土地活用ラボ for Owner

土地活用ラボ for Owner

コラム vol.129
  • トレンドニュース

「土地活用としての民泊は可能か?」

第3回 民泊は解禁されるのか

公開日:2016/05/18

旅館業法に違反する可能性がある「民泊」について、政府や地方公共団体はどのような取り組みをしているのか、どうすれば「民泊」を実施できるのか、について解説していきます。

国家戦略特別区域

第1回、第2回のコラムでも解説しましたとおり、訪日旅行者数、いわゆるインバウンドが増え、他方で宿泊施設が不足している問題があります。この問題を解消するため、政府は国家戦略特別区域の制度を利用しました。

「国家戦略特別区域基本方針」とは、「国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るため、国家戦略特別区域法第5条1項に基づき、国家戦略特別区域における産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るための基本的な方針」を定めたものです

(首相官邸HPより)

sankou_kihon.pdf (首相官邸HP)

ただ、このままではわかりにくいですね…。
要するに、特定の地域を限定して、その地域内については規制を緩和して、国際的な競争に負けない計画を作りましょう、という方針です。

では、この「国家戦略特別区域」に指定されれば規制緩和されて、旅館業法の適用が除外されるのでしょうか?
答えは「NO」です。「国家戦略特別区域」(以下、「特区」といいます)に指定されただけでは旅館業法の適用が除外されるわけではなく、特区である各自治体において条例で「民泊」が認められる要件を制定すること、その要件を充たしたうえで許可申請をして特定認定を受けることが必要となります。

特区の中でも、大阪府や東京都大田区では、全国に先駆けて「民泊条例」が制定されました。主な規制内容としては、国家戦略特別区域内の施設であること、賃貸借契約の締結、6泊7日以上の滞在期間であること、25m²以上の居室床面積、その他適当な設備を有することなどが必要です。
たしかに、一定数以上の客室数が必要であったり、建物内にフロント設備が必要とする旅館業法と比較すると規制は緩和されています。
しかし、これらの条例でも、そもそも滞在期間が6泊7日以上に限定されているように、旅館業法の特例の条例として機能するのかどうか、疑問が持たれています。
実際に、これらの条例に基づく許可申請の件数は東京都大田区、大阪府もいずれも1ケタであったことからもハードルの高さがうかがえます。
その他の問題点としても、この規制緩和は、国家戦略特別区域に指定されていることが前提となりますので全国共通のものではない点に注意が必要です。

「簡易宿所」の要件緩和

国家戦略特別区域に指定したうえで地方公共団体による条例を制定する以外にも規制緩和の動きはあります。
宿泊施設の営業はホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4形態に分けられると前述しましたが、このうち「簡易宿所」としての要件を緩和しようというものです。
旅館業法では簡易宿所に関する具体的な要件を定めておらず、下位法規である旅館業法施行令と各地方公共団体の旅館業法施行条例でその要件が定められています。
この旅館業法施行令のうち、旅館業法の「簡易宿所」としての客室面積の許可要件を緩和する改正が平成28年4月1日施行されました。また、厚生労働省は、宿泊者が10人未満の施設に関し、本人確認や緊急時の体制が整備されている場合にはフロント設備を備える必要がない旨の通達を発表しました。
これらの要件緩和により、空き家や空き部屋などを「民泊」として許可を取りやすくなり、「簡易宿所」として許可をとれば「民泊」が可能になりました。

これから「民泊」を始める前に

上記のような規制緩和の動きの一方で、別荘地が多い地域では環境の保持を理由に「民泊」を許可しない自治体もあります。また、「住居」として使用しなければならない旨が定められている管理規約があるマンションの一室を「民泊」として利用できず、「民泊」として利用するには住民の5分の4以上の賛成で管理規約を変更する必要があるという見解もあります。

安心して「民泊」を始めるには、「簡易宿所」として許可を得るか、「特区」において認定を受けることが必要になります。
これらの許可なく「民泊」を業として行うと旅館業法に違反することに変わりはありません(平成28年5月時点)。
「民泊」を始める前に、ご自身の不動産が法律・施行令や条例の要件を備えているか、建物の管理規約に違反していないか、十分に確認することが大切です。

以上、「民泊」について解説させていただきました。遊休不動産の有効活用、手軽にできる不動産ビジネスとして「民泊」は注目を集めていますが、クリアすべきハードルは種々ありますし、宿泊者による利用の場面においてもトラブルが生じる可能性は否定できません。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。「民泊」を提供する「ホスト」がしっかりルールを守って、「民泊」を利用する「ゲスト」が日本の各地で快適な旅行ができ、その周辺地域の住民も気持ちよく「おもてなし」ができるようにしたいですね。

  • 前の記事へ前の記事へ

 


  • TOP

このページの先頭へ