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コラム vol.403
  • 不動産市況を読み解く

法人土地基本調査でみる、増える企業の賃貸用住宅の保有物件

公開日:2022/05/31

法人(企業)による不動産(土地や建物)の所有状況や不動産の活用状況は、時流により変化しています。2000年代前半は、「持たざる経営」つまり「バランスシートを軽くした経営」がもてはやされ、多くの企業が活用されていない不動産(例えば、後述する社宅など)の一部を手放しました。首都圏など大都市では、こうした時流によりある程度の広い土地が流通されることになり、この時期に多くのマンションが分譲されました。しかし、近年は、再び企業による不動産所有、および活用が活発になっています。
今回は、こうした状況を「法人土地基本調査」をもとに分析してみます。

法人土地基本調査とは

「法人土地基本調査」は、5年に1度行われる国の基幹統計(総務省が指定する、行政機関が行う特に重要統計のこと。これ以外は一般統計と呼ばれます)の1つで、法人(企業)による不動産(土地や建物)の所有状況や不動産の活用実態をつかむことができます。この調査の対象は、対象は全国の約49万の法人(母集団は約200万法人ですから、概ね1/4の企業への調査)で、全国・地域別での調査結果が公表されます。
最新の調査は2018年の調査で、次回の調査は2023年(令和5年)に行われ、翌2024年9月に速報結果(確報は2025年10月の予定)が公表されます。次回に向けて、2021年秋~22年春に予備調査(試行調査)が行われ、準備が進められています(執筆時点:2022年5月末)。結果が出れば、本サイトでもお伝えしたいと思います。
そのため、ここからは2018年までの調査結果をもとに分析を進めていくことにします。

土地・建物所有企業の大半は中小企業

最新調査によれば、土地・建物を所有する企業は、ともに法人全体の約4割となっています(土地:36.4%、建物:40.9%)。その多くは資本金3000万円以下の企業ですが、土地の面積でみれば、資本金1億円を超える企業が全体の6割を所有しています。土地建物両方所有している企業は約3割となっています。この割合は、平成5年調査以降(5年ごと)、多少上下するものの大きな変化はありません。

意外に多い、低・未利用地

本調査での低・未利用地とは、法人が所有している「宅地など」の土地の利用現況のうち、「駐車場」「資材置場」「利用できない建物(廃屋等)」「空き地」の合計のことです。2018年度調査を見ると、全国の法人が所有している土地総面積のうち12.6%が低・未利用地となっています。確かに地方圏は全国平均より多く14.1%となっており、この数字を聞くと、「地方圏に多いのか」と考えてしまうかもしれません。しかし、低・未利用地は、意外に東京圏でも8.1%、名古屋圏が8.2%、大阪圏8.2%もあります。また、法人が所有している低・未利用地の約8割は、5年前から低・未利用の状態で、今後も「転換の予定はない」との回答が約6割となっています。
(数値は、「法人・世帯の土地・建物の所有の状況 付表4-9 土地所在地(都道府県)別 法人が所有している低・未利用地面積・割合」より)
低・未利用地を所有している企業は、企業所有資産の最適化を検討し、具体的には使わないのであれば、①本業以外の有効活用を検討する、②手放す、等を検討してはいかがでしょうか。

増える企業の賃貸用住宅保有数

2018年の調査では、法人が所有する「社宅・従業員宿舎以外の住宅」の件数が大きく伸び、1993年(平成5年)以降過去6回で最高となりました。

図:法人が所有する「建物敷地」の利用現況別件数の推移

※社宅・従業員宿舎以外の住宅:法人が所有する社宅・従業員宿舎を除く戸建住宅、賃貸住宅、マンションなど

国土交通省「平成30年法人土地・建物基本調査」より作成

図は、法人が所有する建物敷地の利用別件数の過去6回分を並べたものです。
これをみると、冒頭で述べましたが、社宅・従業員宿舎は平成5年・10年・15年・20年(2008年)にかけて、減少しています。
逆に、社宅・従業員宿舎以外の住宅、これは主に社宅・従業員宿舎を除く戸建住宅、賃貸住宅、マンションなどですが、こちらは平成20年(2008年)を境に増加傾向にあります。そして、平成30年(2018年)には、平成15年(2003年)の倍近くになっています。

企業が所有する遊休地(=低利用地・未利用地)に賃貸用住宅を建てた事例も多く、また縮小した工場の跡地に建てた事例、社宅をやめてそこに賃貸用住宅を建てた事例も多いようです。
加えて、2013年以降金融緩和政策により低金利時代になると、企業が新たに土地を取得してそこに賃貸用住宅を建てる事例も増えました。こうしたことが、背景にあると考えられます。

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