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コラム vol.534
  • 不動産市況を読み解く

2025年の万博開催とテーマパーク開業、その影響を受ける住宅需要について

公開日:2024/12/26

報道が連日続きそうな2025年の大きなイベントを列挙すれば、4月から「2025 大阪・関西万博」(万国博覧会)が大阪北港の沖合の人工島、夢洲で開催されます。開催期間は4月13日から10月13日の6か月間です。
また、7月には参議院選挙が行われます(任期満了は7月28日のため、それ以前に行われます)。2024年10月の衆議院議員選挙では与党が多くの議席を失いましたが、参議院選挙ではどうなるのか注目されます。そして、9月13日~21日には世界陸上が東京で開催されます。世界陸上の日本での開催は2007年に大阪で開催されて以来18年ぶり、東京での世界陸上開催は1991年以来34年ぶりです。
今回のコラムでは、不動産市況・土地活用市況に大きな影響を与えそうなイベントを取り上げて、影響について解説します。

大阪・関西万博と再開発

これまでに日本で開催された万博(万国博覧会)は5回ありました。そのうち、2回は大阪で開催され、今回が3回目となります。これで、5回中3回は大阪で開催されたことになります。
日本で初めて(アジアで初めて)開催された万国博覧会は、1970年(昭和45年)の日本万国博覧会(通称:大阪万博)で大阪市北部に隣接する吹田市で開催されました。来場者は約6422万人で、この後日本では4回開催されましたが、この1970年開催の万博が最大入場者数であり、規模も最大級でした。開催決定以後は周辺の住宅開発が一気に進みました。会場の跡地は公園、遊園地、住宅展示場などとして利用されていますが、50年以上経過した近年、一部エリアは再開発に取り掛かっています。
次の開催は、1975年の沖縄海洋博覧会で、沖縄本部町で開催されました。沖縄の本土復帰(1972年)の記念と本島北部地域の振興を目指したもので、約349万人が来場しました。開催を契機に周辺の開発が進みましたが、その中心はホテルなど観光関連が中心でした。現在跡地は、公園となっていますが、その敷地の一部には、2002年に美ら海水族館が開業し、沖縄本島での集客力のある観光スポットのひとつとなっています。
3番目の開催は、1985年の国際科学技術博覧会(通称:科学万博)が筑波研究学園都市で開催されました。来場者は約2033万人でした。跡地は、そもそも移転予定だった官公庁や企業の研究施設に加えて、これらに勤める方々向けの住宅地、公園などに活用され、周辺地域も住宅地開発が進行しています。つくばエクスプレスの開業(2005年)もあり、便利な住宅地となっています。賃貸住宅需要も旺盛となっており、現在でも土地活用としての賃貸住宅経営、また土地を購入して賃貸住宅を建築する賃貸住宅投資が盛んに行われています。
また、1990年には、花と緑の博覧会(通称:花博)が大阪市鶴見緑地で開催されました。来場者は約2312万人でした。もともと緑地(公園)の場所での開催ということもあり、跡地の大半はそのまま公園やレクリエーション施設となっています。
そして2005年には日本国際博覧会(通称:愛・地球博)が愛知県瀬戸市他で開催されました。来場者は約2204万人でした。跡地は、モリコロパーク(最近ジブリパークが園内に完成)などになっています。
2025年の大阪万博は大阪市北港の沖合の人工島「夢洲」で開催されます。夢洲では2029年秋から2030年1月頃の予定で、IR(統合型リゾート施設)の開業が予定されています。カジノ、コンベンションセンターだけでなく高級ホテル、劇場や商業施設などが計画されています。IR施設には、年間約2000万人の来場が見込まれており、各鉄道の延伸、新設も予定されています。沿線地域では、ここで働く方々向けの住宅需要が増えるものと思われますので、賃貸住宅建築増の可能性が高まると言えるでしょう。

テーマパーク「JUNGULIA」:沖縄本島 今帰仁村

現在のところ期日は未定ですが2025年中に、沖縄本島北部にテーマパーク「JUNGULIA」がオープン予定です。開業すると沖縄への観光者が一層増えることが予想され、ホテル需要が伸びそうです。すでに、新たなホテルの計画・建築が進んでいます。大和ハウスグループの大和ハウスリアルティマネジメントも、新たなホテルブランド「BATON SUITE」の一号店として2025年3月27日にリゾート型ホテル「BATON SUITE 沖縄古宇利島」を開業します。
また、かなり大きなテーマパークですから、そこで働く従業員数も多く、その方々の住宅需要、主に賃貸住宅需要が増えると思われるため、周辺地域での土地活用、賃貸住宅建築が増えそうです。

「2020東京オリンピック」の跡地開発は、晴海地域の選手村跡地が住居として開発されたくらいでしたが(2020東京オリンピックは大きな開発をしないことがコンセプトの1つでした)、過去を振り替えれば、世界的なイベントが開催されると地域の不動産開発も進み、地域が活性化された例は少なくありません。
不動産資産の組み換えなどを想定されている方は、こうした国際的なイベントにも関心を配りながら、将来の不動産活用を検討することも必要となりそうです。

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