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インタビュー 026
  • 土地活用税務コラム

税理士リレーインタビュー 第26回 税理士事務所 みうら会計 所長 三浦 康弘クリニックの開業・承継を、社会的使命を持って支援

公開日:2019/10/31

医療に特化し、開業のお手伝いをする

インタビュアー(以下I):三浦先生の事務所は医療関係に特化しているとお聞きしました。

三浦(以下M):私は平成18年1月に開業する前は、医薬品卸会社の開業支援事業部に勤務していたこともあり、医療関係、中でもクリニックに特化しています。
通常税理士は、クリニックが開業してから税務業務を始めることが多いのですが、私の場合はご開業のお手伝いから始めます。融資のご紹介をしたり、事業計画書を作成したり、スタッフ採用や、時には内装業者と同席してレイアウト図面の打ち合わせをしたりもします。また、医療機器や電子カルテのデモから発注・設置というところまで、融資とスケジュール連動させていただきながら支援します。私の場合、税理士業務とは別に行っているこうしたコンサルティング業務がメインになっています。

I:お医者様の資産税に関する相談では、単純な相続ではないケースも多そうです。

M:クリニックの相続は、事業の相続なので、資産税の相談とは別の話になります。医療の相続には親子承継と第三者承継があり、第三者承継は譲渡、親子承継は相続や贈与になります。また、親が開業してから30~40年経つと人口動態も変わるため、開業時と子どもに承継するときでは街の診療圏とは違っています。そこで建て直したほうがいいのか、もしくは親の自宅に新たに建てたほうがいいのか、診療圏調査をしながらプランを立てることもあります。
大和ハウス工業様とは整形外科医のクリニックと自宅の案件でご一緒したことがあります。ある整形外科の先生が適齢期になって開業を考えた際、お父様が整骨院をされている不動産で承継したいということでした。しかし、施設は老朽化していて建て替えが必要なうえに、診療科が違うので、レイアウトも違います。さらに、相続税の対策もできないかというご希望も出てきました。
建て替える場合、居住用であれば特定居住用宅地等の80%評価減が使えますし、事業であれば特定事業用宅地等の80%評価減を使うことができます。今は両方を組み合わせることも可能です。郊外であれば、駐車場も考慮に入れてクリニック立地を広くとれます。しかし、都心は地価が高くて狭いので、事業用・居住用両方を兼ねられれば合理的です。最終的に4階建てに建て直して、1階と2階をクリニックとして使うことにしました。整形外科は、外来とリハビリの2つの機能で分けました。3階、4階は、息子さんのご自宅とお父様のご自宅の二世帯住宅にしました。税務対策スキームを加えたうえで事業承継と相続両方の対策をして建てるという提案をしました。結果、複数メーカーのコンペの中から採用いただくことができました。

I:病院の場合、親子での承継がうまくいかず、むしろ第三者を選ぶケースもあるとお聞きしたことがあります。

M:たしかにそういったこともあります。私も過去に10件ほど承継を手掛けたことがありますが、そのうち親子での承継は半分以下です。まず、お子様がドクターであるかないかが一つのポイントです。ドクターであったとしても、同じ診療科ではないケースがあります。そうなると、承継しても患者さんを引き継ぐことができないので、あまりメリットがありません。
先日、あるお客様が第三者承継をしました。お父様は80歳過ぎで体力的に無理だという事情があり、息子さんも医師だったのですが、大学病院をしばらくは辞められないため第三者承継になりました。このようにタイミングが合わないということもあるわけです。このケースは所有されていた不動産は戸建てでしたが、建て直してから10年も建っていなかったので、賃貸にして院長は家主として残ることにしました。そうすれば万が一の相続の際には貸付事業用宅地等の50%評価減を使えますし、貸家建付地としての評価で相続税評価額も減らせます。税制上のメリットがあるかどうかが、実際に計画を立てた後に背中を押してくれるようです。 。

社会的使命を持って、承継のお手伝いをする

I:開業する、承継する、後継者がなくやむを得ず廃業するなど、1件1件すべての事例が違いますね。

M:ケースによってまったく違いますから、税理士やコンサルタントが、その都度、それぞれの最適を探していかなければなりません。今までやっていた医院をどのタイミングで閉院するのか、承継した後も院長が継続して勤務するのかどうかも考える必要がありますし、診療科が違う場合にはレイアウト変更なども含めて、プラン提案をしていかなければなりません。勤務医だった先生は、診療については精通していたとしても、クリニックの院長経験はないため、経営の観点やクリニックのレイアウトについて詳しくなくても当然です。行政手続きについても同様に経験がないのでご存知ではありません。クリニックの閉院や開院には行政手続きが絡むため、保健所や関東信越厚生局といった行政機関への届け出が必要で、そのタイミングがずれてしまうと閉院した後に開院するまでブランクが生じてしまうこともあります。
大和ハウス工業様のように、医療関係の事業承継についてよくご存知であれば、建築のみの提案で終わりません。行政機関への届け出スケジュールを踏まえたうえで、着工時期、完成時期、保健所の実地検査、保険診療の開始時期などの開業スケジュールを計画的にプラン提案していただくことが可能です。東京で新規開業の場合、保健所に開業届を提出してから保険診療を開始するまで、行政手続き上、実質1カ月空くことがあります。しかし承継であれば保険請求を遡及して隙間なく診療を継続することができることも考えないといけません。また、レントゲンを設置すると漏えい検査がありますし、特殊な施工も入ります。ですから、そういったことを知っているハウスメーカーでないとなかなか安心してお任せすることができません。大和ハウス工業様はヒューマン・ケア事業推進部もあり、かなり力を入れている印象があります。そこは大いに評価できるところです。一通りわかっている会社とはやりとりがスムーズにいきますし、何よりお客様にご迷惑がかかりません。夢を持って、かなり多額の資金もかけるので、自分の理想通りのかたちを実現していただきたいですから。

税務から労務まで、多岐にわたって開業を支援

I:税務対策としていろいろなご提案が可能になるかと思いますが、土地オーナー様がいわゆる税務対策として賃貸住宅を建てることと、医療という事業を持ったうえでの対策は違うのでしょうか。

M:不動産が占める割合にはそれなりのウェイトがありますので、当然ながら税務対策は考えないといけませんが、そこに事業を絡めたご提案をします。単純に居住用の相続税申告だけであれば、税理士の本来機能としてできます。しかし、今は相続が起こってから申告を依頼されるのではなく、「事前にできることはないか」というご相談が圧倒的に多くなっています。それに対応するためには事業まで関わって、事業計画を組む必要があります。実は、開業に必要な内装や医療機器等のコストの相場感を理解したうえでクリニックの融資などに関わる事業計画書を作成できる税理士は意外に少ないのです。必要な金額がわからなければ、融資調達額が最終的にどの程度になるかを計算することはできません。

大和ハウス工業様以外のハウスメーカーからドクターをご紹介いただいて、困ることがあります。ハウスメーカーが、クリニック、ドクターご自身のご自宅、さらに賃貸住宅まで含めた複合建物のプラン提案をした後、施工間近になってから依頼をいただくと、建物本体しか融資付けをしておらず、いわゆるクリニック部分にはまったく手を付けていないことがあります。ハウスメーカーにとってのこのブラックボックスをどうすることもできず、わかる範囲の話だけがどんどん進んでしまうのです。居住用賃貸やご自宅の話はクロスや床材や住宅設備など細かいデザインまで全部決めているにもかかわらず、医院のほうはレイアウトも固まっていないということがあります。医療機器くらいは先生が多少選んだりするのですが、融資が決まっていないので業者も発注できない。軌道に乗るまでの運転資金も必要ですし、内科系では内装や医療機器も含めた融資として4000~6000万円くらいかかります。そんな大きな融資について全く話が進んでいないまま開業直前期まできて、恐ろしい状態になってこちらに話が来ることがあるのです。

I:本当に幅広い知識と経験が必要ですね。

M:お客様のニーズに応えてきたら、こういう業務のかたちになりました。私どもの事務所では、税務の業務としてはオーソドックスなこと、法令遵守できることしかやりません。しかし、それだけだとお客様との関係を強化することはできませんので、付加価値としてクリニックの収入を伸ばすための情報や分析資料を提供すること、人事や労務関係の相談や提案も含めて支援しています。月次巡回監査で院長先生とお話をする際は、どちらかというと税務や会計関係の話題は短く、残りの時間は労務の話が主です。雇用に関する複雑な話にもなることもありますので、開業時には私も面接官をお引き受けしたりします。ドクターは勤務医時代に面接官などやったことはありませんので、雇用契約までの流れを作るところまでお手伝いをしています。さらに担当者がその後のフォローを行っていきます。以前は、「うちには就業規則は要らない。残業など関係ない」という先生もいましたが、今はそれでは通用しません。これを説得するのも大変です。先生自身が長時間労働をやってきているので、「俺からすれば」といわれてしまうのです。今はそうではないということから話をしていかなければなりません。
さらに突っ込んだ専門的な話であれば、社会保険労務士や弁護士と提携していますので、ワンストップで応えてあげたいと思っています。そこも含めてトータルで支援することが安心感につながると思うからです。そのためには、やはり日頃のコミュニケーションが大事です。懐に入り込む、かゆいところに手が届くようなことをやってきているからこそ、厳しいこともお伝えすることができるのです。それを踏まえたうえで、単に法律などに従うだけではなく、「先生に有利な運用の仕方もありますよ」という話までご提案をする。そういったことが必要になると思います。

I:今、人口動態やお医者様の承継の流れなど、状況が大きく変化している時代だと思います。

M:日々、年々、状況は大きく変化しており、10年前とは全然違います。経営においても人生においても、すべては情報戦だと思うのです。情報を知っているからうまくいくというのは、すべての業種に共通していえることだと思います。
インターネットの普及により、情報の取り方が、この10年~20年でも大きく変わってしまいました。これまでの情報媒体がネットに代わり、得られる情報量が大幅に増えました。ビジネスをするわれわれも、それに対応して動き自体を変えなければいけません。先ほどお話しした開業の仕方でいうと、15年前に私が医薬品卸会社に勤務していた頃は、勤務医の先生が開業したいときは、製薬メーカーのMR(製薬企業の営業担当者:メディカル・レプリゼンタティブ)や医薬品卸のMS (医薬品卸売会社の営業担当者:マーケティング・スペシャリスト)などの営業担当者がお世話をしたものです。それが今や、ドクター自身がネットで情報を得て、何でもできてしまうような状況になったのです。ですから、頼る人も違うし、情報も違います。情報を受け取る側も、今までは製薬会社のMRや医薬品卸のMSに聞いていたのが、今はいわゆるドクターに強いWebサイトから情報を受け取っています。あるいは、われわれのホームページに直接アクセスするやり方に完全に変わってしまいました。われわれに求められる仕事も丸抱えではなく、専門的なポイントごとに依頼されるというかたちに変わってきました。
しかし、融資についていえば、銀行に対してどのような情報を提供していくか、誰にどのようなネゴシエイトをしなければならないか、などのノウハウはネットの中にはなかなか見つかりません。そこはどうしても依頼が来るところです。そういう意味でいえば、今はチャンスが増えてきています。

I:三浦先生は定期的にセミナーを開催されていますが、今後のご活動のご予定はありますか。

M:先日、ドクターのオーナー様を対象としたセミナーを大和ハウス工業様と開催しました。受講にいらしたドクターやそのご家族は意識の高い方ばかりでしたので、有意義なセミナーになりました。大和ハウス工業様はリレーションという言葉を使っていましたが、つながりを大事にする、つまり建てて終わりではなく、オーナー様のライフプランまでケアしていくことは、大和ハウス工業様ならではだと思います。将来に向けて、いろいろなニーズに応えていこうとしている会社なだけあって、すごく協力していただいています。われわれもライフステージのかなりの場面で携わらせていただいているので、そういった意味で信頼していただき、何かあったときには声をかけていただくという意味においても、今回のセミナーは大きな成果があったと思います。建築当時の営業担当者も同席いただいたこともあり、非常に濃い内容の個別相談もありました。こうしたセミナーを通じて大和ハウス工業様のファンを増やし、そのファンとなったドクターからお知り合いのドクターが開業を思い立ったときにご紹介していただければ、こちらとしてもチームとして開業や承継の支援に取り組ませていただけます。パートナー企業として非常にありがたい存在です。

I:事業承継が絡んだ相続においても、信頼できるパートナーを見つけることが大事ですね。本日はありがとうございました。

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