お近くのダイワハウス

PREMIST ダイワハウスの分譲マンション

PREMIST Times

「柳川雛祭り さげもんめぐり」

昨年の「おひな様水上パレード」の様子。何艘ものどんこ舟がたくさんの稚児さんをのせてさげもんの下を通る。(写真提供:柳川市観光協会)

  • イベント初日に行われる「おひな様始祭」。(写真提供:柳川市観光協会)
  • 元JA柳川本城町農業倉庫で展示される見事な「ひなたちの晴れ舞台21段ひな飾り」。今年も展示予定。(写真提供:柳川市観光協会)
町中を色鮮やかなさげもんが彩る

 福岡県柳川市では2016年2月11日(建国記念日)から4月3日まで「柳川雛祭り さげもんめぐり」が開催される。今年で22回目を迎えるこのイベントは、例年各地から大勢の見物客が訪れる春の恒例行事となっている。
 さげもんは、雛壇の両側に吊り下げられる飾り物のことで、直径40センチメートルほどの竹の輪の中央に大きなまりを2つ吊るし、さらに竹の輪から7本の糸を下げ、それぞれの糸に色鮮やかなまりと布製の細工を交互に7つずつ、全部で51個の飾りをつける。人生50年といわれた昔、より長寿を願うために51個の飾りを提げたともいわれる。
 その成り立ちには諸説あるが、江戸時代に柳川藩の奥女中たちがたしなみのひとつとして、着物のハギレを使い子どものおもちゃや琴爪入れを作ったことが始まりと伝えられている。それがいつしか形を変え、吊るし雛として柳川独自の文化となり、現在では東伊豆町稲取の「雛のつるし飾りまつり」、山形県の「傘福」と並ぶ日本三大つるし飾りの一つに数えられている。
 イベント初日には、お稚児さんとお内裏様とお雛様、三人官女などに扮した人たちが山車に乗り市内を練り歩く「おひな様始祭」が行われる。また、期間中には水上に飾られたさげもんの中をお内裏様とお雛様、稚児たちがどんこ舟で進む「おひな様水上パレード」(3月20日※雨天時21日振替休日)をはじめとする数々のイベントが行われる。

柳川市観光案内所

沖端橋からみた夜の掘割は幻想的な風景だ。

  • 「北原白秋生家・記念館」の展示の様子。
  • 立花家の別邸「御花」。こちらのお雛様とさげもんは一見の価値あり。
舟で巡るさげもんの街

 江戸時代に城下町として栄えた柳川は水郷の町として知られている。柳川城の城郭は残念ながら明治5年に出火により失われてしまったが、城跡を網の目のように囲む総延長930キロメートルにも及ぶ掘割は今も市民に愛され「柳川雛祭り さげもんめぐり」の舞台としてなくてはならないものだ。
 「水のべは柳しだるる橋いくつ舟くぐらせて涼しもよ子ら」北原白秋 詩集『夢殿』より
 明治18年に柳川市の港町、沖端(おきのはた)にある大きな酒造業の子として生まれた国民的詩人北原白秋。青年期に早稲田大学入学のため上京したが、その後、柳川の生家は破産してしまう。帰るべき故郷を失くした白秋は、その詩集『思ひ出』や写真集『水の構圖』の中でたびたび「水郷柳河」に触れ故郷柳川に対する思いを表現した。
 近年、史跡となっている「北原白秋生家・記念館」と白秋の詩歌を育んだ「水郷柳河」掘割の景観を含めた約18万4000平方メートルが国の名勝に指定されている。
 「柳川雛祭り さげもんめぐり」開催中は北原白秋生家や、かつての柳川藩主、立花家の別邸「御花」をはじめ、商店など町中いたるところでさげもんが盛大に展示される。
 「雛めぐり舟」も運航されるので、情緒溢れる掘割から、白秋の愛した柳川を楽しんでみてはいかがだろう?

自作のさげもんと古賀さん。「柳川雛祭り さげもんめぐり」期間中はギャラリーにたくさんのさげもんが飾られる。

  • 土台のまりを金糸で「地割り」してから、色糸を重ねていく。「綺麗なまりをつくるには『地割り』をきちっとやらないと」と、古賀さん。
  • 古賀さんがつくった柄見本用の柳川まり。バリエーションは無限というのも納得。
女の子の初節句に一針一針願いを込めて

 「さげもんの飾りつけにも決まりがあって、まりと細工物を交互につけ、上の方には飛ぶ物や山の物、木になる果物や花など、下の方には水中の物や動物。一番下に細工物が来る場合は人形をつけることが多いです」。そう話してくれたのは、「柳川さげもん工房 ぎゃらりー古雅」を主宰する古賀民子さん。古賀さんは大正5年から続く神具店「古賀神棚店」を営んでいるが、そのかたわらでさげもんにつける飾り物や柳川まりの作り方を教えている。
 飾り物にはそれぞれ意味があり、蝉は辛抱、蝶は綺麗に着飾らせて嫁に出したい親心を表わしているという。そして、さげもんの主役ともいえる「柳川まり」は、中央の大きな2つのまりをはじめ一吊に21個さげられるが、そのすべての模様が違う。紅、萌黄、紺青など色とりどりの糸と、幾何学的な文様が融合し、見る人の心を奪う美しさだ。「基本の柄は『二つ菊』『梅』『剣十字』『鶴のし』など数十種類ありますが、色を変えたり模様を少し変えたりすれば、無限にあります」と古賀さん。教室には菊、梅、桜、鶴などの伝統的なモチーフの柳川まりが飾られている。
 古賀さんがさげもんをつくるきっかけとなったのは、約30年前、姪御さんの誕生の時。「さげもん一式をつくるのは1年くらいかかります。昔は初節句に間に合わせるために親戚や近所の人たちまで合力してもらったものでした。今はなかなか、買って済ます人が多いです」と古賀さん。細かい針仕事だが、いつしか無心になり時を忘れて作ってしまうという。こうして一針一針に愛情や願いを込めて縫われるさげもんが、柳川の町の表情となり景色となる。

柳川さげもん工房 ぎゃらりー古雅(古賀神棚店)
  • [Part.1]「柳川雛祭り さげもんめぐり」
  • [Part.2]春、旬を迎える有明海の海の幸
  • [Part.3]有明海のおいしい春を探しに

※掲載の写真は平成28年1月に撮影したものです。

プレミストクラブ ご入会はこちら

このページの先頭へ

大和ハウス工業株式会社

ページ上部へ

Copyright DAIWA HOUSE INDUSTRY CO., LTD. All rights reserved.