大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

過酷な夏の温度上昇に対応。
工場や物流倉庫での熱中症を予防する
作業環境をつくる「低放射折板屋根」

2025/09/26

  • #熱中症対策
  • #働き方改革

近年の夏の暑さは体感的にも以前とは比較にならないほどになっており、工場や倉庫内で働く人たちにとって過酷な環境となっています。工場や倉庫内などの現場は、外部からの直射日光に加えて機器からの排熱など、一般的に、倉庫や工場はその構造から熱や湿度がこもりやすいといわれており、体調不良や熱中症など、大切な従業員の健康に悪影響を与えるリスクが高まっています。従業員の健康管理や業務の安定した稼働のためにも、倉庫内や工場での暑さ対策の徹底が求められています。

猛暑日が増え続ける日本の夏

日本各地で厳しい暑さが続いています。気象庁の観測によると、1910年以降(熱帯夜については1929年以降)、真夏日(30℃以上)・猛暑日(35℃以上)・熱帯夜(25℃以上)の日数はいずれも増加しています。特に猛暑日は1990年代半ばを境に急増しており、近年は顕著な上昇傾向がみられます。

棒グラフ(緑):各年の日最高気温35度以上(猛暑日)の年間日数(全国13地点における平均で1地点あたりの値)、折れ線(青):5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向
出典:文部科学省 気象庁「日本の気候変動2025 大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書」(2025年3月)

この傾向は2025年の夏も例外ではなく、観測史上最も暑い夏となりました。気象庁によると、全国的に平年を大きく上回る高温が続き、1898年の統計開始以降1位を記録。各地で過去の猛暑記録が更新されています。(気象庁HP「2025年の梅雨入り・明け及び夏(6月〜8月)の記録的高温について」より)

室内作業でも増える熱中症

こうした猛暑日の増加により、熱中症になる人も年々増えてきています。2024年5月〜9月の全国における熱中症の救急搬送者数の累計は97,578人と、2008年の調査開始以降最多となりました※1。熱中症は屋外だけでなく室内でも多く発生しており、特に工場や倉庫などで作業する製造業では約46%が室内作業中に起きています※2
熱中症は初期症状を見逃すと重症化し、場合によっては労働災害などの事故につながる恐れがあります。そのため、施設内での熱中症リスクの軽減策が近年ますます求められています。

  • ※1 総務省消防庁「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」より
  • ※2 厚生労働省HP「令和3年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」より

夏季の気温と職場における 熱中症の災害発生状況(H24~)

出典:厚生労働省「職場における熱中症1対策の強化について」

工場や物流倉庫では、トラックやトレーラーの出入りのためにシャッターの開放時間が長く、空調設置が難しいケースもあります。高温環境下でも作業を続けざるを得ない現場は少なくありません。こうした施設では、夏の暑さが過酷な作業環境を生み出し、人材不足の大きな要因にもなっています。

職場での熱中症対策が義務化

国も熱中症対策を強化しています。2021年4月に厚生労働省が「職場における熱中症予防対策要綱」を策定。さらに2025年6月からは、労働安全衛生規則の改正により、事業者に対して職場での熱中症対策が法的に義務づけられました。対象となるのは、WBGT値(暑さ指数:Wet Bulb Globe Temperatureの略)が28℃以上、または気温が31℃以上となる環境で、連続1時間以上または1日あたり4時間を超える作業です。
事業者は、WBGT値が基準値を超える場合には、冷房による作業環境の改善、作業の強度を軽減する工夫、あるいはより涼しい場所への作業変更といった対応が求められており、さらに、WBGT値の測定や記録、直射日光を遮る屋根の設置、冷房付き休憩所の整備、作業時間の短縮、水分・塩分の定期摂取、通気性の良い服装の着用、作業中の巡視、労働衛生教育の実施など、さまざまな予防措置を計画的に講じる必要があります。

放射熱を抑えて快適な作業環境をつくる「低放射折板屋根」

大和ハウス工業では、こうした背景を踏まえ、2016年に屋根からの放射熱を抑制する「低放射折板屋根」の開発に着手。2019年には一部エリアで先行運用を開始し、2023年1月から対象エリアを拡大して本格運用をスタートしました。
放射熱とは、物体表面から放出される電磁波(遠赤外線)が他の物体に吸収されて発生する熱のことをいい、高温の物体ほど強い電磁波を放出します。炭火にも見られる現象で、炭火に手をかざすと触れていないのに熱さを感じるのは、空気が熱いのではなく炭火が赤外線(電磁波)を放射しているためです。赤外線が体に吸収されて熱に変わることで熱さを感じるため、低放射折板屋根は、屋根が高温になっても、放射をさせない技術で対策を行います。

低放射折板屋根が施工された様子

放射熱を80%以上抑制し、室内の体感温度を3℃低減

従業員の身体的負担を軽減するためには、建物自体の暑さ対策も重要です。夏は水平面日射量が大きいため屋根が高温になりますが、特に屋根面積が大きな工場や倉庫は、その影響を大きく受けます。夏季の折板屋根は日射によって表面温度が70℃を超えることもあり、高温になった屋根から室内に強い放射熱が作用して、室温上昇の大きな要因となります。そのため、屋根の暑さ対策が作業環境改善のカギとなります。
低放射折板屋根は、一般的な折板屋根の下面にアルミ系遮熱シートとガラス繊維糸断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材を接着することで、この放射熱を効果的に軽減。一般的な折板屋根に比べて放射熱を80%以上抑制します。2018年に実施した実証実験では、低放射折板屋根を採用した室内の体感温度が、一般的な折板屋根の室内と比較して3℃低くなることが確認できました※3
低放射折板屋根は、数多くの折板屋根を施工してきた大和ハウス工業により実現できた、オリジナル技術(関連特許取得出願済み)です。

  • ※3 グローブ温度計による測定結果。グローブ温度とは室温に周囲からの放射熱の影響を加味した温度で、体感に近い温度。

日射で高温になった屋根

高い施工性と導入コストの抑制を実現

建物の遮熱対策として、遮熱塗料と断熱材が一般的に利用されてきました。遮熱塗料は屋根面に塗布することで日射を反射し、屋根の温度上昇を抑える効果がありますが、屋根上での塗装作業が発生します。断熱材は屋根の下に敷設して熱の伝達を抑制しますが、設置のための下地施工が必要になります。
これに対し、低放射折板屋根は、工場での製造段階で屋根材となる鋼板と低放射裏貼材を一体化させているため、現場では従来の裏貼材を低放射裏貼材に置き換えるだけで導入可能です。通常の折板屋根と同じ手順で施工でき、追加の材料や特別な施工も不要。その結果、二重断熱折板屋根と同等の効果を持ちながら、導入費用は約7割に抑えられるという大きなメリットがあります。

近年の猛暑を受け、低放射折板屋根は、施工の容易さとコスト面での導入のしやすさから、今後需要が高まることが見込まれます。導入に関する問い合わせは年々増加し、導入施設の累計は50棟に達しました。さらに、法的な制約もクリアし、大和ハウス工業のマルチテナント型物流施設(DPL)で導入可能となりました。
低放射折板屋根は、工場や倉庫で働く従業員の安全性や快適性を確保し、過酷な夏の作業環境を改善する有効な選択肢の一つとなるでしょう。

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