
松前藩戸切地陣屋跡の桜並木。5月には祭りも行われる。(写真提供:北斗市観光協会)
3月26日開業の北海道新幹線「新函館北斗」駅は、本州と函館エリアをぐっと近づける新拠点。函館湾に面し、温暖な気候に恵まれた北斗市に位置する。北斗市は漁業も農業もさかんな旧上磯町と旧大野町が合併して誕生したまちで、ホッキ貝を代表とした魚介類やトマトなどの農作物がとれるところだ。また、大野町は北海道の稲作発祥の地として知られている。
北斗市には、みどころが多い。幕末に蝦夷地の防衛のために築かせた松前藩戸切地(へきりち)陣屋跡や箱館山の夜景、駒ヶ岳や大沼を一望できるきじひき高原などがあり、中でも北海道土産の定番となったバターやクッキーで知られるトラピスト修道院は有名だ。
さらに北海道というと気候的に春の桜は道南でしか見られないものが多く、しかし北斗市にも数々の桜の名所がある。その一つ、北海道道から松前藩戸切地陣屋跡に続く桜のトンネルは、函館の呉服商が植栽したものと伝わる。また、トラピスト修道院には遅咲きの桜が植えられており、市内の桜が終わった頃に濃いピンクの花を咲かせて楽しませてくれる。
テーブルワイン、自然派志向ワイン、北海道100シリーズ、フルーツワインなど商品展開は多彩だ。
「新函館北斗」駅にほど近い七飯町の、赤松街道沿いに「はこだてわいん」がある。昭和初期に駒ヶ岳が噴火して生まれた火山灰の地に繁茂した山ぶどうを使って葡萄酒を造ったのが始まりだという。風土として進取の精神に富んでいた函館で創業した酒造をルーツとしている。西洋式農業発祥の地とされる、この地で今日に至るまで、さまざまな果物を原料としたフルーツワインを造ってきた。今では国産ワインコンクールにおいて「金賞」「部門最高賞」などをとるほど製造技術が高く評価されているワイナリーだ。
今やワインツーリズムも組まれるほど、お気に入りのワインは自分の足と目と口で探す時代。北海道は日本一の醸造用ぶどうの産地でもあり、それだけに道産にはいいものが多い。「はこだてわいん」の濱本さんは「ワインは一期一会。その時、その年に出会ったワインがお客様の口に合えば、それがお客様にとって本当においしいワイン」という。
北海道新幹線開業で、北海道がより近くなることで、十勝や富良野といった有名産地だけでなく道産ワインの幅広いおいしさを伝えられるようになるだろう。それをきっかけにお客様との新たな絆を結ぼうとしている「はこだてわいん」は、函館発の食文化として道産原料にこだわりながら、私たちの味覚に合う、本格的なワインづくりを目指している。
数量限定でキオスクや主要観光土産店など一部の指定販売店で取り扱いがあるという「青函トンネル熟成ワイン」。
「はこだてわいん」の特色の一つは、JR北海道との企画協力を得て、世界最深、海面下283mの青函トンネル内に設けた青函トンネル蔵置場(ぞうちじょう)があること。そこで寝かせられたのが、北海道新幹線開業にあわせて造られた「青函トンネル熟成ワイン(年輪 赤・白)」だ。青函トンネル内は温度、湿度が年間を通じて一定で、海底トンネルのため振動しないという特性がワインを寝かせるのに適している。
また「はこだてわいん」は多彩な商品展開でも魅力だ。独自のしばれづくり製法によって醸造される「しばれづくりシリーズ」は、葡萄を凍結させて搾汁することで、ひと味違った甘さや香りをまとった印象的なデザートワイン。ワインコンクールでも高い評価を受け続けている。
スパークリングワインも飲み口のすっきりとした本格派がある。契約農園で完熟させた厳選ケルナー種葡萄を遅摘みして仕上げた「香り仕込みケルナーSparkling」はワインコンクール部門最高賞をとったものだ。ワイン造りに適した地元七飯町産のリンゴ4種を使った「ななえりんごSparkling」も外せない。泡がきめ細かく、リンゴ本来の酸味を残した“もぎたてりんご丸かじり”の風味豊かな逸品になっている。
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