稼働中だったこともあり、4、5階の車路に最大32台程度の乗用車が避難。ラウンジおよびトイレを開放し、利用していただきました。
DPL三郷は三郷市と防災協定を締結しており、避難要請が出される場合、三郷市のホームページに受け入れ案内が掲載され、それを見た地域住民の方が避難されました。
災害への備えとして、入居テナント合同の防災訓練を実施しています。消火訓練やAEDを用いた心肺蘇生訓練など、従業員が自らの身を守る訓練に加えて、テナント同士の連携を深める機会とすることで、災害時における共助体制を創出。職場での被災や帰宅困難に備えて、1,500食分の備蓄品を保管しています。
DPL広島観音では、広島市が主体となって警察や自衛隊と合同で行う広域訓練に参加しました。震度6強の地震が発生してから3日後に国からの支援物資が届くという想定のもと、避難物資の仕分けや市内の避難所への配送訓練が行われました。
災害時に大切なのは地域とのつながりです。DPLでは、平常時から地域住民の方々との共生を大切にし、周辺地域のまちづくりにも配慮した開発を推進。一部施設では、施設内のコンビニエンスストアや食堂、トイレなどの共用部を地域住民の方々にも開放しています。
さらに、避難時の心理的なハードルを下げるため、施設見学会や社会科見学の受け入れ、テナント企業と合同の周辺ごみ拾い、地域住民・テナント従業員向けワークショップ、施設ロビーでの写真展など、地域交流イベントを積極的に開催。こうしたイベントを通じて、地域とのつながりを深めています。
大和ハウス工業ではこれらの活動を「DPL地域つながるプロジェクト」と名付け、これからも地域共生活動を推進していきます。
DPL流山Ⅳは千葉県流山市と防災協定を締結しており、災害時に物流施設をどのように活用できるかを知る機会として、最新設備を備えた施設の見学や、VR・AR技術を活用した災害体験プログラムを提供しました。
また、DPL流山Ⅳは集中豪雨や台風などの災害発生時に車で避難可能な施設であることから、車での避難を想定したイベント「避難ザ・ライド」を実施。実際にスロープを使って屋上駐車場まで車で上がる「縦方向の避難」を体験していただきました。

「ソナエル防災in流山」の当日の様子
災害の発生は予測がつかないものです。だからこそ、日頃からの備えなくして、BCPは成り立ちません。大和ハウス工業では、予測不可能な災害に備え、テナント企業の事業継続計画、サプライチェーンの維持対策に加えて、地域住民の方々に防災拠点として活用いただけるよう、ハード面、ソフト面の両面からの施策をこれからも継続していきます。
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