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コラム vol.236
  • 不動産市況コラム

2018年3月レポート 2018年地価公示を読み解く

公開日:2018/03/31

公示地価3年連続のプラス!

2018年3月27日に公示地価が発表されました。
公示地価は、住宅地・商業地・工業地などに分かれていますが、2018年、これら全用途は前年対比+0.7%となり3年連続でプラスとなりました。三大都市圏では+1.5%、地方圏でも+0.04%となり、都市部だけでなく地方圏でも地価の上昇が見られるようになりました。不動産市況好調の波が全国に広がっている様子が鮮明となっています。

公示地価は地価公示法に基づき、国土交通省がその年の1月1日時点の地価を毎年1回3月下旬に発表するもので、主に土地の取引の際の規準となるものです。

大都市圏:東京・大阪・名古屋の状況

東京圏の住宅地は+1%で5年連続の前年プラス。都内23区全てで上昇しました。一部下落する地点もありますが、上昇地点が増えて、またエリア的にも広がりを見せていることから、上昇の波が広がっていることがうかがえます。また、商業地は3.7%の上昇で、こちらも5年連続の前年プラスとなっています。

図1:東京圏 地域別対前年平均変動率(住宅地)

国土交通省「地価公示」より作成

大阪圏では、商業地が前年比+4.7%と三大都市圏でトップの上昇率で、5年連続の前年プラスとなりました。一方、住宅地はあまり大きな伸びを示さず、+0.1%とこちらは三大都市圏で前年に続き最下位となっています。
関西エリアで目立つのは、京都府の商業地の上昇です。前年比+6.5%で全国都道府県トップとなっています(ちなみに京都市は+9.1%)。海外からの観光客が増加の一途で、ホテルなど宿泊施設あるいは観光客向けの商業施設などの需要が高まっていることが要因です。

名古屋圏では、商業地が+3.3%、住宅地は+0.8%となっており、このエリアも安定して上昇しています。リニア中央新幹線の完成に向けて、開発が進めば一層の上昇が期待されます。

名古屋圏では、商業地が+3.3%、住宅地は+0.8%となっており、このエリアも安定して上昇しています。リニア中央新幹線の完成に向けて、開発が進めば一層の上昇が期待されます。
ちなみに、東京圏とは東京都区部、多摩地区や神奈川県の横浜市・川崎市など、千葉県の千葉市・浦安市・船橋市など、埼玉県のさいたま市・川口市など、茨城県の取手市などを網羅した広い意味での東京エリアを指します。同様に、大阪圏とは大阪府内と兵庫県の一部(神戸市・尼崎市・西宮市など)と京都市・奈良市などで、名古屋圏は愛知県の名古屋市・一宮市などに加えて三重県の一部(桑名市・四日市市など)となっています。

近年の公示地価上昇は、緩やかに長期が特徴

近年の公示地価の特徴は、商業地の上昇カーブを見ると、はっきり傾向が見えます。

図2:圏域別対前年平均変動率(商業地)

国土交通省「地価公示」より作成

商業地の地価は、ミニバブル期2005年~08年の時には、前年対比10%を超える年もあり、短い間に急上昇した感がありました。しかし、近年の不動産好景気においては、上昇率はミニバブル期には及ばないものの、大都市圏では5年、全国でも4年連続上昇という長期にわたっているのが特徴といえます。

金融緩和政策、低金利が長期間に及び、その効果がじわじわと効いていることがわかります。また、都市部での地価上昇が続いているため、不動産価格はかなり上昇しており、その余波が地方へ向かっているようです。

公示地価40年を振り返る

図3は、1975年以降の公示地価(住宅地)の前年増減率のグラフです。

図3:公示地価前年増減率(住宅地:全国)

1980年代後半から90年にかけていわゆるバブル期の大きな伸びが印象的です。この間は、好景気が長く続き、不動産投資ブームが起こりました。またベビーブーム世代が自宅を購入する時期と重なり住宅建築ラッシュになり、地価が急上昇しました。
その傾向は、大都市圏でより鮮明で、東京圏、大阪圏においては、50%を超える上昇の年もありました。

図4:圏域別(住宅地)公示地価前年増減率

バブル崩壊以後1992年ごろから地価が急落し、そこから長い資産デフレのトンネルに入りました。
バブル崩壊以降は2007年~08年の2年間プラスが続いているのが目立つくらいです。近年の上昇は、わずかなプラスがしばらく続いているという感じですが、バブル崩壊以降ではわずかな率ですが、最も長い上昇期間です。

2000年以降にフォーカスしたものが図5です。

図5:圏域別(住宅地)地価公示前年増減率(2000年~)

ここで目立つのは、地方圏の上昇です。
特に、福岡、札幌、仙台、広島といって三大都市圏に次ぐ地方中心都市においての地価(住宅地、商業地とも)は大きく上昇しています。これらの都市は三大都市圏よりも高い上昇率を示しています。
これは、大都市圏からの余波が地方への不動産投資を招いていることが要因と思われます。

2019年の予測

2018年~19年の地価がどうなるのかを検討してみます。
不動産価格に大きな影響のある金融政策、具体的には金利政策ですが、日銀による現在の政策が継続される見通しです。これは、次回の2019年3月発表の公示地価においても、上昇圧力になると思います。

さらに、東京圏、大阪圏においては、再開発ラッシュがしばらく続きます。こうした街の再生は、利便性が向上しますので、これも地価上昇に向かうことになります。大都市圏においては、2019年に向けても、今年と同じくらいの上昇が見込まれます。

また、地方都市においても、現在の傾向が加速すると思われます。地方中核都市においても、開発計画が目白押しですので、これも上昇要因になるでしょう。おそらく、今年と同じように来年の地価公示においても、三大都市以上の地価上昇が予想されます。

来年はこの影響が、地方中核都市から1段規模の小さい地方都市への波及があるかどうかが大きな焦点となると思います。
土地活用を予定されている方は、こうした傾向を参考にしてください。

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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