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コラム vol.471-20
  • 土地活用税務コラム

CASE20賃貸住宅経営を引き継ぐなら生前贈与すべきか

公開日:2025/08/29

複数の賃貸住宅を持っていますが、相続になった際に、子どもたちの間で遺産分割がもめないか心配です。収入の差がきょうだい間にかなりあり、できるだけ生活力に不安のある子どもに多くの資産を引き継がせたいと考えています。その場合は生前贈与をすべきかどうか悩んでいます。

このようなケースを含め、親が経営する賃貸住宅を子どもへ引き継ぐ場合、相続ではなく、生前贈与を選ぶケースも少なくありません。賃貸住宅を生前贈与する場合について考えてみます。

賃貸住宅を生前贈与するメリット

オーナーの意思通りに引き継ぎが可能

このケースにあるように、生前贈与を行うことで、自分の意思通りに賃貸住宅を引き継がせることができます。収入が少なく、将来の生活に不安がある、他のきょうだいに比べて発言力が弱い、といった場合は、生前に贈与しておくことで、ある程度の解決が可能です。贈与の対象者も、親がふさわしいと判断した人を選ぶことができますので、結果的に、遺産分割協議で親の意思が反映されなかったという事態は防ぐことができるでしょう。また、経営力に不安がある場合でも、引き継がせた後に、賃貸住宅経営について教えることも可能でしょう。

相続トラブルの回避

贈与の際に、ほかの相続人への十分な説明は前提になりますが、生前贈与を行い、遺産分割の対象からはずれてしまえば、分割の際にトラブルが起こる可能性は低くなるでしょう。生前にある程度の財産の分散が終わっていれば、遺産分割に関しては、安心して相続を迎えることができるでしょう。

現金で贈与するよりも税負担が少ない

賃貸住宅を贈与した場合、同じ価値であっても、現金や金融資産と比べて、税負担を軽減することができます。賃貸住宅の評価額は、固定資産税評価額となるため、時価の50~60%程度と低くなることが多く、贈与税を低くすることができます。固定資産税評価額は年数が経つと徐々に減少しますので、年月とともに下がります。さらに、貸家として扱われますので、固定資産税評価額から借家権割合30%を差引くことができます。

親の財産が減少、所得分散の効果も

親がこれからも賃貸住宅経営を継続すると、親の財産は増え続けます。そうなると、相続財産が増加していきますので、当然相続税も大きくなります。生前に贈与してしまえば、その後の賃料収入は子どものものになりますので、親の財産が増えることはなくなり、子どもは相続税の資金として準備することも可能です。また、親の収入が減少することで、所得税の負担も軽減できることになります。所得税は累進課税ですから、所得が減少することで、所得税が大きく減少することもあります。

地価上昇の際、相続対策に

現在、都市部を中心に、地価が値上がりしています。土地を含めた贈与があった場合、10年後に相続が発生するとした際、その間に地価が値上がりすると、その分、相続財産が増加することになります。相続時精算課税を選択しておけば、相続の際、原則として財産は贈与時の時価で相続財産に加算されますので、土地が値上がりしたときに相続税の負担増を抑えることができます。

賃貸住宅の生前贈与の注意点

賃貸住宅の生前贈与には、多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。

相続時に受けられる「小規模宅地等の特例」が適用されない

相続税における特例のひとつに、「小規模宅地等の特例」があります。「小規模宅地等の特例」とは、相続や遺贈によって手に入れた財産についての規定で、相続が始まる直前に被相続人が事業または居住に使用していた宅地などについて、限度面積まで一定の割合を減額する仕組みです。たとえば、不動産事業などによって貸し出していた場合は200m2までが50%減額されるケースがあります。 贈与の場合は、この特例を使うことはできません。贈与された土地は、贈与によって取得されており、相続で取得されていないためです。

登録免許税や不動産取得税などの諸費用がかかる

賃貸住宅を贈与すると所有権移転登記にかかわる諸費用がかかります。たとえば、登録免許税は相続の場合、固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与の場合は2%となります。また、不動産取得税がかかることにも注意が必要です。相続の場合は、不動産取得税は課税されませんが、贈与の場合は固定資産税評価額の3%が課税されます。
税務に関しては、さまざま制度や条件がありますので、専門家にご相談ください。

財産の次世代への引き継ぎにおいては、何よりも優先されるのは、親を中心とした家族の意思です。土地や賃貸住宅経営は長期に続きます。家族の将来、さらにその先の世代まで含め、十分に考えたうえで検討することが重要です。
また、生前贈与の際に、どれだけ説明をつくしたとしても、生前贈与を受けなかった他の子どもが、不公平感を感じることはゼロにはならないでしょう。他の子どもに対しても、他の財産を増やしたり、遺言などによって相続時の財産を増やしたり、十分に配慮することも必要です。 相続時の争いや相続税のことだけを避けるために生前贈与を選択しても、うまくいかないこともあります。また、賃貸住宅は、そこで暮らす人たちにとって、生活になくてはならないものです。さまざまな人たちのニーズにも配慮する必要があります。

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