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コラム vol.494
  • 日本社会のこれから

社会貢献としての土地活用を考える

公開日:2024/03/29

土地を有効に活用して賃貸住宅経営を行うことは、収益を上げると同時に、地域や社会への貢献にもつながる事業です。
現在、地域や社会において、さまざまな課題や問題が顕在化しています。特に、日本においては人口減少と少子高齢化の動きが加速しており、この変化が、今後の不動産経営にも大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
約800万人いるとされる「団塊の世代」人口が全て75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、「2025年問題」と呼ばれていますが、超高齢社会が訪れることで、さまざまな影響が起こるとされています。なかでも、「社会保障費の負担増加」「医療・介護の体制維持」といった問題が提起されており、高齢者の健康を守るための施策が求められています。

超高齢社会の中、様々な社会問題を解決するために国が推進する「地域包括ケアシステム」

超高齢社会の対策として政府が推進しているのが「地域包括ケアシステム」です。国土交通省の資料によれば、「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現」とあります。
このシステムで中心となるのは「住まい」であり、要介護状態になっても在宅医療や介護サービスが受けやすく、自分らしく安心して暮らせる環境整備として、高齢者向け住宅が必要とされています。
これらの課題に対しては、運営事業者だけでなく、土地オーナーや地域が一体となって解決する必要があります。
土地を活用した、民間業者が運営する高齢者向けの住まいとしては、下記に挙げたような施設があります。

有料老人ホーム 通常、住まいと食事や生活支援のサービスが一体となっている。介護サービスも同一事業者から提供を受ける場合が多い。
※有料老人ホームには、事業者が介護保険サービスを提供することを前提とした「介護付有料「老人ホーム」と、必要に応じて入居者自身が外部のサービス事業者と契約して介護保険サービスを提供してもらう「住宅型有料老人ホーム」があります。
サービス付き高齢者向け住宅 「安否確認」や「生活相談」の提供が必須とされているほか、食事の提供を行うことが多い。介護などのサービスは、住宅の運営主体や外部の事業者と別に契約を結ぶことで提供される。
ケアハウス 生活コストを抑えながら、高齢者に配慮した住宅で暮らすことが可能。介護サービスは提供されない場合もあるので、再度の住み替えが必要になることもある。
特別養護老人ホーム 安価に入居できるが、待機者も多く、数年の待機が必要となる場合もある。個室化が進んでいるが、4人部屋なども多く見られる。

出典:厚生労働省「高齢者向け住まいを選ぶ前に消費者向けガイドブック」より

内閣府の資料によれば、「日常生活において介護を必要とする程度別に一人暮らし高齢者の希望する介護場所をみると、介助の必要性が高くなると、自宅での介助を希望する人が減少し、介護施設やケア付き住宅でも介護を希望する人が増加する」となっています。

図1:「一人暮らしの高齢者」の介護場所の希望

出典:国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」内「一人暮らし高齢者の意識に関する調査」(内閣府)

また、同資料では、今後は「住まい」の選択として、「できる限り自宅で」または「地域の高齢者向け住まい・施設への転居」を「料金やサービス内容など住宅に関する情報が地方公共団体や事業者から開示されることによって自身の判断で選択できるようにしていく」としています。

地域包括ケアシステムでは、大学病院などの大病院での外来診療を抑制し、地域の診療所での外来診療を強化する方針を打ち出しています。しかし、特に地方においては、医師の高齢化が進み、閉鎖も増えている状況もあり、そうした地域では、診療所へのニーズは高まっていると言えるでしょう。
土地活用の方法としては、複数の診療所と薬局が入居した、いわゆる医療モールや一戸建の診療所が建ち並ぶクリニックビレッジ等が考えられます。

保育所建設で社会貢献

労働者不足、子育て世代の社会進出のためには、保育所は欠かすことのできない施設です。こども家庭庁の発表(令和5年4月1日)によれば、待機児童数は2,680人で前年比264人の減少となってはいるものの、保育所の開設は、少しでも働きたいと考える子育て世代には必要なことです。
新子育て安心プランの実施方針に基づく各市区町村の「新子育て安心プラン実施計画」の集計では、2024(令和6)年度末までの4年間に、約8.5万人分の保育の受け皿を拡大する見込みとなっています。
また、企業主導型保育事業、保育所等整備交付金、保育対策総合支援事業費補助金など、政府より保育園が活用できる補助金・助成金が交付されていますので、これらを活用することで、効率的に保育園の運営を行うことも可能です。

地球環境への貢献としての土地活用

国は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2021年8月に「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方の概要」を取りまとめ、その中で「2030年に新築される住宅・建築物については、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されること、2050年にはストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能が確保されること」を描いています。
戸建住宅と同様に、賃貸住宅やマンションにおいても、1棟全体(住棟)のZEH評価としてZEH-M(ゼッチ・マンション)が定義されています。
ZEH-Mの採用は、環境問題への貢献という大きな課題に取り組むことにつながります。また、ご入居者にとっては、快適な住まいと光熱費の削減というメリットがあり、オーナーにとっても、資産価値の向上、健全な賃貸住宅経営につながるなどのメリットがあります。
これから新築や建て替えを検討している方は、ZEH-Mの必要性を十分に理解した上で、導入を検討する際は、大和ハウス工業など、信頼できる専門のパートナーに相談してください。

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