中継物流の拠点など、SA・PAの新たな可能性を見出す、大和ハウス工業と掛川市が「新東名高速道路(仮称)掛川倉真第2パーキングエリア開発事業」協定を締結
2025/11/21
2025/11/21
「働き方改革関連法」がトラックドライバーにも適用され、時間外労働が制限されたことによって、物流事業者において、これまでの「夜間にトラックを運転し翌朝納品」という輸送スタイルを繰り返すことが実質的に難しくなり、長距離配送の代替手段が求められています。
そこで注目を集めているのが「中継物流」という輸送手法です。中継物流とは、長距離を中継地点で複数のドライバーによって分担して輸送する方法のことですが、中継地点で引き返すことができれば、日帰りでの運行が可能となります。法令順守に加え、ドライバーの負担軽減や事故リスクの低減にもつながるため、持続可能な物流体制の一つとして取組みが進んでいます。
物流に関連する多くの企業が望む「中継物流」ですが、現実は課題も残っているようです。株式会社Univearthが行った「荷主企業の物流実態調査」によれば、「中継物流」の実行段階では、さまざまな課題があることも明らかになっています。調査結果では、長距離輸送における「中継輸送」について、企業の状況を尋ねたところ、38.0%の企業が既に導入していました。(「すでに導入しており、効果を実感している」(13.0%)と「導入済みだが、課題や改善点がある」(25.0%)の合計)
2024年問題の対策としては、順当な導入率だと言える見方もあるかもしれませんが、導入済み企業(76社)の内訳を見ると、「課題あり」が「効果実感」の約2倍にのぼり、理想通りに運用できているとは言えないようです。(出典:【荷主企業の物流実態調査】中継輸送、導入企業の66%が「課題あり」。ドライバーの働き方改革の切り札に潜む「複雑すぎるオペレーション」の罠。)
理論的にはメリットの多い「中継物流」ですが、大きな問題のひとつは、中継拠点の問題です。できるだけ高速道路の出入口に近い場所で、倉庫や駐車場や荷捌きスペースなどが十分にある適地を探し、整備や設備投資、倉庫の建築を進める必要があります。
そこで注目されているのが、高速道路にあるサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の活用です。独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が実施している「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」では、「物流事業者のニーズに沿った立地や整備スキーム等のあり方を整理し、物流拠点や中継拠点と大型車の駐車マス拡充を併せた拠点を整備することで、高速道路におけるトラック輸送の効率化へ向けた対応を図る」としています。
自治体においても、SA・PAとの連携は、地域活性化、観光振興、産業振興、防災対策など多岐にわたる効果が期待されている施策です。この取り組みは、国土交通省が募集する「地域に開かれた先駆的な取組」の一環としても推進されており、すでにいくつかの自治体と高速道路関連企業が連携して、地域の課題解決や活性化に貢献しています。
例えば、産業振興という観点では、SA・PA内のレストランや売店で、地元の食材を使ったメニューの提供や特産品の販売促進、新たな商品開発、タブレット端末などを活用した新たな地域情報発信などの効果的な販売促進、そしてハイウェイオアシスなどの地域に開かれた施設づくりによって、一般道からも高速道路からも利用可能とすることによる地域住民の利用や交流などの施策が実施されています。また、防災・災害という観点からも、災害発生時に、SA・PAを防災拠点として活用することによる地域の安全・安心の確保など、さまざまな取り組みが行われています。
ただし、物流の効率化、生産性向上という観点から見ると、現在のPA・SAでは、深夜帯を中心とした混雑や大型車の駐車マス不足という指摘もあり、「トラックドライバーが休憩できない」「駐車マスでない箇所に駐車しているため車路が阻害され危険である」などの課題が挙がっています。
大和ハウス工業は、これまで中継物流システムの実現に向けてさまざまな取り組みを行ってきましたが、2025年5月、静岡県掛川市の公募を受けて、「新東名高速道路(仮称)掛川倉真第2パーキングエリア開発事業」の提案を実施しました。
本計画地の静岡県掛川倉真は東京 (205km)―大阪(290km) 間の中心地であり、物流の中間拠点としてさまざまな需要が期待されると考え、新東名高速道路接続の中継物流拠点の計画を含めた総合的な施策を計画。SA・PAを核とした道路インフラの活用は、中継物流拠点の開発と、地域活性化の課題両方の解決につながるのではないかと考えました。現在のSA・PA等で車中泊の場所不足、車中泊中の燃料費等の問題など、社会課題の解決にむけた取り組みとして、ドライバー交代、荷台交換などを可能とする施設や駐車スペース、ドライバー休憩施設及び簡易販売店施設などの併設も提案に盛り込まれました。
この計画が実施されれば、大都市間を結ぶ幹線物流拠点を創出することになり、日本のほぼ中央に位置する静岡県を、今後の物流インフラの拠点として活用することにつながる可能性もあります。災害時には、本施設を物資の保管、中継基地として利用することもでき、地方公共団体所有の高速道路近接地において、県内外への物資取集や避難拠点機能を併せ持つことも可能です。また、物流の利便性が高まり、周辺の製造業や産業の集積を図り、地域としての企業誘致を強化し、新たな雇用の創出も期待できます。
提案の結果、採択を受け、掛川市と大和ハウス工業は、「新東名高速道路(仮称)掛川倉真第2パーキングエリア開発事業」についての協定を締結しました。この事業は、新東名高速道路に接する同市倉真の市有地などに中継物流拠点を整備する市北部の活性化と地域振興を目的とし、将来のスマートインターチェンジ設置も視野にあります。
掛川市は中継拠点について、運送会社がトラックを駐車して荷物を積み下ろしする倉庫として使ったり、ドライバーが休憩したりできる建屋付き施設を想定しており、加えて、地域活性化のため物産販売や防災拠点などの用途も検討する予定です。
今後、2028年11月までに着工、2032年2月までに大和ハウス工業との借地契約締結、同5月までに営業開始という日程目標が示されています。完成すれば、日本では初の試みとなる事業で、今後の高速道路のSA・PAの活用において、先進的な事例となるでしょう。

この取り組みは、物流業界の課題解決にむけた中継輸送拠点の提供だけにとどまらず、全国の自治体が抱える、人口減少にともなう地域活性化の一助としての施策になる可能性もあり、SA・PAの活用は、多方面で有効な施策となるかもしれません。
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