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コラム vol.327-2
  • 土地活用法律コラム

賃貸経営の基本を学ぼう!法律Q&A第2回 借地・借家契約にまつわる敷地の利用について

公開日:2020/05/29

POINT!

・契約が古く借地権の範囲が特定されていない場合、建物図面や設計図、利用状況を勘案して、借地人との間で改めて確認する必要がある

・一軒家の賃貸住宅の借家人が、契約書にない敷地内のスペースを駐車場として利用することは許されないと思われる

・賃貸人所有の土地を通らなければ公道に接続できない場合、賃貸人と借地人と合意していなくても、借地人に賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務がある

Q1:先代が一筆の土地の一部を賃貸しており、これを相続により承継したのですが、契約も古く、契約書には賃貸対象の土地の面積の記載はあるものの、具体的場所の特定はなく、借地の範囲が明らかではありません。このような場合、どのようにして借地権の範囲を特定すればいいのでしょうか。

A1:一筆の土地全体を賃貸し、当該土地上に借地人の建物が建てられているような場合には、借地権が設定された範囲と土地の境界線は一致しているので、特段土地の特定の問題は生じませんが、一筆の土地の一部分に限定して土地を賃貸するような場合には、当該土地のどの部分に借地権を設定したかを特定する必要があります。一般的には、借地契約書上に、土地の図面等を添付したうえ、当該図面で借地部分を具体的に特定することになりますが、古い契約書等では、図面等の添付がなく、例えば「土地の東側100平米」とだけ記載され、実際の借地部分を具体的に特定することが難しいような場合があります。このような問題は、相続により承継したときや、借地権が設定されている状態のまま底地として土地を売却しようとするときに、顕在化してくる問題です。
このような場合には、借地人との間で、一筆の土地のどの部分に借地権が設定されているかを改めて確認する必要があります。この場合、建物建築時の建物図面、設計図書、現場の利用状況を勘案して判断することになりますが、過去の裁判例からすれば、客観的に建物の利用に必要な範囲で借地権が設定されているものと考え、建物の敷地そのものが借地権に含まれていることは当然として、玄関から道路に出るための通路や、建物の利用上通常必要な廻りの敷地、建物と一体と考えられるような庭や、簡易な附属構築物等の敷地についても、借地権の設定対象であると考えられます。
また、上記の他にも、建築基準法上の建ぺい率規制から建物所有に必要な敷地を算定し、これを基準に借地権設定対象を考えるという方法も有用でしょう。なお、上記のような問題が起こらないようにするためには、必ず図面等を契約書に添付して、明確に図面上特定し、これと符合するように現場においても境界標等を設けることが得策であるといえます。また、その後、土地の一部のみを第三者に売却することが想定されるような場合には、借地権の設定範囲に合わせて分筆をして、別個独立の土地に分けてしまうという方法も有用です。

Q2:一軒家の賃貸住宅を第三者に賃貸していましたが、契約書には敷地に関して何の記載もありませんでした。ところが、借家人は、敷地の空きスペースを使って、駐車をしたりしていますが、これは許されるのでしょうか。

A2:借家契約において、敷地の占有・利用について、借家人との間で別途合意していれば当該合意に従うことになりますが、借家人との間で、賃貸住宅の敷地の占有・利用について何ら合意していない場合、借家人が賃貸住宅の敷地部分の利用等をできるか問題となります。
この場合、借家人においても、賃貸住宅を通常使用する範囲で敷地部分を利用占有することは許されると解されています。そうしなければ、賃貸住宅の利用自体にも悪影響が生じてしまうからです。
そうすると、次に実際の敷地のどの範囲で、賃貸住宅の敷地として利用できるかが問題になります。この点、借家契約の目的、賃貸住宅の特性、敷地の広さ、敷地利用の必要性等を踏まえて合理的に判断することになります。
それでは、賃貸住宅に係る借家契約を前提に、当然に敷地を駐車場として借家人は利用できるのでしょうか。この点、自動車の保有と賃貸住宅の利用との間には、明らかな相互関係はなく、また、駐車場自体は、別途独立の不動産利用として賃貸市場に供給されているものであり、借家契約に当然に付加されるような従たるものでもないものと考えられますので、借家人が、何らの合意もなく、賃貸住宅に係る借家契約だけを根拠に、敷地を駐車場として利用することは許されないものと思われます。

Q3:土地を借地人に賃貸しましたが、当該土地は公道に直接面しておらず、賃貸人の土地を通行しなければ、公道に出られません。このような場合、賃貸人としては自己所有土地の借地人の通行を認めなければならないのでしょうか。

A3:借地が直接公道に接しておらず、隣接する賃貸人所有の土地を通らなければ公道に接続しない場合、過去の判例によれば、賃貸人たる土地所有者と借地人との間で、通行に関する特別の合意がなかったとしても、賃貸借契約に基づく賃貸義務の一内容として、借地人に賃貸借契約の目的に応じて通行させる義務があるものとされています。これは、いわゆる「囲繞地通行権(袋地の所有者が当該土地を囲んでいる他の土地[囲繞地]を通行する権利で、民法で認められているもの)」自体は発生しないものの、土地を有効活用するため、もしくは建物を建築するためには接道していることは必須であることに由来するものです。また、借地人に通行権が認められるとしても、どの程度の通路の幅員が認められるかが更に問題となりますが、過去の裁判例にみると、建物所有を目的とする借地であれば、やはり建築基準法上要求される2メートルの接道が必要であり、そのような道路の通行権を認めるべきであると解されております。
この点、借地人との無用な紛争を避けるためには、予め隣接所有土地の通行方法、利用方法について、綿密に合意しておく必要があるでしょう。

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