コラム vol.010
北陸新幹線開通間近の金沢・富山地方 その1
~地方都市経済と土地活用~
公開日:2014/07/01
2015年3月、北陸新幹線が金沢まで部分開通する。新幹線開通に涌く、北陸エリア。経済の発展、地価の値上がりも期待されている。
それに伴い、賃貸住宅需要は伸びるのだろうか?あるいは、ほかの土地活用にもプラスの影響があるのだろうか?
本コラムでは、2回にわたり、こうしたことを考えてみる。
東京~長野間を長野新幹線としての路線を金沢まで延伸させて、北陸新幹線となる。これにより、長野から先、上越エリア、富山エリア、高岡エリア、金沢エリアでは、東京(首都圏)との利便性が格段に向上することになるだろう。
開通に伴い、新幹線が停車する駅前では再開発が一斉に進み、かつてのノスタルジー感漂う駅舎から見違えるような近代的な駅ビルが姿を現している。一方で、JR路線が廃止され第三セクターとして運行する路線も出てくるようで、その沿線においては経済の衰退も懸念されている。
図1は 富山県、石川県の1983年からの地価の推移をグラフ化したものだ。
全国の動きに合わせるかのように、バブル期にかけては、富山・石川エリアも地価は大きく上昇した。石川県では、全国的な動きと同様に91年に地価下落が始まった。富山県はやや遅れて93年にピークを迎えるがその後は同じように地価が下落した。
大都市圏でみられるようなITバブル(2000~01年)、ミニバブル(2005~08年)に見られた、地価上昇は、県単位では見られなかった。
そして、何よりも注目に値するのはこれらのエリアの現在の地価(県単位)は、バブル景気(1986年~1991年)よりも前1983年に比べても、低いということだ。
バブル景気で夢を見てもとに戻った、というのではなく、地価下落が止まらず、1980年代前半よりも地価は低いということだ。
こうした地価低迷の起死回生の切り札になるかもと、期待されているのが北陸新幹線の開通なのだ。ではここで、北陸新幹線開通が近づき始めた2008年からの停車駅の少ないタイプ(のぞみ型)の新幹線が止まる金沢市、富山市の地価の動きを増減率で示したグラフを見てみよう。
これを見ると、両都市ともリーマンショック前2008年には、下落が止まりプラスマイナス0だった。その後の景気後退により、2009年は両県ともに-4%、2010年もマイナスが続く。しかし、2011、12年にはマイナス幅が縮小し、なんと2013年に金沢市はプラスとなった。首都圏主要部、名古屋主要部、大阪の一部以外でのプラス金沢くらいだった。まさに新幹線効果といっていいだろう。
インフラの整備は間違いなく不動産の価値上昇につながる。新幹線のようにダイレクトに大都市とつながるインフラならばなおさらだ。
さて、こうした新幹線効果が賃貸住宅経営にどのように影響をもたらすかについて考えてみたい。