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コラム No.62

CREコラム・トレンド

銀行が不動産業界に急接近

公開日:2018/09/19

銀行が不動産業への関与を高めています。地方銀行業界は不動産業務の規制緩和を要望し、メガバンクでは不動産大手と組んで保有不動産の有効活用のための新会社を設立する意向といわれています。銀行が不動産業界に接近する理由とその狙いを考えてみます。

地方銀行が不動産業務の規制緩和求める

全国地方銀行協会は2018年9月、内閣府に対して「環境変化を踏まえた業務範囲規制の見直しに関する要望」と題する要望書を提出しました。この中で、人口減少や少子高齢化などで過疎化が進む地方では、地方創生の観点から市街地再開発やコンパクトシティ形成事業などの不動産取引を仲介してほしいとの要望が取引先や地方自治体から数多く寄せられている、と意見を述べています。

このため地銀協は、銀行と銀行の関連会社の収入依存度の規制をなくし、不動産仲介業務を解禁してほしいと要望しました。そうすれば、金融と非金融を組み合わせた幅広いサービスが提供でき、地方創生が具現化していくと主張しています。

収入依存度の規制というのは、銀行の関連会社の売り上げは銀行本体からの売り上げが50%以上なければならないという決まりのことを指します。これは銀行の他業禁止規制に沿ったルールで、金融業務以外のすべての業務に対して課せられている規制です。銀行などの金融機関は資本力があるので、どんな業務を展開しても取引相手に有形無形の圧力がかかるからです。公正取引の観点から定めている原則なので、この線引きはこれまで変更されたことがない鉄則なのです。

このため、金融庁が仮に銀行の子会社に対して新たな業務を認めたとしても、「50%以上は銀行から仕事をもらわないと駄目だ」と譲らないならば、不動産業に本格的に取り組むことは困難になります。

他業種との不公平感を指摘

鉄の原則を少しでもこじ開けるため、今回地銀協は別の案を出してきました。それは、他の業種では、企業グループの中の子会社は「他業」である金融業務に進出できているのに、銀行という企業グループの中の子会社は厳しい業務規制にあっている、という不公平感です。金融庁が銀行本体に不動産業務を解禁することは難しいと判断、子会社の業務範囲を広げるよう求めたのです。これは銀行を設立して営業展開している流通企業グループを暗に示していると思われます。地銀協は全国にある全ての地銀64行が加盟する大所帯。金融業界ではメガバンクグループに次ぐ勢力だけに、その影響力は小さくありません。しかし、不動産業務の規制緩和は長年の懸案事項。おいそれと当局が緩和するとは思えません。そこで銀行の業務と一体感のある業務の事例を出して解禁を迫ります。

  1. (1)事業承継・相続に関する不動産の売買
  2. (2)事業再生に関する不動産の売買
  3. (3)担保不動産の売却
  4. (4)地方公共団体の再開発事業やコンパクトシティ形成事業に限定した不動産の賃貸

地銀には、後継者難で事業用の不動産を売却したり整理したりする相談が増えており、このような場合に不動産売買ができれば顧客の利便性が高まると指摘しています。事業再生は近年、地銀の地域密着型金融、いわゆるリレーションシップバンキングとしての取り組みが増えています。取引先企業の経営改善計画には遊休不動産の売却を盛り込む場合が多く、このようなケースで銀行が不動産売買に関わることができれば、事業再生の実現可能性が高まると主張します。
担保不動産の売却は、高齢化が進んで相続の際に親の借り入れを子が引き受けたり、住宅ローンの担保になっている住居を担保にした融資(リバースモーゲージ)の返済手続きで、担保になっている不動産の売却ニーズが高まっていることを理由に挙げています。地銀はその地域固有の不動産情報を持っており、地銀が関与している地方公共団体の再開発事業などにこうした情報を活用し、テナント誘致や空き店舗解消のマッチング業務に取り組むことができれば事業の成果が上がるとしています。地銀がこうした規制緩和を求める最大の理由は、いうまでもなく収益低下にあります。少子高齢化や人口減少などの環境変化で、金融業界は「構造不況業種」という人もいるほどです。

メガバンクがデベロッパー業に進出?

メガバンクでも、不動産に関するニュースが出ました。不動産大手と組んで銀行の支店跡地を再開発する新会社を設立するということです。メガバンクグループは今後、大幅な店舗統廃合を計画しています。インターネットバンキングの普及に加えスマートフォンのアプリでの決済などが登場したことで、銀行支店の窓口は都心においても混雑している場面を見かけなくなりました。活躍していたATMもコンビニATMの攻勢に押されて利用頻度は減少傾向。銀行が支店を閉鎖するのは時代の流れで、もはや避けて通ることができません。

しかし銀行の支店は軒並み好立地の場所にあり、手を変えれば収益が期待できます。しかし銀行が保有する不動産は勝手に貸したりすることはできません。銀行の他業禁止規制が効いているからです。
この新会社は、銀行支店のリニューアルなどを主な業務にすると思われます。収入依存度の50%(以上)規制があるので、ビジネスはあくまで銀行支店の跡地利用がメインになるでしょう。再開発事業は銀行にとっても未経験の分野で、ノウハウを持つ不動産大手との提携で実績を積む意向と思われます。
地方創生や都市部における再開発事業は、どれも一大プロジェクトになります。地銀やメガバンクといった金融業界の主要プレーヤーの今後の動向に注目が集まるのは間違いありません。

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