
寒天や味噌を使った焼き菓子。
地域の製造者や蔵元とのコラボレーションが、新しいスタンダードを生みだす。
「茅野」駅前の「アニバーサリーチロル」は、1953年に創業した洋菓子とパンのお店。2階のカフェにおうかがいし、「白樺の美」というサブレをいただいた。さくさくぷちぷちとした独自の食感が楽しい。この食感のヒミツは寒天。「アニバーサリーチロル」では、寒天や味噌、蕎麦、かりんといった地域の食材を積極的に採り入れ、新しい味わいを生みだしている。「寒天プリン」では、固くなりすぎず、ふるふるの食感を醸すための配合を編み出した。餡に練り込まれた地域産の瑞々しいセロリが豊かに香る「セロリーのパイ包み」も、大人の味覚に応える逸品だ。もちろん、ロールケーキやシュークリームなどの定番商品も実力派ぞろい。地域の名店として、近隣に多い別荘地の住民たちにも愛されている。
夕食の最後に供された水菓子は、「梅と苺の寒天と草餅」。美しい彩りが春を感じさせる。
ドアを開き、客室に入ると、窓の向こうには、おだやかな湖面が広がっている。諏訪湖畔のホテル「上諏訪温泉 しんゆ」は、2011年のオープン。インテリアのヒーリングアートなど、癒しをテーマにした館内やサービスは、温泉宿の風情や季節感を大切にしながらもモダンさを感じさせる。創作和会席の夕食・朝食は、個室料亭でゆったり。最後に供される寒天のデザートまで、諏訪をはじめ信州各地の幸を堪能できる。また、畳を敷き詰めた大浴場には、全国で唯一という「かんてん風呂」がしつらえられ、肌をなめらかにいやしてくれる。地域の名産である寒天と温泉のコラボレーション。これぞ究極の"地産地消"といえるかもしれない。
松木寒天産業の製品。家庭でも調理がしやすいように工夫された製品が多い。
つるりと口に含むと磯の香りが広がる。乾燥させる前の段階の生寒天だ。Part.1でもご登場いただいた松木寒天産業は、社屋内に直売所がある。数々の製品が並び、試食もOK。製品のポイントは「使いやすさ」だ。豊富な食物繊維を含む寒天は、健康食品としても優れた特性を持つ。松木寒天産業でも、地域の医療機関と協力し、肥満を伴う軽度の糖尿病患者を対象に調査を行った。毎日2グラムほどを摂取するだけで改善がみられたという。だが、毎日調理するのは面倒だという声も多い。そこで、そのままスープに入れるなど、手軽に使えるようカットしてある「そのまんま寒天」をはじめ、多彩な商品が開発されている。いつまでも健康でいてほしいあの人へ、旅のお土産にいかがだろう。
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