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コラム vol.205-3
  • 土地活用税務コラム

不動産を買い増すためには、こんな決算書にしよう 第3回 古い物件を解体して新築物件を建てるときの解体費用は経費になる?

公開日:2017/06/30

新築の収益不動産を購入する場合、建売業者から完成した物件を購入するパターンと、土地から仕入れて建物請負契約を締結して購入していくパターンに分かれます。
私は後者で購入することが多いのですが、土地を仕入れた時点で古い物件が建っている場合があります。当然その場合、古い物件を解体して新しい収益物件を建てていくのですが、このときにかかる解体費用は経費処理してもよいのでしょうか?
実は、個人の場合、解体費用の税務上の取扱は、建物を取壊す目的によって異なってきます。
個人の税務上の取扱は以下の様に3分類されますのでご確認ください。

1:土地とともに取得した建物を取壊した場合

建物の敷地を建物とともに取得した場合、その取得後おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取壊しのときの帳簿価額と解体費用の合計額は、その土地の取得価額に算入することとされています。
(もし、その取り壊し時に廃材が出て、その廃材の処分によって得た金額があるときは、それを控除した金額となりますので注意してください。)

また、当初は建物を事業に使用する目的で取得したけれども、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その使用をあきらめなければならないような場合には、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊したときであっても、その建物の帳簿価額と解体費用の合計額は、土地の取得価額に含めないで、取り壊したときの必要経費として算入することができます。
弊社のお客様で実際にあったケースですが、当初賃貸用物件として購入したものの、購入後に大きな瑕疵が見つかり、取り壊さないといけない事態になったことがありました。この規定は、その解体費用を必要経費にしても良いし、土地の取得価額に含めても良いという選択ができますので、その時の利益状況を鑑みて必要経費として処理していきました。

2:自己所有の建物を取り壊して新しく建て替える場合

従来から賃貸用建物を所有していたとします。その賃貸用建物が古くなったため建て替えて、新たな賃貸用建物を建設していく際に発生する解体費用は必要経費に算入することとされています。
その古い賃貸用建物を取り壊した場合におけるその建物の帳簿価額も同様に必要経費となります。

ただし、下記の様なケースですと解体費用は必要経費にならないので気を付けてください。

  1. (1)賃貸用建物を取り壊して、自宅を建築する場合・・・家事費
    ※この場合の解体費用は家事費となり必要経費にはなりませんが、古い賃貸用建物を取り壊した場合におけるその建物の帳簿価額は必要経費となります。
  2. (2)自宅を取り壊して、賃貸用建物を建築する場合・・・家事費
  3. (3)自宅を取り壊して、自宅を建築する場合・・・家事費

3:自己所有の建物を取り壊して土地を譲渡する場合

土地を譲渡するために、その土地の上にある建物等の取り壊しに要した費用は譲渡費用として譲渡所得の計算上控除されます。
また、建物の解体は土地を売却するため行われることが明らかなので、その土地の上にある建物を取り壊した場合におけるその建物の帳簿価額は譲渡費用として譲渡所得の計算上控除されます。

このように、建物を解体するときはその目的に注目してくださいね。

☆まとめ☆

(1)取得のため (2)建て替えのため (3)譲渡のため
解体費用 土地の取得価格 必要経費 譲渡費用
取り壊し直前の
建物帳簿簿価
土地の取得価格 必要経費 譲渡費用

ちなみに、賃貸併用住宅を取り壊した場合の解体費用の取扱いは次のようになりますので参考にしてみてください。

☆賃貸併用住宅を取り壊した場合の取り壊し損失等の取扱い

賃貸併用住宅を取り壊した場合は、賃貸用部分の床面積と自宅部分の床面積による按分等により明らかに区分することができる場合には、その賃貸用部分に相当する解体費用等の金額は不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。

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