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インタビュー 013
  • 土地活用税務コラム

税理士リレーインタビュー 第13回 「世の中は本質的なことに向かうものです。お客様が安心して経営ができるような環境を提供したい。」 税理士法人 植松会計事務所 代表税理士 植松正美様

公開日:2018/02/28

インタビュアー(以下I):植松会計事務所様では、ホームページにも「絶対的業務基準」として記載されているように、非常に厳しい条件を自ら課して、会計事務所としての業務基準を宣言されています。

  1. 1 我々は、御社に毎月巡回監査に訪問します
  2. 2 我々は、月次決算データの毎月適時な提供を支援します
  3. 3 我々は、決算締前に、損益の予測と決算対策の機会があります
  4. 4 我々は、納税期限まで10日以上の余裕の決算報告を支援します
  5. 5 我々は、御社の協力のもと、次期経営計画を策定します
  6. 6 我々の提案提言は、御社のメリットを第一とします

とても素晴らしい宣言だと思いました。

植松(以下U):それらをすべてのお客様に対して行っています。特定の会社だけではなく、大きい小さい関係なく、すべてのお客様にそれをしてあげたいと思っています。予期せぬ税金だけは防御してあげたい。もちろん資産税、相続税に関してもそうです。お客様に絶対的な信頼感を持ってもらいたいのです。
また、私たちの事務所ではすべてのお客様の月次決算をやっています。これはすごいことだと自負しています。月次決算をやって、ほとんど企業に経営計画をつくって差し上げて、安心して経営にタッチしてもらう。その結果6割を超えるお客様が黒字決算をされています。

I:標榜することは簡単ですが、実際に行動し、結果を出すことは本当に難しいことです。

U:これが私たちの事務所のパンフレットです。ここには、先ほどの「絶対的業務基準」を書いています。それを私たちは「やります」と言い切っています。
また、私たちの事務所では、決算書をきちんと製本したかたちで出しています。それは誰が見ても驚くようなものです。会計税務に関しては絶対的な信頼が置ける良いものを出したいと思っています。

I:税理士本来のお仕事を追求されているということでしょうか。

U:今、これだけいろいろなものがあってゴミ一つ落ちていない、素晴らしい社会が形成されてきています。そこではいかがわしい者、ゴミをまき散らすような者はいなくなっていきます。いろいろな意味で本物に戻っていく社会が形成されていく。
そんな風に思えば、税金もそうだと思います。資産対策だけを追いかけるのではなく、私は本来のことをきちんとやっていきたいと思っています。もちろん中には資産税対策だけを依頼に来ていらっしゃるお客様もいますが、多くはありません。私たちは資産税だけでやっている事務所ではありませんし、お客様がいつでも不安なく対応できるようにしたいと思っています。

I:NPO法人をつくられているのも、地域や社会に対して貢献していこうという現れですね。

U:おかげさまで収益性も良い事務所になってきました。その一部を自分たちの得意分野で地域社会に還元したいと思い、NPO法人をつくらせていただきました。「夢実現支援隊」、良い名前でしょう(笑)。

家の承継を踏まえたかたちでの事業承継

I:信頼関係をもとに長期間にわたる支援をされていると、事業承継にも多くかかわられているかと思います。

U:はい。最近特に増えてきた印象です。地元の中小企業は同族企業が多いのですが、10人未満の会社の7割はそうした同族会社ではないでしょうか。
同族会社では、会社の経営の承継、事業承継ばかりではなく、家族として、家としての承継が大きなウエートを占めます。そう考えると、やはり家の承継を踏まえたかたちでの事業承継を考えてあげるべきです。

I:同族経営者が実際に生活されている家の承継を考えるということは、資産管理や相続の問題を一緒にやっていくということですね。

U:そうですね。いろいろな相続対策があるかもしれませんが、究極の相続対策は何かというと、遊休資産をどうするかです。有効に使われていない不動産に対していかに付加価値を上げることができるか。どんなに節税しても、何も収益を上げない土地を持っていたらコストばかりかかってしまいます。
何もしなくても相続対策の手段はありますが、一番は、いかにそこから収益を生んで、その収益から税金に回してもらえるかどうかだと思います。ですから、最初に聞くのは「遊休資産をどうしますか」ということです。

I:遊休資産の有効活用については、どのように進められるのでしょうか。実際に具体的なアドバイスをされることはありますか。

U:実際にアドバイスすることもあるのですが、無理やり話を持っていくようなことはしません。小さな土地を持っている方にはそれをどうするのか聞きます。「不動産屋さんから提案を受けている」とおっしゃれば、「その話に乗ってみたらいいですよ」とアドバイスしますし、地元の建設会社とお話を進められているのであれば、そのまま進めていただくこともあります。いずれにしても遊んでいる不動産は一番困ります。
特殊な例かもしれませんが、昔、ある不動産をお持ちの中小企業経営者で、自分が亡くなったあと妻が心配だという方がいました。そこで、奥様の名義で賃貸住宅をつくり、奥様の将来に向けた所得を確保したらいかがですかと提案しました。それなら心配ありません。やはり、すべてが会社あっての対策だと思います。すべてが順風満帆にくるわけではないし、平穏をなくす人もいます。

I:最近の活用方法に傾向などはありますか。

U:そんなに専門的にはやっているわけではありませんが、賃貸住宅を建てるのが中心で、駐車場による不動産活用した事例もあります。
ある例ですが、ある企業が持つ不動産を活用する話が出たときに、姉が2割の株をもっており、どうすればいいかという相談がありました。
私は、「株はそのままにしておいて、税金負担も全部してもらえばいい。嫌だと言われれば株を買い取ればいいし、お姉さんにとって負担になるようなことはしないほうがいい」とアドバイスしました。その後、立体駐車場をつくり、不動産活用が実現しました。そのお客様は完全に信頼してくださり、その後も何かあると必ず来てくれました。従前から相続対策をやっていた上での話だったので、嬉しかったですよ。

I:仙台の中小企業、その経営者を、全面的に、会社から個人の部分まですべてを支援していらっしゃるわけですね。

U:はい。ですから、不動産活用が特別な扱いにならないようにしています。不動産だけで何かしようとは思わず、個人だったら家を中心に不動産の活用を考えますし、会社だったらその会社の経営状況を踏まえていろいろなことを考えます。ただし、ある程度の規模の会社はまったく違ったかたちになります。

I:特に同族企業の場合、会社としての資産とオーナーさん個人で持たれている資産が一緒になっているケースがあると聞きます。

U:今、無担保の融資も増えてきたとはいうものの、やはり担保物権として個人の財産を提供することもあります。もし会社がだめになれば、だいたいは個人のものも吹っ飛んでしまいます。そうすると、経理上は区別されていても、私情的には会社も個人もあったものではありません。

I:新聞に、配偶者居住権の新設など、相続税が40年ぶりに変わるかもしれないとありました。

U:良いことだと思います。遺産相続を行う場合、何か問題が起こるものです。我々の耳には入ってこない遺産分割の話もあると思います。そうした問題が起きても、配偶者に居住の権利が保障されるというのは、安心です。
今でも、よほどの豪邸でもない限り、生前であれば同居の配偶者に税金はかからないので、私たちも配偶者の生前贈与は積極的にやっています。今回の改訂は、その分が遺産分割から外れるということなので助かります。法定相続分で配分するときに「母だけは生前贈与をやっているじゃないか」となると、下手すると現金がほとんどなくなってしまいます。今度の民法改正でそれが入るとすれば、我々からすれば非常にやりやすいですし、相続対策もやりやすいのではないでしょうか。
なんだか世の中が本物の方にどんどん動いてきているような気がします。成熟していけばいくほど、本質的に良い方に動いていきます。土地もそうです。本当に良い活用方法に持っていかないと、地域社会には貢献できません。

企業の経営も支援

I:中小企業の経営支援も積極的に行われています。

U:そうです。これからさらに積極的にやろうと思っています。いろいろな意味でのキャリアプランを含めた経営計画です。

I:経営計画のお手伝いというのは、具体的にはどういったことをされるのですか。

U:簡単なことから始まります。TKCの五つの質問というものがあるのです。

  • 次期の目標経常利益はいくらとしますか?
  • 次期の売上高の伸びを前年比でどう見ていますか?
  • 次期の限界利益率(粗利益率)をどれだけ確保できますか?
  • 次期の従業員給与・賞与を前年比でどう見ていますか?
  • 次期末の人数(役員を含む)は何人ですか?

(TKCホームページより)

この5つの簡単な質問から始まる経営計画です。そこに主を置きながら、経営計画の立案を支援させてもらっています。そこで余力が出てくれば、次はどんなかたちでどんなことをしていったらいいか、より具体的にします。これからもっと積極的にやろうと思っていて、ホームページのいろいろなところでそれについて触れていますので、年に数件ですが、ホームページを見て来てくれるお客様もいます。

I:ホームページにも「戦略思考Q&A」など、楽しみながら身につく、経営や会計に関するコンテンツが豊富ですし、なんといってもユニークなのが「戦略MG」です。これはなかなか珍しいですね。

U:やはり手間暇かかりますからね。これは、私が開業したころにソニーが開発した経営シミュレーションゲームです。延べ1万社以上が行いました。特許の関係で2つの会社がやっていますが、私は戦略MGのほうを実施しています。プロでやっている方もいて、有料でやっているところがたくさんありますが、私たちのように定期開催をしているところはそんなにないと思います。私たちの事務所では最初が2万円で、2回目以降は千円で道場に来てもらっています。

I:毎回、戦略MGをやる度に違うインプットがくるのですか。

U:商売をやっているのと同じです。40年で約500万人が参加しました。それくらい素晴らしいゲームです。座学ではなく、ゲームの最中は皆さん興奮して座っていられないほどです。約1時間ゲームをして、1時間決算をします。1日10時間で5回の決算をすることができます。通常は1泊2日で、もう少し費用も高いと思いますし、2回目以降のゲームは誰もやってくれません。そこを私たちは1,000円で、繁忙期に関係なく毎月やっています。
ゲームをやりながら必然的に帳簿を書き、その結果を集計すると貸借対照表ができて、損益計算書ができます。そうすると決算書の見方がわかるんです。「こんなかたちで出来てくるんだな、あともう1個売ったらどんなかたちになっていたのかな」と。どこのCEOも「もう1個売ってこい」と言いますよね(笑)。それだけ利幅が変わってくるわけです。「もう1個物件を売れば、粗利がそのまま会社の利益になるんだよ」ということです。「昨日の残業手当はお茶を飲んでいる残業手当だ。この1万円は売上には何の貢献もしていない。これがなければ利益が1万円増えるんだよ」ということもわかります。

I:すべての項目が決算書に反映されていくわけですね。

起業支援も積極的に実施

I:起業をする方の支援もされています。順調にいっているところだけでなく、これから頑張っていこうという会社の経営支援も積極的に行われていますね。

U:企業規模の小さい大きいは関係なく、むしろ小さいところを一生懸命やっています。法人は通常月額3万5千円からですが、経営が軌道に乗るまでは大変ですから、実力をつけるまでは費用的な相談に乗ることもあります。

I:当然そうした会社にはリスクもありますし、今どきの起業ではうまくいくほうが少ないくらいです。

U:この間も公庫の方がきて、「植松さんから紹介いただいた融資先が1番多いです」と言ってくれました。私たちは間違いのない決算書しか出しませんから、それでこうした信頼関係をいただけることが嬉しいです。人に信頼してもらえなければ成長しません。ごまかして粉飾するくらいなら、最初から潰してしまっても仕方ありません。粉飾は一度やったら止められません。気づいたときには両親の不動産、下手すると親戚の不動産、全部をだめにしてしまいます。だから堂々と信頼の決算書作成をやらなければいけないのです。

I:そういうお話を聞いて、次に起業する方もまた先生のところにいらっしゃるのでしょうね。

U:お客様にコンビニエンスストアのオーナーが多いのはそういうことだと思います。コンビニエンスストアだけで30件くらいあります。「心配だったら植松さんのところに行ってみろ」とオーナーがオーナーを紹介してくれるんです。
これは嬉しいですね。起業という面ではあまり支援する場面はありませんが、税制の面ではサポートできることがたくさんあります。コンビニエンスストアは収益性があまり良くないことの方が多く、仕事は大変ですが、その人が決意して選択されたのですから、ビジネスを応援しようと思っています。
起業でもっとも多いのは、医師の起業です。多い時には年間5件くらいあります。ドクターからの非常に厚い信頼があると自負しています。以前、法人の申請で県に行った際、「今期8件のうち、植松さんのところで5件です」と言われました。

I:まさにお客様からの信頼がお客様を生みだしているのですね。

U:お客様がお客様を紹介してくれるから、これだけの事務所になってきました。その期待を裏切らないような情報の提供をし、税金も安心して納められるようにしたいですね。ですからこの何十年、税金が高いとか、決算がおかしいという話はまず聞いたことがありません。
前もって、「税金はこれくらいになりますよ。利益はこれくらいで決算を迎えられると思いますよ」と、それだけの情報を提供したら喜ばれますし、安心していただけます。そういった意味で、良い商売をしていると思います。当たり前のことを堂々としていれば、それでいいのです。堂々としていればそれだけ早く情報が入ってきますから、対策も早く打てます。良いことずくめです。

I:新しいお客様、たとえばサラリーマンのお客様はいらっしゃいますか。資産を持たれていて新しく相続税が発生する方、税理士さんに個人としても相談しないといけないような方が今後増えてくるのではないでしょうか。

U:毎年そのような方が数件あって、今も2件抱えています。しかし、相続税でやっている件数は私たちの事務所は少ないと思います。そんなに積極的にやっているわけではありませんから。
ただ、現預金をたくさんお持ちの方はたくさんいます。この前亡くなられた方もそうでした。商売がだめになってきていたので、「もう廃業されたらいかがですか。その代わり名前は残して、何か会社をつくったらいかがですか」とアドバイスしました。何がいいかと聞かれたので、不動産会社をつくったらどうかと答えました。「土地もある程度持っていて、相当の金額を持っているのだから、不動産業として孫子の代まで続いて繁栄するような不動産会社をきちんとつくってあげてください。そうすればご先祖様も喜びますよ」と。

I:今回は、先生の信頼関係の強さを伺えるお話をありがとうございました。特に病院に特化してやっていこうということではなく、結果的にそうなっただけだということですね。

U:医者が少し多いだけですが、それだけインテリ層から信頼をもらっているということは嬉しいことです。紹介されたところはほとんど継続していますし、継続率も非常に高いです。そういった意味で、本物の良い仕事をしていればいいのだなと、くどいようですがそれに尽きます。ましてや、信用や信頼はかたちがあるものではありません。常にお客様が安心して経営ができるような環境だけはつくってあげたいと思います。

植松 正美(うえまつ まさみ)

税理士法人 植松会計事務所 代表税理士

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