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コラム vol.338
  • 不動産市況を読み解く

賃貸住宅ローンの審査基準と2020年以降のローン金利の見通し

公開日:2020/09/30

POINT!

・金融機関のアパートローンの審査には、20歳以上であることや、賃貸住宅経営の事業承継者がいることなどが条件である

・アパートローンの場合、当該物件の資産価値と収益力が主な審査項目

・借入金額が大きいアパートローンでは、金利のわずかな差によって、支払総額に大きな差が生じる

土地活用として賃貸住宅を建築し、賃貸住宅の経営をスタートさせるほとんどの方は、金融機関から融資を受けます。その際、一般的には(ビジネスなどで取引がある場合は別の仕組みがあります。ここでは、ビジネスを行っていない地主の方々という意味です)、賃貸住宅用の融資(通称:アパートローン)を利用します。そのため、大半の方は、賃貸住宅の建築契約を結ぶということは、金融機関の提供する「ローン」という商品を購入するということになります。
今回は、賃貸住宅建築ローンについてと、この先の金利の見通しについて考えます。

アパートローンを借りることができるのは誰か?未成年と高齢者は?

当たり前ですが、アパートローンの利用には少し条件があります(主要銀行の場合ですので、例外もあります)。
まず、20歳以上であること。これは、民法の「未成年が法定代理人(=一般的に親)の同意なしに結んだ契約は無効になる」という条文があるからです。親の同意があればOKかどうかは、金融機関の判断のようです。

では、アパートローンは何歳までの方が借りられるのでしょうか。
一般的にアパートローンには、明確な年齢上限基準はありません。多くの金融機関では、「賃貸住宅経営(アパート事業経営)の事業承継者がいること」が条件に挙がっています。
意外に思った方もいるかもしれません。個人が住むための住宅では、たいてい年齢制限があります。この違いは、審査基準の規準によるものです。

住宅ローンとアパートローンの審査基準の違い

個人が住むための住宅ローンでは、年齢制限があるのが一般的です。例えば、ある金融機関では70歳までといった条件があるようです。住宅金融支援機構が提供する「フラット35」では、親子リレーローン等の活用で70歳以上も借りることができます。また、借入年数は、「80歳-現在の年齢」ですので、45歳の方は35年借りられるということになります。
住宅ローンの基準は、「契約者の収入や勤続状況といった属性とその方の健康状況等」が主です。つまり、住宅ローンの審査対象の主は、契約者本人ということです。
しかし、アパートローンでは、少し状況が異なります。まず、該当物件、つまり賃貸住宅の資産価値を審査します。立地条件、建物の構造種別、耐久年数などの審査です。
また、収益力の審査もあります。賃貸住宅経営という事業がうまくいくのかという審査です。
この2つの主たる審査に加えて、契約者の資産状況なども加味されるようです。しかし、「事業がうまくいくか」が基準の基本とされています。

わずかな金利の差でも、支払総額では大きな違いに!

現在、アパートローン金利は、かなり低い水準が続いています。
では、金利の違いで、どれくらい総返済額が変わるのでしょうか?
賃貸住宅の建築費用として1億円を金融機関から借入する場合、わずかな金利の違いでどれくらい返済総額が変わるのかをシミュレーションしてみます。最も長く借りた場合の「元利均等法式」、35年、毎月払いの例です。ここでは違いを見るために、全期間固定金利という設定にしています(手数料その他経費は考えない)。
まず、金利1%の場合、毎月の支払い額は28.2万円、支払総額は約1億1856万円となります。元金1億円で利息1856万円です。

次に1.2%の場合、毎月の支払い額は29.1万円とそれほどの違いを感じませんが、支払総額は約1億2251万円となり、約400 万円の差がつきます。元金1億円で利息2251万円となり、元金に対して2割以上の利息となります。
そして1.5%の場合、毎月の支払いは30.6万円、支払総額は約1億2859万円となり、1%の金利とは約1000万円の差がつきます。わずか0.5%の金利差が、支払総額に大きな差を生むのです。

この先の金利の見通し

現在のアパートローン固定金利は、1%~1.5%程度の金利(条件などによる)です。状況により ますが、今後は概ね同水準か、少し下がるのではないでしょうか。
その背景あるのは、世界的な低金利の傾向です。日銀は、2020年9月17日に「新政権と引き続き連携し、大規模な金融緩和政策を続ける」と発表。そして、その旗振り役の黒田日銀総裁は2023年の任期満了まで全うすると意欲を示しました。これは、実質的に2023年までは、現在の超低金利を続けたいという宣言のようです。
また、アメリカに目をやるとFRBは16日に、「少なくとも」2023年まではゼロ金利政策を続ける方針を明らかにしました。 日本・アメリカ政府とも、新型コロナウイルス対策による財政悪化懸念が高まることにより、国債金利上昇になると、市場に不安が広まりますので、「その可能性を摘む」という政策といえます。
このような状況から、この先も低金利が続くことが見込め、2020年の春から夏の一時期、賃貸住宅の建築に停滞ムードが広がりましたが、そのムードも変わってきています。

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