CASE30
医療施設
医療法人信雅会 宮地病院
- 所在地:
- 愛知県豊川市豊川町伊呂通
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 2,262.45m2
- 竣工:
- 2026年6月
- 用途:
- 一般(20床)医療療養病床(26床)
※2026年秋に医療療養病床を回復期リハビリテーション病床に転換予定
東京など全国5ヶ所に別院を持ち、商売繁盛などを願う参拝客ら年間約500万人が訪れる豊川稲荷の門前町から発展した愛知県豊川市。三河湾に面し、周辺には大企業の拠点が点在するという環境の中、診療所の開設より実に100年以上の歴史を積み重ねてこられたのが、医療法人信雅会 宮地病院様です。
同院の建物は、旧病院が築40年、旧リハ棟が築60年~30年超と、施設の増改築を重ねてきたことから、動線が複雑化し、年を追うごとに患者様の利便性やスタッフの作業効率に影響が生じていました。また、敷地の一部が豊川市の区画整理事業で抵触してしまったこともあり、新病院への建て替えを計画されたのです。
計画のポイント
老朽化と地域の都市計画を受け、敷地内への新病院建設を計画
宮地病院様は、JR飯田線豊川駅および名鉄(名古屋鉄道)豊川線豊川稲荷駅より徒歩約5分の立地。建物自体の老朽化と重ねてきた増築の影響による内部動線の複雑化から、スタッフの作業効率への影響が生じていました。また10年ほど前には、自治体の都市計画の詳細が判明。前面道路の改修と隣接する踏切のアンダーパス化に対応するため、病院建物の建て替えが喫緊の課題となりました。

旧病院の建つ敷地南側には、東西に姫街道と称される県道5号国府馬場線(片側1車線)が接道しています。区画整理事業への対応のため、一時は病院の移転を検討したものの、100余年もの間、地域に親しまれてきた病院にふさわしい候補地が見つからず、敷地内での建て替えをご決断。旧病院の敷地内にあった建物を解体し、新病院の建築スペースとして確保されました。
効率的に機能を詰め込み、病棟のワンフロア化を実現
旧病院は5階建て。1階部分が外来、2階が手術室・検査室・リハビリテーション室、3階が療養病床、4・5階が一般病床という構成。特に複数階にまたがる病床部分は、上下移動を伴うことから、スタッフに対し日常的な負担をかけていました。

新病院は、コンパクトかつ機能的な配置をコンセプトに、2階建ての建物を計画。一般病床20床と医療療養病床(2026年秋に回復期リハビリテーション病床に転換予定)26床は、2階部分に集約しました。ワンフロア2病棟構成となったことで、スタッフステーションの効率的な配置にも工夫が凝らされています。
将来の事業承継を見据え
以前から事業承継の意志を抱かれていた4代目には、改めてその思いを再確認。新病院には法人の将来的なビジョンが表現されました。地域の医療ニーズが高まるリハビリテーション機能の一層の強化、幅広い競技層に対応するスポーツ整形外科への対応などが、新たなコンセプトとして付加されています。

スポーツが盛んな周辺環境から、スポーツ整形外科への潜在的なニーズの高まりに対応すべく、専門的な器具を備えたリハビリテーションスペースを設置。短時間の通所リハビリテーションとしても活用可能です。また、屋外に投球練習場(夜間対応)を設置しています。
お客様の声
本当に必要な機能を厳選し
次代への希望を込めて生まれた新病院で
地域医療と法人の明るい未来を創造する。
医療法人信雅会 宮地病院
理事長 院長:宮地 雅也 様
豊川稲荷で有名な愛知県豊川市は、豊橋市などとともに東三河地方を構成しており、名古屋よりもどちらかといえば浜松に近く、交通アクセスや生活利便性にも恵まれた立地。いまから100年以上前の1919年(大正8年)、私の祖父がこの地に診療所を開設し、地域医療に従事し続けたのが、現在の宮地病院の祖です。先代の入職に伴い整形外科を標榜した1950年代後半からは、病棟の拡充や手術・リハビリ機能を強化。3代目である私が入職してからも、地域の医療ニーズに対応するカタチで病床の一部を医療療養病床に転換し、国の政策に従ってケアミックスを実践してきました。整形外科病院という医療の性質上、入院患者様の多くは、当院で手術された方となっており、リハビリも含め「在宅復帰までのトータルケア」を実践しています。
先代が60年以上前に建てた病院を今回建て替えるにあたって、要因となりきっかけとなった点が幾つかあります。一つは、建物の老朽化による設備面の不具合と増築を繰り返したことによる作業・スペース効率の不具合。患者様のみならずスタッフにも負担をかけており、以前より何かしらの改善策を模索していました。
次に懸案事項として上がったのが、地域の都市計画に関わる外的要因です。当院敷地の南側には県道が、西側には名鉄とJRの線路が隣接しています。県道は、片側1車線の道路幅と踏切の関係から、日常的に渋滞が発生。自治体では、区画整理事業の一つとして線路のアンダーパス化と側道の設置が計画されており、これに当院の建物の一部が抵触していました。5年ほど前から移転もしくは建て替えの検討を始めたものの、将来に向けた当院のあるべき姿と将来の事業承継を念頭に置いたとき、どのような病院にするべきなのかと頭を悩ませていました。そこで、将来的な後継者である県内に勤める4代目に、改めて事業承継の意志を再確認。新病院の完成を機に、入職を決断してくれたことが私の背中を強く押し、本計画の具体化に至りました。
新病院の建設地については、市内で同規模の土地を入手することが困難だったため、何とか敷地内での建設ができないかと考えました。幸い敷地の北側には、旧自宅と蔵が残っていて、20年以上前に建てたデイサービスの建物もあり、これらのスペースを活かすことを計画。次に、「誰に建ててもらうか」ですが、これは私自身が何社もの建築会社のウェブサイトを見て調べ、数社に問い合わせをし、提案を求めました。特に大和ハウスさんは、市近隣で2022年に竣工した新病院(大和ハウス設計・施工)の完成披露会に参加し、その出来栄えの良さに感心したことをよく覚えていたので、ぜひ話を聞きたいと思っていたのです。実際、各社と打合せを重ね、提案を受けていると、この規模の病院について「大和ハウスさんはよく分かっている。ノウハウが豊富だな」という印象を受けました。また、イメージの具体化も上手で、予算内の対応も一番優れていた点も決め手となりましたね。
プランを煮詰めていくにあたり、前提となったのは「従来の病院機能を維持しながら、コンパクトにまとめる」ということ。5階建ての旧病院から新病院は2階建てと、一見大幅な縮小をしたように思われますが、建物内のあらゆる機能の効率的なサイズ・配置について徹底的にこだわりました。なかでも、旧病院からの大きな進化は、医療療養病床から回復期リハビリ病床への転換(2026年秋予定)と、全46病床をワンフロアで完結させること。スタッフの作業効率を大幅に向上させ、リハビリ機能の一層の強化が狙いです。また今回、従来のデイサービスは、短時間のリハビリに特化した通所リハビリテーションに転換するカタチで、新病院内に設置しました。「次世代に大きな負担を負わせたくない」という予算面へのこだわりもありましたが、結果として法人にとって本当に必要なもの(機能)の取捨選択につながり、宮地病院は次なる一歩を踏み出すことができました。
プランニングには、将来の承継を予定している4代目の意見をできる限り尊重しました。大和ハウスさんとの打合せは、2人にも参加してもらいましたが、他の医療機関での勤務経験から得た意見は参考になる点が多かったですね。
今回、整形外科医である4代目の要望で敷地内に投球練習場を設けました。スポーツ整形の分野でも経験豊富で、プロをはじめ、企業や趣味でスポーツをされている方、中高生まで、幅広い方々の競技生活をサポートできればと考えています。診療科目として増えるわけではありませんが、一種の機能強化というか、当院にとってプラスアルファの特色になるのではないでしょうか。
工事は、スピーディにかつ柔軟に対応をしてもらえました。変化する工事の状況を毎日のように見て、高揚感も感じていました。建物の出来栄えには非常に満足していますし、スタッフや患者様からの評価も上々。旧病院は解体中で、区画整理事業は進行中ですが、真の完成形をとても楽しみにしています。



































