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コラム No.146

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住宅省エネで3省連携の優遇制度始まる

公開日:2023/06/30

国は昨年、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた住宅省エネ化の支援を強化するため予算措置を講じました。今年度から国土交通省と経済産業省、環境省の3省が連携して家庭部門の省エネを推進するため、窓のリフォームによる住宅の断熱性の向上など3事業で補助金制度がスタートしています。

始まった「住宅省エネ2023キャンペーン」とは

このキャンペーンは、家庭で使用するエネルギーの消費量を抑えて2020年に国が表明した「2050年までのカーボンニュートラル実現」を達成するための省エネ推進運動です。各家庭で消費する電力などを少なくすれば全体のエネルギー消費は抑えられ、各世帯は脱炭素社会の実現に貢献する意義があります。しかし一方で、省エネタイプの設備や専用機器、工法を導入すると、一般的な住宅の建設に比べてコストが高く、初期費用も高価になります。このため、国民の間では省エネに対する理解は進んでいるものの、導入に際しては躊躇している人が少なくありません。
そこで国は補助金制度を創設して、省エネ設備の導入を推進し地球環境保護の目標達成に近づけたいとの判断から制度創設を決定。2022年度補正予算で総額2800億円の補助金を確保しました。3つの事業とは、若年世帯向けの「こどもエコすまい支援事業」と「先進的窓リノベ事業」「給湯省エネ事業」の3つの補助事業を指します。キャンペーンは国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して取り組んでおり、各事業とも併用が可能です。
「こどもエコ」は国交省の管轄で新築・リフォーム合計で1500億円、「窓リノベ」は経産省と環境省で1000億円、「給湯省エネ」は経産省で300億円の予算となっています。ちなみに東京都は2022年に、2025年4月から新築住宅を供給している大手住宅メーカーに対して太陽光パネルの設置義務化を決め、脱炭素化の対応で先行しています。

名称を変えて継続、若年家庭向け支援事業

こどもエコすまい支援事業は、「ZEH(Net Zero Energy House=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」など高い省エネ性能を持つ新築住宅や改修に対して支援します。対象となる世帯は子育て世帯、若者夫婦世帯でどちらか39歳以下。ZEH新築住宅は1戸当たり100万円、改修(リフォーム)工事には30万円~60万円が助成されます。
エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に対して支援する狙いです。同事業は「こども未来住宅支援事業」として2021年11月下旬以降の工事契約物件に適用され、予算規模に達して2022年11月に終了しましたが、名称を変えて事業継続されています。

「先進的窓リノベ事業」は断熱窓の導入費支援

先進的窓リノベ事業は、熱損失が大きい窓の断熱性を高めることで冷暖房費用負担を軽減してエネルギー価格高騰への対応とする狙いがあります。夏は外気を入れて室内温度を下げ、冬は部屋を密閉して冷気を遮断させます。補助対象は①内窓設置②外窓交換③ガラス交換の3種類。内窓は、既存の窓の内側に新規の窓を設置するか、既存窓を取り外して新窓に交換します。外窓交換は既存の窓を新規の窓に交換します。ガラス交換は文字どおり窓ガラスの交換。補助の上限額は1戸あたり200万円。上限額の範囲内ならば何度でも申請可能です。

家庭最大のエネルギー消費源に支援「給湯省エネ」

給湯省エネ事業は家庭で最大のエネルギー消費の源といわれている給湯器の省エネを推進させる支援です。給湯器は水をガスの力で温め、台所や浴槽、洗面所などで毎日のように使います。水量やガスのエネルギーを考慮すれば、1年を通して使わない日はないのがこの機器。家庭で最大のエネルギー消費源といわれるゆえんです。
支援事業では、①ヒートポンプ給湯器(エコキュート)②ハイブリッド給湯器③家庭用燃料電池(エネファーム)の高効率タイプの給湯設備に対して1台あたり5万円から15万円を助成します。エコキュートは夜間電力や太陽光発電を利用して効率的にお湯をつくるシステムで、1台に5万円の補助金が出ます。ハイブリッド給湯器はヒートポンプ給湯器とガス温水器を組み合わせたシステムで、1台5万円の補助金。エネファームは空気中の酸素と水素の化学反応で電気とお湯を同時に作り出すシステムで、非常に高価で本体価格が100万円~200万円、設置費用が30万円~80万円かかることから、補助金は1台15万円になっています。

申請は世帯主ではなく委託業者

注意したいのは、支援事業の補助金申請は世帯主個人ではなく、工事を請け負う業者である点。業者も3事業の手続きを行う補助事業者として事前に支援事業の事務局に登録している業者に限られます。支援事業の申請は今年3月から始まっており、予算が消化されれば申請は締め切られる予定です。今のところは、遅くとも2023年いっぱいは申請できる模様です。

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