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スペシャルインタビュー

低炭素で災害に強い街を目指す街区を支える
新さっぽろエネルギーセンター

大和ハウスグループが開発を手掛けた「新さっぽろ駅周辺地区G・I 街区開発プロジェクト」。2023年に街びらきした7つの建物から成るI街区は、商業施設や宿泊施設、健康な生活を支える予防医療や専門医療・地域医療、タワーマンション、子育て支援施設が集積。新たなる賑わいのエリア「マールク新さっぽろ」として注目を集めています。また、低炭素で災害に強い街を目指すため、I街区全体に電気と熱エネルギーを集中供給するエネルギーセンターを設置しているのも大きな特徴です。
この「新さっぽろエネルギーセンター」を管理運営されている北海道ガス株式会社さまのご担当者にお話を伺いました。

北海道ガス株式会社
エネルギーシステム部
エネルギーシステムグループ
主任 奥泉 文菜 様

CEMSで街区全体のエネルギーを制御

まず、新さっぽろエネルギーセンターの概要についてお聞かせください。

当センターでは、天然ガスを用いたガスコージェネレーションシステムと呼ばれる機器を中心に構成するエネルギーシステムによって、電力と冷水・温水を製造しています。冷水は冷房に、そして温水は暖房と給湯に使用される熱源になっていて、当センターでつくられた熱エネルギーがI街区の空調・給湯に使われています。
また、I街区には、開発時のコンセプトの一つに「低炭素で災害に強い街」とあるように、“省エネ”が当社にとって、かなり重要なポイントとなっていま す。具体的には、供給側だけでなくお客さまを含めて取り組んでいくという点が、このプロジェクトにおいて当社が掲げたコンセプトでもあります。 そこで今回は、CEMSと呼ばれるシステムを導入し、街区全体のエネルギーを効率的に管理しています。

※セムス:Community Energy Management System=地域エネルギーマネジメントシステム

マールク新さっぽろ(I街区)の東側に位置する医療インフラ機能を備えたD-スクエア新さっぽろ内に開設された「新さっぽろエネルギーセンター」。

そのCEMSには、具体的にどのような機能があるのですか?

CEMSには、さまざまな機能があります。まず一つ目は、エネルギーセンター内でつくる電力と熱が街区内でどれくらい使われるかという使用量を予測する「需要予測」という機能。その予測を用いてセンター内の機器を、どの時間帯にどれだけ稼働させれば、より効率的で最適な運用になるのかを立案する「最適運転計画」、機器の効率を自動で改善する「オートチューニング」、街区内への「デマンドレスポンス(需給バランスを調整するための電気使用量の制御)」、法人のお客さまへ向けた省エネと快適性のサポートである「自動デマンドレスポンス」などが挙げられます。
自動デマンドレスポンスでは、お客さまと決めたルールの範囲内で、各施設の設定されたエリアごとの快適性を守りながら、室温を自動で調整します。例えば、冬季にあまり人がいない場所(廊下など)の暖房の設定温度を低めに設定することで、省エネを実現します。
また、エネルギーの需要量を減らすことで、供給側の機器が高効率運転になる場合は、お客さまの快適性を担保した上で需要量の抑制をCEMSで実施。エネルギーをつくる側とつかう側で連携しながら、街区全体の省エネを推進します。

大和ハウス工業では、本プロジェクトの初期段階から「省エネの街づくり」という構想がありました。
実現に向け、信頼できる事業パートナーを考える中、CEMS導入のエネルギーセンターというソリューションで応えていただけたのが北海道ガスさまでした。

もともと当社では、札幌駅の東側(北ガス工場跡地を含む「北4東6周辺地区」)に、2019年に稼働を開始した「46エネルギーセンター」という施設を 運営しており、そこで初めてCEMSを導入したという実績があります。こちらのプロジェクトについても、大和ハウス工業さまがリーディング企業であり、当時もご理解をいただき大変感謝しております。エネルギーセンターから街区内に電力と熱を供給するという同様のシステムですが、これをベースに、さらに、街区内のお客さまへのエネルギー制御という機能を加えたのは、当センターが初めての取り組みでした。全国的にみても、CEMSでお客さまの快適性を保ちながら省エネ運用しているという点が、他とは違う大きな特徴だと考えています。
この街区は新規に入居される方ばかりということもあり、「省エネを推進する街」だということを街区内のお客さまに認知いただけたので、ご理解も得られやすかったのではないでしょうか。ですから、こちらから省エネのご提案をしたとしても否定的な反応はなく、街区内のお客さまとともに色々と協議を重ねながら、CEMSからの制御や省エネ運用を進めることができました。街区内のお客さまには多大なるご協力をいただき、大変感謝しております。

新さっぽろエネルギーセンター

エネルギーセンターは災害時の安心・安全もサポート

低炭素とともにテーマとなっている「災害に強い」という点はいかがでしょう?

I街区の7つの建物の高い耐震性については十分に把握しています。加えて安心・安全という観点において、「BCP(事業継続計画)」の分野で当センターは、非常に重要な役割を担っていると理解しています。対策としては、本街区内のインフラ工事の際に、耐震性・耐久性に優れた熱導管、ガス管を導入。災害時でも電力は約6割、温水・冷水は通常時とほぼ変わらない量を供給することができ、寒い時期に災害が起きた場合でもエネルギーの利用が可能です。また、街区内のお客さまとは、あらかじめ供給する場所を定めており、必要なエネルギーを安定供給し、災害に強い街を支えています。
なお、災害時に街区内のお客さまへ電力供給後、未だ電力が余っている場合は、CEMSにて余剰電力配分もできる機能も備えています。

本格稼働後、約1年が経ちました。何か実感されていることはありますか?

エネルギーセンターという施設は、施設自体の完成が終わりではなく、運用していく中で、改善を続けていくことが大切。そのためには、街区内のお客さまとの関係性の構築が重要となり、街区一体とになって街区全体の省エネを行っていくべきだと考えています。実際、マンションにお住まいのお客さまからは「省エネに特化している街区だから、このマンションを選んだ」という声や、病院のご担当者さまから「CEMSで空調の設定温度を自動制御してもらえるだけで、手間が省けてすごく助かる」というお声をいただき、意義のある取り組みが実現できたと感じています。
また、CEMSの「需要予測」では、高い精度で電力の使用量を予測することができるようになっていると感じます。電力だけではなく、気象情報に大きく影響を受ける熱の使用量(冷水・温水)についても、運用開始後からのデータの蓄積により、需要予測精度が向上しています。
そして、見学者は全国・海外から多くのお客さまにお越しいただいております。特に海外の方からは、「CEMSだけではなく、エネルギーセンター方式を見てみたい」という声も多く聞かれます。もちろん、一般見学も受け入れていて、小中学校の社会科見学にもご活用いただいております。

ガスコ—ジェネレーションシステムを中心に、数々の関連機器が整然と設置されています。盤は系統ごとにカラーユニバーサルデザインを採用し、配管もエネルギー種別ごとに色分けを実施。作業者はもちろん、訪れる見学者に対し識別性の高い工夫が施されています。

最後に、今後の展開についてお聞かせください。

北ガスグループでは、2050年のカーボンニュートラルを見据え、2030年を中間点と位置付けた経営計画「Challenge2030」を策定しています。計画の柱の1つに「総合エネルギーサービス事業の進化による分散型社会の形成」を掲げており、数々の取り組みの中でも当センターのようなエネルギーセンターを分散型エネルギーの創出拠点として、エネルギーの面的供給を行う方式も、当社のカーボンニュートラル化に向けた重要な対策だと考えています。そのためには、CEMSの機能をさらに進化させ、お客さまにより付加価値の高い省エネを提供していくことが不可欠。本プロジェクトを通して得た知見を活かし、エネルギーセンターで街区すべてを管理するというモデルケースを広く展開していくこと考えています。

実は、ガスや電気などのエネルギー会社で、当社はいち早く商材として省エネに取り組んでおりました。それが故に、「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げる当社の強みになると考えています。省エネが街としての大きな魅力のひとつとなり、街が活性化することで賑わいが増し、全体的なエネルギー使用量にも影響が生まれると考えるのです。 今回、当社では「省エネをお客さまにご提案・ご提供できる」機会をいただくことができ、大和ハウス工業さまにはとても感謝しております。今後も機会があれば、ぜひ参画できればと思います。

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