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コラム vol.416-2
  • 土地活用税務コラム

相続における不動産活用は、将来も考慮し計画する

公開日:2022/09/30

POINT!

・リタイア後に不動産を保有し、その賃料収入を生活資金の一部に充てることは、安心してリタイアするための方法の一つ

・不動産管理会社を設立すると、不動産収入が直接所得にならず、役員報酬で収入を調整できるというメリットがある

資産をお持ちの方が相続を迎えるとき、資産の内容としてバランスが重要となります。現預金・金融商品・不動産の3つをバランスよく保有しておくと、遺産分割や相続税のスムーズな納付につながります。
現預金であれば分割が容易なため、争いが少なく承継することも可能ですが、相続資産が不動産しかない場合は簡単に分割することができず、面倒な状況に陥ってしまうことが少なくありません。仕方なく、相続人同士で共同所有のかたちを取るものの、活用や売却を簡単に行うことができず、結局誰のものでもないような土地建物になってしまうことがあります。 ですから、資産が不動産だけの場合は、事前の対策として不動産を上手に活用したり、等価交換などによって収益を生み出し、現預金を生んだりすることが必要となります。

次世代につなげるための運用を考えてアドバイス

相続時、資産が不動産しかないお客様から相談を受けたときは、いくつかの方法をご提案します。ある中小企業のオーナー様のケースでは、自宅と事業用の土地建物が合わせて約1億円あるのに対して、現預金は約400万円しか保有されていませんでした。相続税を計算すると300~400万円となり、現預金での納付は可能でしたが、その後の生活のこともあります。自宅も昭和50年前後の建物で、今後、リフォームや修繕費用などがかなりかかることが予想されました。
対策としては、等価交換、もしくは自宅を取り壊してもう少し大きな賃貸マンションを建てる、などが考えられました。事業用の建物にはテナント企業が入っていましたが、事業用の土地が広く、建て替えて有効活用すれば、さらに収益性を高めることができます。
今後の生活、次の相続のことを考えると、次世代につなぐための運用を考える必要があります。 現預金がない場合は頭金等の用意が難しいので、ある程度金融機関の支援を得なければなりません。普段から金融機関との信頼関係を築いておくことも大切です。

不動産所有会社を設立するメリット

高齢の経営者の方がリタイアした後に、その後の収入を会社に求めると、人件費が膨れて会社の経営状況が悪くなったり、従業員の負担になったりすることがあります。したがって、多くの方は役員報酬を激減させ、影響を少なくしてリタイアしたいと考えますが、その反面、残りの人生の収入源をどうするかが問題となります。
そのため、リタイア後に不動産を保有し、その賃料収入を生活資金の一部に充てることは、安心してリタイアするための方法の一つです。
不動産を直接購入するだけでなく、不動産管理会社を設立して株主になるなどのやり方もあります。不動産管理会社を設立するメリットとして、不動産収入が直接所得にならず、役員報酬で収入調整ができます。高齢者の方のニーズとして、年金を満額もらいたい、目減りさせたくないという強い要求があり、想定される年金額と役員報酬を調整できることは不動産会社の一番のメリットです。相続時は不動産管理会社も譲渡しなければなりませんが、不動産と借入金があれば、相続評価額としての株価の引き下げにつながりますし、現預金など、個人が時価で持つよりも相続対策につながると考えられます。
このように不動産を購入、活用することで、相続対策になることが多いのですが、相続対策のためだけのスキームはつくらないようにしています。
あくまで、不動産をいかに活用するかという観点から投資を進めていくべきだと思います。

不動産活用に加え、移転先の確保、建築後も継続して支援

私のお客様だった病院の院長が現役をリタイアし、その後の不動産活用と収益について相談いただいたケースがあります。その院長先生は古い事業用の建物をお持ちで、そこでは親戚の方が運送会社を経営されていました。ところが、その運送会社からの賃料の支払いが滞る状態が続いていました。
運送会社の資金的な問題もあり、将来的にも賃料の回収は難しい状況と判断し、建物も古かったため、立ち退きをしていただき、老朽化した建物は取り壊して次のステップに進もうと計画を立てました。
しかし、運送会社に理解はいただけたものの、移転先を探すことができず、交渉を進めることができませんでした。
そこで、大和ハウス工業に相談したところ、安価かつ運送業としても適地を探していただきました。老朽化した建物は取り壊して、1LDK・3階建ての賃貸住宅を建てました。角地で利便性の高い立地でしたので現在も満室が続いています。
それまでは収益を生まないどころか固定資産税の支出でマイナスになっていましたから、院長先生には非常に喜んでいただきました。ほかの場所でも、ご夫妻ともに賃貸住宅経営を行われ、リタイア後の収益も順調です。
大和ハウス工業の力添えで運送会社の移転先も見つけていただき、事業所の移転においても、事業のロスなく、スムーズに行うことができました。
運送会社は大和ハウス工業からお仕事の紹介もいただけたようで、今は順調に経営されています。
私も札幌市内で事務所の引っ越しをしたのですが、そのときにその運送会社を利用させていただきました。テナント企業も、お客様も満足され、私も含めて、まさに三方良しの結果となりました。
単なる土地活用の提案だけではなく、お互いの事業の将来まで考慮した支援をすることができれば、それが本当の事業支援だと言うことができるのではないでしょうか。

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