土地活用ラボ for Owner

土地活用ラボ for Owner

コラム vol.352
  • 賃貸住宅経営のポイント

震災から10年を経て再検討すべき「賃貸住宅経営の災害対策」

公開日:2021/03/08

2011年3月11日14時48分18秒。
みなさんは何をされていたでしょうか?
あの日あの時から10年の月日が経とうとしています。

奇しくも、2月13日(土)23時過ぎに、震災後最大級の余震が起き、嫌が上でもあの時のことを思い出した方も多かったでしょう。 私もそうでした。

今回、震災から10年を経て、節目となるこの機会に、改めて、「賃貸住宅経営から見た災害対策」を考えてみましょう。

あなたが保有する賃貸物件の災害対策は万全?リスクマネジメントの発想を知ろう!

昔から怖いモノの代名詞として、「地震」「雷」「火事」「オヤジ」が挙げられます。
「オヤジ」はその地位から陥落しているかもしれませんが、自然災害である「地震」と「雷」=水害(台風・洪水)、そして、人的災害の代名詞である「火事」は、お持ちの賃貸物件に甚大な被害を及ぼす 怖いモノ=「リスク」です。

リスクは日本語で“危険”と訳されます。ただ、他にも潜在的な危険の原因を意味するハザード(Hazard)や危険な状態を意味するデンジャー(Danger)も“危険”と訳されます。
また、リスクとは、ある行動に伴って(あるいは行動しないことによって)危険に遭う、または損をする“可能性”を意味します。
ですから、自然災害を予測することはできませんが、リスクは予測できるコトです。ただし、万人に共通するリスクと個別に影響を受けるリスクに分けられます。

限られた時間やコストの中でしっかり個別にリスクに対処するためには、自分にとって、何がリスクで何がリスクでないかを知ること、つまり、「被害に遭いそうな災害は何か?」そして、「どれくらいのダメージを受けるのか?」を認識することが大切です。

具体的には・・・

  • ①どのようなリスクがあるのか?を特定(洗い出)し、
  • ②そのリスクの大きさを分析/算定し、
  • ③自分自身にどのような損失があるのかを評価(確認)して、
  • ④具体的な対応を検討する

ことになります。

まずは、現状認識をしよう!

今回のコラムでは、「地震」にクローズアップしてお届けしますが、まず、私たち日本人が置かれた立場、地震発生の現状を広い視点で見てみましょう。

国土交通省「河川データブック2020」によると、日本の国土面積は世界の約0.25%しかないのにも関わらず、活火山の約1割があり、世界有数の火山大国となっています。また、世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割弱が、我が国周辺で発生しているという事実を認識しましょう。

図1:世界のマグニチュード6以上の震源分布とプレート境界

出典:国土交通省「河川データブック2020」

つまり、日本に住まうということは、地震という自然災害を避けることはできず、隣り合わせで生活することなのだと認識しましょう。今回の新型コロナウイルスに対応する「新しい生活様式」同様、置かれた環境を受け入れ、上手に付き合っていくしかありません。

被災可能性を分類する「リスクマップ」を使って、計画的な災害対策をしよう!

そもそも災害対策の目的とは、①「命」を守ること、②「生活」を守ること、③「資産価値」を守ることの3つになります。
この「①命」「②生活」「③資産価値」の3つを守る賃貸住宅経営とは何かを考えると、防災上の技術的な条件を満たした賃貸住宅を提供することがとても大切になります。
具体的には、何よりも大切なのは命ですが、入居者にしっかりとした防災関連情報を提供していれば「①命」を守りやすくなります。また、現在の防災計画(特に都市部)は在宅避難を前提に計画されているケースも多いので、防災に強い賃貸住宅を提供することは災害後の「②生活」を守ることにもつながります。また、仮に被災後に土地や建物が毀損しても、生活に支障が無い最低限の損失で済むならば、賃貸住宅経営者様の「③資産価値」を守ることにもなります。

以下の図2(リスクマップ)は、危険(このコラムの場合、地震)が「発生する頻度(=確率)」と被害に遭った際の「影響度(=被害度合い)」を縦軸横軸にプロットし、どのような対応を取れば良いかを決めていくツールですが、この「リスクマップ」を利用すると、具体的にどのように災害対策を行えば良いか、認識することができます。

図2:リスクマップ

引用:© 2013年 樗木裕伸 (株)優益FPオフィス

例えば、発生頻度が高く被害額も大きいのなら、【回避】=「その場所で賃貸住宅経営をするのは辞めておきましょう」という行動が大切です。地盤の弱い土地を選ばない、耐震基準を満たせない賃貸住宅を購入しないなどです。「先祖伝来の土地だから・・・」という感情的な話は置いておいて、既にそのような場所を保有し賃貸経営をされ、甚大な被害が想定されるのであれば、災害対策上安全な物件に買い換えるという選択もあります。

災害の発生頻度は低いけれど、被害額が大きいので、被災後のダメージが高くなるケースが【移転】です。この場合、助け合いの仕組みを利用し、災害が起きた際の損害をより小さくする努力ができれば良いということになります。例えば、火災保険や地震保険などに加入したりするということです。

災害の発生頻度は高いが、被害額はさほど大きくない(小さい)のであれば、【損失制御】をし、災害が起きた際の損害をより小さくする努力ができれば良いということになります。例えば、土地の地盤を改良したり、建物を耐震補強したりする。また、被災後を見越して、防災訓練や飲料や食糧の備蓄、発電機の購入や整備などを行うなどです。

発生頻度が低く、被害額も小さい場合は、【保有】=自分自身で対応するということになります。例えば、被災後の復旧費用を目標に積立貯金をしたり、被災時にも活用できる知識を学んだりすることです。

以上、災害対策には【回避】【移転】【損失制御】【保有】という4つの対応方法がありますが、具体的な対応については個別に異なるので、情報をたくさん持っている賃貸住宅管理業者に情報提供を求めるなどして決めると良いでしょう。ご自身で行いたいということであれば、今、賃貸住宅経営されているエリアの状況をこのリスクマップに当てはめれば、どのように災害対策を進めるべきかを考える手立てになります。

事前に確認しておきたい「ハザードマップ」

投資物件が被災しそうな災害を認識するひとつの方法として「ハザードマップ」の利用があります。
ハザードマップとは、被災が想定されるエリアや避難場所の位置等が表示された地図で、自然災害による被害の軽減や、防災に使用するために作られています。洪水・内水、土砂災害、地震など災害ごとに分けられており、実際の災害でもその有効性は認識されています。
投資物件のある地域のハザードマップについては、該当地域の市区町村から配布された紙の地図か、もしくは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で確認することができます。ハザードマップは一定の条件で自然災害が起こったケースを基に作成されていますから、目安として使うにとどめておき、被害予測が微妙な場合は、厳しい方を認識した上で災害対策を検討すると良いでしょう。

地震の場合は地盤の強弱が影響します。官公庁も参考にしているホームページとして、地盤調査大手のジャパンホームシールド株式会社が公開している「地盤サポートマップ」があります。同社が行った地盤調査のデータを元に、地盤の強さ(地耐力)が地図上に4色のポイントで詳細に表示されています。地形や地震での揺れやすさ、浸水土砂災害なども比較的わかりやすく表示されており、アプリもあります。

やっておきたい!災害後のためのサポート体制整備

災害対策は、時間軸を意識して

  • ・災害発生前に行う「予防(事前対応)」
  • ・発生直後に行う避難生活時の「応急(事後対応)」
  • ・生活再建に向けて行う「復旧(事後対応)」

という3つの局面に分けられます。ここ数年は官公庁でも「予防(事前対応)」をしっかり行うことにより、早期の「復旧(事後対応)」が見込めるとされています。

「予防(事前対応)」とは、災害が起きる前に対策できることです。

例えば、土地の改良や住宅の耐震工事など大きな費用がかかることから、入居者へ防災情報を事前に提供するなども比較的容易にできることまであります。

「応急(事後対応)」とは、被災後の困難な状況を悪化させないために行うことです。

災害によるけがや断水などライフラインの停止による生活の支障に対応する必要があります。それらの対応は基本的に入居者自身が行うべきことですが、オーナーとして最低限のサポートができれば、大きな信頼関係が構築でき、その後の賃貸住宅経営がやりやすくなるでしょう。
例えば、被災後の生活で最低限必要になると思われる食料や常備薬の最低限の備蓄や、日頃から入居者やご近所付き合いを欠かさず、「困り事があった際に地域や管理組合の誰に聞けば良いのか?」といったことも、事前に伝えておくと良いでしょう。

「復旧(事後対応)」とは、被災前の元の生活に戻るための対応です。

例えば、災害時に毀損した賃貸住宅の補修や建て直し、収支の改善などです。復旧をスムーズにするためにも、日頃から賃貸物件の保守などを行い、ご自身のライフプランをしっかり把握した上で、賃貸住宅経営の収支管理や改善を行うと良いでしょう。いざとなったとき、その認識度合いによって、すぐに対処行動が取れるかどうかの差が生まれます。

水害・地震・台風など、災害によってすべきことは様々で100%完璧に準備することは難しいことですが、できることから始めましょう。被災後のことを考え、災害に関する知識を身に付けたり、提携している賃貸住宅管理会社と密に交流し情報を収集・整理したり、日々防災を意識して行動することが大切です。

[5月開催] ダイワハウスの資産活用WEBセミナー 参加無料/予約制

メールマガジン会員に登録して、土地の活用に役立つ情報をゲットしよう!

土地活用ラボ for Owner メールマガジン会員 無料会員登録

土地活用に役立つコラムや動画の最新情報はメールマガジンで配信しております。他にもセミナーや現場見学会の案内など役立つ情報が満載です。


  • TOP

このページの先頭へ