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コラム vol.507-7
  • 土地活用税務コラム

相続対策としての「短期対策」(7)続税・贈与税の非課税財産への組み換えによる相続対策

公開日:2024/12/26

相続税の非課税財産

相続税は、現預金や土地などの相続財産を相続開始時の時価によって計算した金額から、債務や葬式費用などを控除した金額に、一定の期間内の生前贈与財産を加算した金額(課税価格)に対して課税されます。しかし、被相続人の財産であっても相続税の課税価格には含まない(相続税がかからない)ものがあります。
そこで、相続税がかからない財産に組み換えることによって相続税の負担を軽減することができます。相続税がかからない財産のうち主なものは次のとおりです。

  贈与税の非課税財産
1 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物 ただし、骨とう的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
2 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
3 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
4 相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
5 相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
6 相続や遺贈によって取得した財産で相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの
7 相続又は遺贈によって財産を取得した人が、その取得した財産に属する金銭を、相続税の申告期限までに、特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興など公益の増進に著しく寄与する特定公益信託の信託財産とするために支出したもの
8 相続又は遺贈によって取得した財産について相続税の申告書の提出期限前に災害により甚大な被害を受けた場合におけるその財産の価額

以上の非課税財産のうち、実務上頻度の高いものについての詳細は以下のとおりです。

(1)生命保険金の非課税規定

被相続人の死亡により相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人を除きます。)が取得した生命保険契約の保険金等については、次の①又は②に掲げる場合の区分に応じ、その定める金額に相当する部分は課税されません。

保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

①各相続人の取得した保険金の合計額が保険金の非課税限度額以下である場合

各相続人が実際に取得した保険金の金額=非課税金額

②各相続人の取得した保険金の合計額が保険金の非課税限度額を超える場合

(注1)被相続人に養子がある場合には、非課税限度額の計算上、法定相続人の数に算入する養子の数については、
①実子がある場合…1人、②実子がいない場合…2人までとされます。

(注2)死亡退職金についても同様の取り扱いがあります。

国内の大手生命保険会社では、一時払終身保険を販売していて、被保険者の加入年齢が90歳までとされているものもあり、相続税の生命保険金の非課税枠を使い残している人は、預貯金から生命保険金へ組み換えることで一定額までが非課税として取扱われます。

(2)墓地、仏壇等

相続税法では、相続税の課税価格に算入しない財産(以下「非課税財産」といいます。)として、いくつかのものを掲げています。そのなかの一つに「墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの」があります。
手元現金などで墓地、仏壇等を購入すれば、いわゆる相続税の課税対象となる現金が、たちどころに非課税財産に変化することとなります。 非課税財産取得に当たっての注意点は以下のとおりです。

  • ①あくまでも生前取得でないと非課税財産にはなりません。
  • ②借入等をして墓地等を取得しても、その借入金等は相続の計算上債務として控除することはできません。
  • ③美術品と認定されるような黄金の仏壇や貸金庫に安置されている仏像などは非課税財産と判定されないと思われます。
  • ④祭具等には骨董品又は投資の対象として所有するものは含まれません。

贈与税の非課税財産

贈与により取得した財産でも、その財産の性質又は贈与の目的等からみて贈与税を課税することが適当でないものがあります。そこで、次に掲げる財産は、贈与税が課税されないこととされています。
そこで、非課税財産の生前贈与によって、相続税が課される財産から除外する対策が効果的です。

  贈与税の非課税財産
1 相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産で、相続税の課税価格に加算されるもの
2 法人から贈与を受けた財産(贈与税ではなく所得税がかかります。)
3 扶養義務者相互間で教育費や生活費に充てるために贈与を受けた財産で通常必要と認められる範囲内のもの
4 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う人で一定の要件に該当する人が、贈与を受けた財産で、その公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
5 特定公益信託で学術に関する顕著な貢献を表彰するもの、若しくは顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するもので一定の金品又は学生若しくは生徒に対する学資の支給を行うことを目的とする特定公益信託から交付される金品
6 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
7 国会議員、地方公共団体の議会の議員、都道府県知事及び市町村長の選挙の候補者が、選挙運動に関して贈与を受けた金品などで、選挙管理委員会に報告されたもの
8 特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の価額のうち、受益者一人につき特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円までの部分
9 社交上の香典や贈答品などで常識的な範囲内のもの
10 婚姻期間が20年以上など一定の要件を満たす配偶者へ、居住用財産又はそれを取得するための資金(最高2,000万円)
11 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金の非課税の適用を受ける金銭
12 直系尊属から贈与を受けた教育資金の一括贈与(最高1,500万円
13 直系尊属から贈与を受けた結婚・子育て資金の一括贈与(最高l,000万円)

以上の非課税贈与のうち、実務上頻度の高いものについて解説します。

(1)住宅取得等資金の非課税の特例

令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額(※)までの金額について、贈与税が非課税となります。

※非課税限度額:贈与を受けた者ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。

(2)祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の人(以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から、①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合、又は③書面による贈与により取得した金銭等で、証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。
しかし、贈与者死亡の際の管理残額については、原則として受贈者が23歳未満など一定の者を除き、相続等により取得したものとみなして相続税が課されます。

(3)特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の非課税贈与

特定贈与信託は、特定障害者(重度の心身障害者、中軽度の知的障害者及び障害等級2級又は3級の精神障害者等)の生活の安定を図ることを目的に、その親族等が金銭等の財産を信託銀行等に信託するものです。

(4)贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上など一定の要件を満たす配偶者に対しては、居住用の不動産又はそれを取得するための資金を贈与したとき、贈与税について最高2,000万円の非課税規定の適用があります。これは、「贈与税の配偶者控除の特例」といわれるものです。

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