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コラム vol.472-6
  • 土地活用税務コラム

相続税・贈与税の基本(6)賃貸住宅を相続したときの相続手続きと注意すべきポイント

公開日:2024/03/29

賃貸住宅を相続するということは、不動産の名義変更を行うことで相続となるわけですが、法務局への相続登記の申請手続きの前に、決めておかなければならないことや書類の準備、書類の作成など、事前の準備が必要です。注意点とともに紹介します。

不動産の相続で行うべきこと

一般的に不動産を相続する際には、主に以下のような行うべきことや手続きが必要となります。

  • ・相続対象不動産の調査
  • ・遺言書の確認
  • ・遺産分割協議書の作成
  • ・相続登記
  • ・管理会社、入居者への通知
  • ・被相続人の所得税の確定申告
  • ・相続税の申告

相続対象不動産の調査

最初に、相続する不動産について調べる必要があります。名義や所有状態を含め、土地の面積や地目など、該当不動産について調査します。また、相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、ローンなどのマイナスの財産も含まれます。今後の分割協議や相続税の計算等の元になるものですから、なるべく早くから取り掛かると良いでしょう。

遺言書の確認

遺言書があれば、スムーズな遺産分割が行いやすくなりますので、遺言書の有無を確認します。公正証書遺言を作成した場合、遺言書の原本が公証役場にて保管され、遺言者には写し(正本や謄本と呼ばれる)が交付されます。公証役場に照会を求めることも可能です。自筆証書遺言は、遺言者自らが保管している場合もありますので、遺言者の自宅や貸金庫等を確認してみましょう。
遺言書があっても、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割をすることは可能です。遺言書どおりに分割することで、余計にトラブルを引き起こしたり、税務上で大きな負担が生じたりする場合は、改めて全員で遺産分割協議をした方が良いでしょう。

遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を決める遺産分割協議をおこないます。遺産分割協議では「誰が」「どの財産を」「どれくらい相続するか」を話し合います。相続人全員が参加しないと遺産分割協議は無効になってしまいますので、事前に誰が相続人かを確認をしておく必要があります。 遺産分割協議の結果は遺産分割協議書として残しておきましょう。遺産分割協議書があれば、後日のトラブル防止や、名義変更などの手続きに役立ちます。

相続登記

不動産を相続するためには、被相続人から相続人に所有権を移転する「相続登記」を行う必要があります。相続登記を行うことで、所有者が移転し、売却や賃貸契約等を行うことができます。登記申請には、登録免許税の納付(不動産の固定資産評価額の0.4%)が必要です。令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されましたので、不動産を相続した人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
相続登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や遺言書(または遺産分割協議書)、固定資産税評価証明書等の書類が必要となりますので、司法書士などの専門家に相談しながら進めましょう。

管理会社、入居者への通知

賃貸住宅の維持管理について管理会社と契約している場合には、相続が発生したことを連絡し、契約者の変更を行います。また、賃料の支払先の変更などがある場合は、賃貸住宅の所有者の変更があった旨をご入居者に連絡します。

被相続人の所得税の確定申告(準確定申告)

確定申告が必要な人が亡くなった場合、相続人は故人の代わりに死後4ヵ月以内に税務署で所得税の申告を行います。準確定申告では、1月1日から亡くなった日までの所得を申告しますが、前年分の確定申告をせず、3月15日までに亡くなった場合は、前年分の申告も必要です。

相続税の申告

相続財産の分割方法が決まり、相続税が発生する場合は、死後10ヵ月以内に相続税の申告と納税をする必要があります。
賃貸住宅を相続しても、相続税が発生しない場合もあります。遺産総額(賃貸住宅は実勢価額ではなく評価価額)が基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】以下であれば、相続税はかからず、申告も必要ありません(貸付事業用宅地等の小規模宅地の特例を使って基礎控除額以下になる場合は申告の必要があります)。相続時精算課税の適用を受けて取得した財産や、相続開始前3年以内の贈与財産の価額も加算する必要があります(令和6年以降に贈与される財産については、この期間が順次7年まで延長されます)。

賃貸住宅を相続する際の注意点

賃貸住宅を相続する際、さまざまな手続きがありますが、その際に注意しておきたい点がいくつかあります。

残債務を確認する

相続するということは、プラスの財産だけではありません。アパートローンなどの残債務や借入金も相続財産に含まれます。場合によっては、被相続人の遺産がプラスの資産よりマイナスの債務の方が大きく、相続放棄を検討するケースもあるかもしれません。相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければなりません。

不動産の共有名義による相続はできるだけ避ける

分割協議がうまくいかなかったり、面倒だと思い、不動産を共有名義にしておくケースがありますが、あまりおすすめできることではありません。相続した不動産の売買、建物の修繕や建て替え等を行う場合、共有者全員の合意が必要になりますので、後々トラブルになりやすい相続方法です。
また、共有者が死亡し、その相続人が新たな共有者となるような場合、権利関係はいっそう複雑になります。

相続開始時から遺産分割終了までの賃料

被相続人が亡くなった相続開始時から遺産分割終了までは、正式に財産の分割ができていないことになりますので、その間に発生した賃料収益は、遺産には含まれず、法定相続人が法定相続分に従って取得することになります。

このように、不動産を相続した場合、行うべきことは少なくありません。スムーズに相続手続きを行うためには、被相続人が元気なうちに、関係者を含めた話し合いを持つことが何よりも大切ではないでしょうか。

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