土地活用ラボ for Owner

土地活用ラボ for Owner

コラム vol.286
  • 不動産市況を読み解く

データで読み解く企業は土地所有、不動産投資をどう見ているのか?

公開日:2019/06/28

企業は、土地所有の有用性や土地の購入・売却について現在どのように考えているのでしょうか?
国土交通省が毎年調査している、「企業の土地所有・利用状況に関する意向調査」の最新レポートが今年の1月に公表されましたので、そのデータを分析しつつ、今後の企業と不動産の関わり方(つまりCRE戦略のあり方)について、いくつかのテーマに分けて検討してみたいと思います。

この調査は8大都市に本社が所在する株式会社4,000社に対し、2018年11月にアンケート調査を行ったものです。この調査は1993年から四半世紀にわたり行われているものですが、メディアが大きく取り上げることが少なく、それほど知られた調査ではありません。しかし、企業の不動産戦略を考える担当者の方々や企業に対して不動産戦略の提案を行う企業などにとっては、かなり役に立つデータが揃っていますので、一読されることをお勧めします。

テーマ1:企業は土地や建物を所有した方が有利なのか

「所有した方が有利」と答える企業は近年概ね4割程度になっています。(最新の2018年度では40.4%でマイナス1.2%)。逆に「借地・賃借が有利」との回答はこちらも概ね4割前後で推移しています(2018年度は37.3%)。概ね拮抗する数字が続いていますが、ここ10年を見ると、「所有が有利」との回答が多かったのが8回、「賃借が有利」の方が多かった年が2回となっています。

では、その理由はなんでしょうか。
所有が有利になる理由については、「事業を行う上で、自由に活用できる」が54.0%と最も多くなっています。「土地は滅失せず、資産として残る」が47.9%、「コスト面を考えると、所有の方が有利」が28.9%「土地は他の金融資産に比べて有利」が28.5%となっています。
近年(概ね5~10年)の傾向を見ると、「コスト面を考えると、所有の方が有利」の数字が低下を続けています。コスト面で「所有か賃借か」を考え、「賃借の方が実は有利かも」と考える方が増えているのは、自宅用マンションでも起こっている傾向です。

また、「土地は他の金融資産に比べて有利」の回答は2012年頃から増えています。この時期は、不動産市況の好転にともない、マンション価格の上昇、地価の上昇が始まった頃です。はじめの頃は投資家やデベロッパーなどが中心でしたが、不動産を所有する、あるいは不動産に投資するという波は一般の企業にまで及んでいることがわかります。

「借地・賃借が有利」の回答理由としては、「事業所の進出・撤退が柔軟に行える」が50.1%と最も多く、次いで「コスト面を考えると、賃借の方が有利」が47.1%、「初期投資が所有に比べて少なくて済む」が30.7%、となっています。
個人が所有よりも賃貸を選ぶ理由とほぼ同じです。フレキシブルに対応できるという点が賃借の最大のメリットだといえそうです。ただ、「コスト面を考えると賃借の方が有利」の回答が47%と高いのは、日本らしい考え方です。土地の価値はそのまま(あるいは上昇)でも、建物においては経年に伴う価値減少は必然という考えが見えます。
ちなみに、このアンケートに回答した企業のうち、土地所有(借地含む)をしている割合は51.8%と半数を超えています。

テーマ2:未利用地について

次に、テーマ1で最後に述べた土地所有の企業についての深堀りをしてみましょう。
自社所有地をもつ企業のうち、未利用地のある企業の割合は、15.6%となっています。この20年間を俯瞰すると概ね15~20%の間の数字となっています。

図1:未利用地のある企業の割合

国土交通省「土地所有・利用状況に関する企業行動調査」より作成

では、どうして未利用になっているのでしょうか?アンケート結果を見てみましょう 未利用地となっている理由は、「売却を検討したが、売却に至っていない」が34.0%で最も多く、次いで「利用計画はあるが、時期が来ていない」が25.5%、「土地を資産として保有したい」が20.2%となっています。
最も多い理由の「売却を検討したが、売却に至っていない」は、ここ20年間で最も多い理由でした。「かつて高値で購入したため、売りたくても損切りできない」、「もう少し高値になるのを待つ」などの理由が考えられますが、これは大都市部での理由かもしれません。 地方都市の郊外などでは、「売りたくても買い手がつかない」などの理由があるかもしれません。このアンケートは、8大都市に本社を構える企業向けではありますが、こうした企業も地方部、郊外部に工場や倉庫などを持っていることも多いと思われます。大和ハウス工業の事例では、こうした地方郊外部の用地を、物流倉庫、大型施設等にうまく活用している例が見られます。売却を検討している企業の方は一度相談してもいいかもしれません。

では、未利用の土地を今後どうする予定なのでしょうか?次のアンケート結果を分析してみましょう。
未利用地の今後の対応策としては、「売却する」が43.2%と最も多くなっています。次いで、「当面そのまま」が29.5%、「賃貸する」が12.6%、「利用計画に従い利用する」が9.5%となっています。
「使わないものは売却する」という回答が最も多いわけですが、これはCRE戦略としては最も一般的で効率的な考え方です。
使っていないノンコアな資産は、まず「賃貸などとして活用する」ことで、収益を生む資産に変えることを検討してみます。そして、賃料等賃貸借条件を勘案して、「貸すよりも今手放す方が得」と判断すれば、「売却する」となります。
アンケート結果で2番目に多い、「当面そのまま」は、問題がある可能性もあります。自社の置かれている状況や、時流などを判断したうえで「当面そのまま」という判断であれば良いのですが、「問題先送り」という背景からの「当面そのまま」では、2000年代前半に見られたような「モノいう株主からの突き上げ」などがあるかもしれません。そのような場合は、CRE戦略の専門家や大和ハウス工業のような、CRE戦略を数多く手がけた企業に相談するのがいいでしょう。

テーマ3:土地の売買について

企業はどのような理由で土地を購入するのでしょうか。
土地の購入(または購入検討)の目的では「自社の事務所・店舗用地」が30.6%で最も多く、次いで「自社の工場・倉庫用地」が27.6%、「賃貸用施設用地」が24.1%、「自社の資材置場・駐車場・その他業務用地」が18.8%となっています。
理由1位の「自社の事務所・店舗用地」ですが、かつては土地購入理由の5割以上を占めた理由でしたが、近年右肩下がりで30%前後に留まっています。逆に「賃貸用施設用地」は24.1%となっていますが、2007年頃までは10%台前半の数字でした。このことから分かるように、企業の賃貸用物件の所有意欲が高いことがうかがえます。

アンケートでは、1年以内に土地購入を予定(または検討)している企業に、その理由を尋ねています。「自社の事務所・店舗用地」が28.9%で最も多かったのですが、-7.7ポイントと大きく減らしています。2番目に多い理由は、「賃貸用施設用地」で、25.9%。こちらは、逆に前年度対比+11.9ポイントと大幅に上昇しています。企業の賃貸用物件取得に意欲が高いことがうかがえます。土地購入を予定(または検討)している企業の、4社に1社は自社利用ではなく、そこに賃貸用物件を建てて、賃料収入を得ようとしているわけです。
3位以降は、「自社の工場・倉庫用地」が23.7%、「自社の資材置場・駐車場・その他業務用地」が20.0%となっています。

次に、売却についてです。
土地の売却(または売却検討)の理由では、「土地保有コストの軽減」が18.9%で最も多く、次いで「販売用地のため」が17.9%、「事業の資金調達や決算対策」が14.7%となっています。
では、売却(または売却検討)した土地の、それまでの利用形態はどのようなものだったのでしょうか?
1位は、「賃貸用施設用地」が30.2%と最も多くなりました。次いで「自社の事務所・店舗用地」が17.7%となっています。賃貸用施設はここ2~3年増えています。前項理由のうち、企業が「事業の資金調達や決算対策」に活用しているものと思われます。

このように、ノンコア資産でお金を生みだす賃貸用物件は、所有していると賃貸収入があります。ここぞという時に売却すれば、大きな資金調達にもなる可能性があります。
このアンケートから見て取れるように、昨今の企業は賃貸用物件を上手く活用する(あるいはこれからしようとする)ことで、企業業績の向上を目指している様子がうかがえます。

賃貸住宅経営 秋の全国実例見学会 9/1(日)-9/30(月)ダイワハウスの賃貸住宅D-room

メールマガジン会員に登録して、土地の活用に役立つ情報をゲットしよう!

土地活用ラボ for Owner メールマガジン会員 無料会員登録

土地活用に役立つコラムや動画の最新情報はメールマガジンで配信しております。他にもセミナーや現場見学会の案内など役立つ情報が満載です。


  • TOP

このページの先頭へ