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コラム vol.291-3
  • 土地活用法律コラム

改正民法と賃貸事業 第3回賃貸駐車場に関する契約及び放置車両問題

公開日:2019/09/30

POINT!

・駐車場に関する土地賃貸借契約については、借地借家法が適用されないようする

・無断駐車や放置されている自動車を勝手に移動させたり、処分したりすることは自力救済行為にあたり、違法となる

・放置車両に対する対処は、オーナー様に負担が重く、日々の予防策の実施が重要

不動産オーナー様は、所有されている土地を駐車場に活用したり、賃貸住宅用に駐車場を設けたりすることがあると思いますので、駐車場に関する上手な契約方法や、放置車両に対する対処法について説明します。

駐車場に関する賃貸借契約と借地借家法

土地の賃貸借契約については、建物所有を目的とする場合には、借地借家法が適用されることになり、(1)借地権の存続期間が最低30年とされ、(2)契約更新した場合には、最初の更新後の契約期間が20年、2回目以降の更新後の契約期間が10年とされ、さらには、(3)契約更新の拒絶には正当事由が要求される等、契約の継続性が保障され、賃貸人にとってはとても重い契約となってしまいます。
他方で、土地の賃貸借契約について借地借家法の適用がない場合には、(1)契約期間は自由に契約で定めることができ、(2)更新後の契約期間も自由に契約で定めることができ、(3)契約期間が満了した場合、更新の合意がなされない限り、土地を返還してもらうことができ、賃借人が更新請求をしても、賃貸人はこれを拒むことができ、中途解約の規定があれば、契約期間中でも解約を申し入れることができます。
このように、借地借家法の適用があると、オーナー様は相当な規制を受けることになり、結果として土地活用が制限されかねないことになります。 そのため、駐車場目的で土地を賃貸する場合には、借地借家法が適用されないようにすることが大前提となります。

土地賃貸借契約の内容

上記で説明しましたとおり、駐車場に関する土地賃貸借契約については、借地借家法が適用されないようすることが大前提となりますから、契約の目的としては「建物所有」ではなく、「駐車場の使用」であることを明記したうえ、建物の建築を禁止する条項を盛り込みます。さらには、当事者間で当該契約について借地借家法の適用がないことを相互に確認する条項を盛り込むことが有用でしょう。
もし、駐車場に関して、賃借人側が付帯設備を設けることが予定されているような場合には、この付帯設備が借地借家法上の「建物」と認められないようにする必要があります。そのため、設計図面や仕様書等を契約書に添付する等を行い、附帯設備の構造、規模等を限定し、そのうえで、当該附帯設備の改変を禁止する等の条項も設け、さらには契約終了時の原状回復義務を明記する必要があります。
次に、後にも説明します放置車両の問題とも関係しますが、駐車場を使用する車両を契約書上も特定したほうが有用であるため、契約書に車両の車種、ナンバープレート情報等を明記することをお勧めします。これによって、第三者による無断駐車か否かを判断することが容易にできます。
駐車場に関する土地賃貸借契約における賃貸期間については、民法の20年の上限の範囲内で自由に定めることができ、契約の更新についても、借地借家法で要求されるような法定更新は適用されませんので、ある程度契約期間を短期に区切った形にして、契約を更新していくのが有用ではないかと思います。また、中途解約についても明記をして、必要に応じて中途で契約が終了できるようにしておく必要があります。

放置車両問題

賃貸されている駐車場に契約外の自動車が無断で駐車され、それが放置されていることがあります。このような場合、オーナー様自らが勝手に自動車を移動させて他の場所に置いてきたり、処分したりする行為は自力救済行為にあたります。これは違法であり、法的に許されず、逆に放置車両の所有者から損害賠償請求をされる可能性があります。
そこで、上記のような放置車両に対しては、以下のような手順で対応することが有用だと考えます。

・警察への連絡等

私有地内の放置車両については、民事不介入の原則により、警察が直ちに対応してくれることはありませんが、警察が車両所有者の照会をし、盗難車両であるなど事件性がある場合には、レッカー移動してもらえる場合があります。そのため、まずは、警察へ放置車両について相談するのが有用でしょう。

・張り紙等による警告

放置車両に対して、まずは警告文を置くなどして、速やかに撤去するよう警告をしてください。このとき、フロントガラスにガムテープで止めるとテープ跡などが残り、逆に文句をつけられることもありますので、ワイパーに挟んだり、跡が残らないものでとめるなど留意する必要があります。

・所有者の確認・内容証明郵便での撤去要請等

上記までの対処により、解決しない場合には、当該車両の所有者を確認したうえ、直接、車両の撤去と損害賠償請求をする段階になってきます。この場合、最寄りの運輸支局で、放置車両の「登録事項等証明書」で所有者の氏名・住所等を確認することになります。放置車両が軽自動車の場合は、普通乗用自動車とは異なって登録制度がないため、弁護士法第23条の2に基づく照会(弁護士会照会)により、軽自動車検査協会から軽自動車検査記録簿の写しの送付を受けるなどして、所有者の氏名・住所等を確認することになります。
所有者の確認がとれたら、その所有者に対して内容証明郵便を送付し、車両の撤去と損害賠償を請求します。なお、所有者が自動車販売会社や信販会社になっている場合には、これら会社に対して直接、車両の撤去を請求するという方法もあります。

・法的措置の実施

このような方法で解決しない場合には、自力救済が禁止されている中では、残念ながら法的措置を講じるほかありません。弁護士に相談する等して、訴訟を提起して車両の撤去及び損害賠償請求を認めてもらう判決を得て、土地の明渡の強制執行の申立てまたは放置車両についての強制競売の申立てを行い、放置車両の撤去を実現すると共に、損害賠償の回収等を図ることになります。
放置車両に対する対処は、オーナー様にとっては極めて負担の重い問題となってしまいますので、そのような放置車両が発生しないよう日々の予防策の実施が重要です。

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