賃貸住宅の省エネ性能の見える化がスタート。将来『選ばれる賃貸住宅』になるためには必須?
公開日:2016/03/31
これまで国は、省エネ性能レベルの高い建物には、税制上の様々な優遇政策をとってきた。それに呼応するように、公的な金融機関においても、優遇処置が施されてきた。この10年間、自民党→民主党→自民党と政権が代わっても、建物に関する省エネ推進スタンスは変わっていない。そこに、また、新たに努力義務が加わった。
昨年2015年7月に、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)が公布された。この法律では、販売・賃貸事業者は、販売(建築)物件、賃貸を行う建築物について、省エネ性能の表示の努力義務が規定され、2016年4月より施行される。
この法律については、今年3月11日に、国土交通省が住宅・ビルなどの省エネ性能表示のガイドライン「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針(平成28年 国土交通省告示第489号)」を策定し、公表した。
基本的な方針は、以下の通り(上記指針より、抜粋 国土交通省 HP)
- (1)建築物のエネルギー性能の見える化を通じて、エネルギー消費性能に優れた建築物が市場で適切に評価され、消費者に選択されるような環境整備を図ることが重要である。
- (2)市場で適切に評価されるためには、信頼性の高い評価指標や第三者の評価による建築物のエネルギー消費性能の表示制度の充実及び普及が有効である。
- (3)こうした表示制度の普及により、建築主等に対してインセンティブが付与され、建築物のエネルギー消費性能の向上につながることが期待される。
ガイドラインで決められた表示項目は「建築物の名称」、「評価年月日」、「第三者認証か自己評価によるものか」、「第三者認証機関の名称」、「設計値の基準値からの削減率」「基準地、誘導基準地、設計値の関係図」、「一時エネルギー消費量基準の適合の可否」など10の項目とされている。
新築時の性能表示における第三者認証の例として、【BELS(べルス)】がある。
BELS(ベルス)とはBuilding-HousingEnergy-efficiency LabelingSystem(建築物省エネルギー性能表示制度)の略称で、新築・既存の建築物において、第三者評価機関が省エネルギー性能を評価し認証する制度のことだ。
これは(一社)住宅性能評価・表示協会が運用する制度で、性能に応じて5段階で★評価がされる。
これにより、賃貸物件紹介会社は一定の基準を満たした住宅を「優良物件」として広告することができ、優良住宅として借り主にアピールできる。このため、消費者が優良物件の基準を重視する方向に向かえば、基準に適合しない物件の競争力は落ちるだろう。ちなみに、現在ダイワハウスで発売されている賃貸住宅用住宅商品は、既にこの基準をクリアしている。
室内設備も、外観の重厚感もどんどん進化している賃貸住宅。エネルギー消費の観点からも進化し続けているのだ。