土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.347
  • 不動産市況を読み解く

2021年の住宅関連・土地活用市況の見通し

公開日:2020/12/25

POINT!

・2020年の貸家の住宅着工数は、76万~ 80万程度と予想

・2021年は、都市部では富裕層や海外投資家の賃貸住宅投資により堅調、地方都市でも賃貸住宅建築は反動増の見込み

投資市場の急回復

2020年は、「あっという間に過ぎた」と感じた方が多いのではないでしょうか。新型コロナウイ ルスの新規感染者が出始めたのが1月。3月に株価が急落、そして4月7日に7都府県に出された緊急事態宣言は、その後全国に拡大され、すべて解除されたのは5月25日のことでした。そのため、実質的に約3カ月間、各企業は本来の稼働ができないという状況になっていました。
しかし、宣言が解除されたころには、株価は回復し、その後は上昇が続きます。年末になっても感染拡大はおさまらず、飲食業や観光産業をはじめとしてさまざまな業種が厳しい状況である一方で、株式市場は好調が続いています。また、不動産投資市場では、国内・海外富裕層、そして機関投資家の投資意欲は相変わらず旺盛で、投資対象不動産を選びながらも積極的な「買い」モードになっています。
ここからは、2020年の新設住宅着工戸数の状況を振り返りながら、2021年の住宅関連市況を予測したいと思います。

2020年の住宅着工数の着地と2021年の見込み

新設住宅着工統計は、毎月翌月末に公表されます。この原稿を書いている2020年12月時点で公表されているのは、2020年10月までです。
そのため、年間を通じた状況はまだ分かりませんが、1~10月までの数字をみると、おそらく住宅着工戸数の総数は大幅減になることが考えられます。

直近5年の新設住宅着工戸数の総数(年間計)は、図1のように推移してきました。

図1:住宅着工戸数の推移

国土交通省「住宅着工統計」より作成

消費税増税の前後は96万戸を超え、それ以外の年も90万戸台を維持している状況でした。
また、2019年の貸家の着工戸数は約34.2万戸で、総数に対する比率は37.8%でした。近年はおおむね40%が貸家という状況が続いています。2020年1月~10月までの貸家の新設住宅着工戸数は、25万5879戸でした。未発表の11 月と12月の着工数に、1~10月の平均である2万5000戸を仮に当てはめると、年間の貸家の新設住宅着工戸数は30.5万戸程度と想定します。
2019年から3.7万戸の減少となります(-11%)。
貸家の新設住宅着工数が30.5戸、総数に占める貸家の比率を40%として、2020年1~12月の新設住宅着工戸数の総数を推測してみると、30.5万戸÷40%=76.2万戸となります。11~12月の数字が出ていませんから、正確な数字では ありませんが、仮に11~12月が好調だとしても、80万戸割れの可能性もありそうです。もし、11月、12月が振るわず、仮に75万戸台ならば、2019年比で約20%もの減少になります。

戦後、新設住宅着工戸数が大きく落ち込んだ年が3回ありました。1回目は、1973年→74年のオイルショック時で、-31%の落ち込みは過去最大です。2回目は、1990年→91年のバブル崩壊時で、落ち込みは-20%。3回目は、2008年→09年、これは記憶に新しいリーマンショックの時で-28%でした。
2019年→2020年は、この算出方法では-16%となります。仮に-15%を超えれば、これら3回に次ぐ落ち込みになりそうです。
もう少し細かく住宅着工数を見てみると、持ち家(主に注文住宅)は10月までで21.4万戸、このペースならば年間で25.6万戸となり、2019年比で-11%となります。分譲(主に分譲マンションと分譲戸建)の年間着地見込みは24.3万戸で-9%となります。繰り返しになりますが、貸家(主に賃貸用住宅)の年間着地見込みは30.5万戸で-11%となります。
この、1~10月の平均×2を加えるという算出方法ならば、総計の年間着地予測は、81.4万戸(-11%)となり、80万戸以上をキープすることになります。


では、2021年はどのような予測ができるのでしょうか。貸家カテゴリーについては後ほど詳しく述べますので、ここでは持ち家と分譲を中心にお伝えします。
2020年の「持ち家」の着工戸数が落ち込んだ理由は、「新型コロナウイルスの影響がおさまらない中で、今は住宅の買いどきではない」と考えた人が多かったのではないでしょうか。注文住宅は、契約までの事前の打ち合わせを何度も重 ねます。また、その打ち合わせ内容は、なかなかオンラインでは行いにくいものです。「いまは買い時でない」は、「コロナ禍による景気後退で経済的に家を買えなくなった」ということよりも、「収入的に問題はないけれど、今はわざわざ動く時期ではない」と様子を見ている人が多くいたことが想像できます。つまり、数字の落ち込みから想像するほど、“注文住宅需要は冷え込んでいない”と思います。そのため、新型コロナウイルスの感染拡大が収まれば回復に向 かい、また、2021年早期に収束すれば、反動増も考えられます。
分譲マンション・分譲戸建については、先に述べた「購買層による様子見」に加えて、コロナ禍により、モデルルーム(分譲マンション)やモデルハウス(戸建)での密状態を避けるため、デベロッパーが販売を見合わせ・先送りした結果、発売戸数が減少したことも要因といえます。しかし、リモートワークが定着したことなどにより、一部郊外の戸建住宅の販売は好調でした。
新型コロナウイルスの影響が収まれば、デベロッパーは2020年分を取り返すためにも積極的に発売攻勢を仕掛けてくると思います。また、「買い控え、様子見」層の需要が溜まっている状況ですので、ウイルスの収束で反動増が起こ ると思います。
そもそも、個人の住宅需要自体は、収入(所得)の先行き見通しが影響するものの、個人のライフスタイルの変化などによって常に新規の需要が生じます。コロナ禍のような特殊要因で、一時的に需要が抑え込まれたとしても、その要因 が解消されれば、再び需要が盛り上がるのが普通です。
効果的なワクチンの接種が進めば、間違いなく新築住宅の需要は回復するでしょう。2020年の新設住宅着工戸数は10%以上の減少になる見通しでも、2021年は大きな反動増が期待できそうです。

貸家の新設住宅着工戸数と2021年の賃貸住宅投資市場見通し

ここからは、貸家(賃貸住宅)について述べます。
新型コロナウイルスの影響が出はじめた2020年2~4月ごろ、貸家の新設住宅着工戸数は、全国的に落ち込みましたが、その後の回復は地域によって差が出ました。持ち家や分譲においては全国的に落ち込みましたので、少々状況が異なります。

図2:貸家着工戸数2020年1月~10月の前年同月比の推移

国土交通省「住宅着工統計」より作成

図2は、2020年1~10月の貸家新設住宅着工戸数の主要都市別前年同月比を示したものです。これを見ると、全国合計では1~10月の全てで前年同月比がマイナスになっています。
このような中で東京の貸家は、対前年同月比で1月は+16.8%。2月から4月まではマイナスでしたが、5月から8月はプラス、9月と10月はそれぞれ-6.1%、-12.7%と落ち込んだものの、10カ月で見ると比較的堅調だといってもいいでしょう。
東京の貸家着工戸数は、1~10月の合計数字で前年を超えています。

大阪は、4月以降、大幅なマイナスの月もありますが、それを吸収するように6月は+46.1%、10月+17.5%となっており、グラフはギザギザの形になっています。また、愛知や福岡は1~10月で大きく落としています。
東京が比較的堅調だったのは、投資マンション市況で、新型コロナウイルスの影響があまり見られなかったことが要因だと思われます。会社に勤務しながら賃貸経営をしている方の中には、「もう少し落ち着いてから」というマインドも見られ、やや落ち込んだようです。一方、富裕層が購入するような1棟モノのレジ物件は、昨今の株式市場が好調と同じように、好調を維持しています。
国内投資家に加え、海外投資家(主にアジア圏)も積極的に「買い」に走っているようです。こうした方々が建築主となっている物件、あるいはこうした方々への販売用物件としての建築数が増えたことが東京での貸家着工数が堅調だった要因と思われます。
この傾向は2021年以降もしばらく続きそうです。不動産投資家のアンケートを見ても賃貸住宅物件への投資意欲は旺盛です、また金融機関の融資姿勢も、リーマンショックの時のような引き締めの兆候は見られません。加えて低金利の継続 も世界的な傾向ですので、ほぼ確実だと思います。こうしたことから、東京や他の大都市の一部エリアにおける貸家着工数は好調をキープすると思われます。

2021年の貸家の新設住宅着工戸数は、地方都市の主に土地活用での賃貸住宅建築で反動増があり、前年同月比では毎月プラスになり、2019年レベルに戻るでしょう。また、大都市部では、先に述べたように堅調な数字が続くと思います。

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