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コラム vol.327-5
  • 土地活用法律コラム

賃貸経営の基本を学ぼう!法律Q&A第5回 賃借人が破産したらどうなる?

公開日:2020/08/31

今回のコラムにおいては、建物賃貸借契約における賃借人が破産した場合にスポットを当てて、取り上げていきたいと思います。

Q1:建物賃貸借契約において賃借人が破産した場合、賃貸人としては、賃借人が破産したことを理由に賃貸借契約を解除することはできますか?

A1:現行の民法上、賃借人が破産した場合であっても、賃貸人に、これを理由に賃貸借契約を解除することは認めておらず、この場合、破産法に従って処理されることになります。
賃貸借契約では、賃貸人は賃借人に目的物を使用させる義務等を負い、賃借人は賃料を支払う義務等がありますので、相互に一定の履行義務を負っている関係に立ち、このような契約を双務契約といいます。破産法においては、このような双務契約については、破産管財人が、賃貸借契約を存続させるか、解除するかを選択する権利を有しており、その判断如何によって、賃貸借契約がどうなるかについて決定されることになります。
賃貸人としては、破産管財人に対して、相当な期間を定めて、賃貸借契約を解除するか否かを確答すべき旨を催告することができ、相当な期 間内に確答がない場合には、賃貸借契約を解除したものとみなされることになります。

Q2:賃借人が破産した場合において、賃借人の賃料滞納額が相当な金額になっている場合にも、賃貸人からは賃貸借契約は解除できないのでしょうか。

A2:現行の民法上は、賃貸人は賃借人が破産したことを理由に賃貸借契約を解除することは認められておりませんが、そもそも賃借人に多額の賃料不払いがあるような場合には、賃料不払いといった債務不履行を理由に契約を解除すること まで制限される訳ではありません。
従いまして、賃貸人としては、賃借人が破産した場合であっても、賃料不払いや用法違反といった一般的な債務不履行の事実が賃借人にあるような場合には、それを理由に賃貸借契約を解除することは可能とされています。

Q3:よく賃貸借契約には、賃借人が破産した場合に契約を解除できる旨の条項がよく入っていますが、賃借人が破産した場合に、当該契約条項を理由に賃貸借契約を解除することはできないのでしょうか。

A3:過去の判例に照らしますと、賃借人が破産したときは、賃貸人が直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、基本的には、無効であると解されており、このような契約条項を理由に、賃貸人から賃貸借契約を解除することは残念ながらできないものとされています。

Q4:賃貸住宅に入居している賃借人たる個人が破産したものの、賃借人はその後も生活を行い、特段賃料不払いもありませんが、このような場合であっても、破産管財人によって建物賃貸借契約は解除されるのでしょうか?

A4:破産手続の実務においては、破産者が個人で住居のための賃貸借契約については、破産法のとおり処理がされる訳ではありません。つまり、破産者たる賃借人が個人で、賃貸借契約が住居に関するものであるときは、賃貸借契約について破産管財人が判断せずに、実質的には破産手続から切り離し、賃貸借契約はそのまま破産者の契約関係として引き続き存続する運用が取られます。
この場合、破産後の賃料についても、破産者の自由財産から継続的に支払われることになり、また、賃貸借契約における敷金も、破産財団を 構成することなく、破産手続から切り離されることになります。

Q5:賃借人が破産した場合、賃料債権、賃料相当損害金、原状回復費用等の取扱いはどうなるのでしょうか?

A5:賃借人が破産した場合というのは、正式には、賃借人が裁判所から破産手続開始決定を受けることをいいますが、破産手続開始決定時前までに発生した賃料債権は破産債権になり、破産手続開始決定後から破産管財人によって賃貸借 契約が解除されるまでの間の賃料債権は財団債権になるとされます。
財産債権とは、破産手続の中で、最も優先して弁済される債権で、回収可能性が高い債券といえます(結局は破産財団の規模によります)。 一般的な債権は破産債権とされ、財団債権のような優先する債権等に対して、弁済をしてもなお弁済原資がある場合に配当される債権で、一般的には配当の可能性はあまり期待できないとされます。
注意すべき点は、債権の発生が破産手続開始決定時の前か後かで、その法的性質は大きく変わるということです。破産手続開始決定時前ま でに発生した賃料相当損害金は破産債権になり、破産手続開始決定後の賃料相当損害金は、破産管財人の管理処分権に基づいてする行為を 原因として生ずるものと評価される場合は、財団債権になるとされます。例えば、破産管財人がなお不法占拠しているような場合には、賃料相当損害金は財団債権と評価されることになります。次に、破産手続開始決定時前に賃貸借契約が終了し、原状回復義務が履行されないまま破産手続開始決定がなされたときは、原状回復請求権は金銭化され破産債権になるとされます。これに対し、破産手続開始決定後に賃貸借契約が終了した場合には、原状回復請求権は財団債権になると解されています。

Q6:賃借人が破産した場合、敷金の取扱いはどうなるのでしょうか?

A6:賃貸借契約における敷金は、賃貸借契約終了後目的物明渡義務履行までに生じる賃料相当損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借契約終了後、目的物明渡完了の時において、それまでに生じた上記被担保債権を控除し、なお残額がある場合に具体的に発生するものとされています。 賃借人が破産した場合、一定の例外を除いて、財団債権、破産債権を問わず、敷金から充当することは可能であり、充当後残額があれば、これを破産管財人に返還することになります。

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