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第8回 森林・木材みらい価値共創研究会セミナー

開催日 2023/01/30 14:00〜17:00
開催場所 奈良県奈良市西九条町4丁目1番1号みらい価値共創センター

第8回 森林・木材みらい価値共創研究会セミナー

イベント・キャンペーン情報





 第8回 森林・木材みらい価値共創研究会セミナーは、「植林など、現在運営されている森林分野の社会貢献活動をアップデートしませんか?」というコンセプトで開催しました。
 植林などの社会貢献活動をされる企業は多いですが、「植林をして終わり」となっていることはありませんか?それだけで終わってしまうのはもったいない!ということで、今回の研究会セミナーでは、植林等の活動を本業に結びつけることができないかを検討するべく、CSR活動をする側、また受け入れる側、それぞれからご登壇いただきお話いただきました。




1.イントロダクション「森林分野のCSR活動の課題について」
  (動画04:53〜10:54)

株式会社ソマノベース 代表取締役 奥川 季花 氏】
 奥川氏により、セミナーのテーマについて紹介された。これまでの森林保全活動は新規事業を生んだり本業につながったりするようなものではなく、持続可能でなかった。
 そこで本セミナーでは、企業の森林活動を持続可能なものとし、企業と森の循環をデザインするにはどうしたらよいかを考えていく。


2.講演「森林分野のCSR活動の現状と課題」
  (動画10:54〜40:00)

【第一生命情報システム株式会社 Studio Xedge Lead Planner 岡野 くるみ 氏】
【第一生命情報システム株式会社 Studio Xedge Assistant Planner 森下 奈々 氏】
 岡野氏と森下氏により、同社の森林におけるCSR活動を進めてきた経緯やぶつかってきた困難について、生の声を伺うことができた。
 「Studio Xedge」は先端テクノロジーに関わる人財育成を目的とした組織。様々な取組にチャレンジしている。オフィスの中に木製の小上がりを設けることになり、そのメーカーとの出会いがきっかけで、Xedgeで実践しているデザイン思考によって林業に携わる方々の課題解決の手助けができるのではないかという考えに至った。
 そこで林業の二つの課題を知ることになる。それは、林業従事者の少なさと世間の森林への興味・関心の低さである。ここから、取組の中心に「林業従事者にとって嬉しいサービスの創出」と「子ども向けの木育」の二つを据えた。折しも熱海で大規模土砂災害が発生しており、森林災害防止について現場で困っていることがあるのではないか、サービスがあれば現場で解決できるのでないかとも考えたという。しかしそうしたアイディアについて話をするターゲットや、真に困っていることがわからず、ここでも困難に遭う。
 そこで、子ども向けの活動であれば既に実績もあったことから、そうした取り組みであれば自分たちにもできるのではないかと考え、木育のイベントを企画した。マインクラフトというプログラミング教育でも使われるゲームをコンテンツに取り入れ、森林が身近に感じられるような仮想空間の再現や、MDF材を使い工作をする体験も取り入れた。
 このように、森林に関するCSRの取組は試行錯誤の連続だったが、ようやく「森林×子ども×デジタルをつなげる架け橋に」という軸をみつけることができた。今後はこの軸のもと、取組みを広げていきたいとの報告であった。


3.ディスカッション@「田島山業:田島氏ショートスピーチ」
  (動画41:03〜48:25)

島山業株式会社 統括本部長 田島 大輔 氏】
 大分県で活躍する若き林業家によるスピーチ。
 最近の日本の林業の課題は再造林率の低さにある。切っても3割くらいしか植え直さない現状。それは、時間をかけて育てても、結果として赤字になってしまう林業の厳しい現状がある。その中で田島山業としては、どう高値で価値を感じてもらえるものを売るかを考えてきた。顔の見える原木販売(買いに来てもらう)、そして産直住宅や木造のビルの建造などを進めている。
 林業全体が厳しい中、Jクレジットで森林のCO2吸収量を国が認定して、それを企業に販売するようなことも始まり、木材に今まで関係なかった企業も関心を持つようになってきた。田島山業が創出するクレジットは、出所がはっきりしたものとしており、一緒に森づくりや地域の活性化に取り組める仕掛けである。取引は徐々に増え、森と企業が新たなつながりを持つようになっている。


4.ディスカッションA「討論」
  (動画48:25〜01:45:00)

 2組のお話を踏まえて議論が展開された。
 企業のCSR活動は、本業に繋がらないままだといつまでも活動を続けられない、何をすればよいかわからない、などの課題がある。
 一方、森林・林業側としても、植林以外の森林整備も進めていきたいが、企業の森林保全は植林が大半を占めている現状や、木育・ツアーなど森林整備以外のコンテンツの不足といった、ニーズとの不一致がある。
 こうした不一致を解消するためには、まずはアプローチすることであり、話してみないとどうイノベーションが起こるかわからない。林業側の感覚では、企業と連携する際、植林以外は危険や難しいところもあることから、デジタルなど別の角度からみるのもよいのかもしれない。特にクレジットは企業の脱炭素で生かすこともでき、長期的な持続可能なところで議論させてもらいたい。今後も多様な企業に入ってきてほしい。森の持つ沢山の機能が経済活動として活かせていないところは林業の課題である。
 Jクレジットについては、認証に時間がかかる、まだ始まったばかりで活発ではないなど企業間で温度差あるが、これからであろう。今後、森林と企業をつないでいくには、継続的な情報・意見交換が重要であり、お互いの情報を見つけるプラットフォームのようなものも効果的であると考えられるとまとめられた。



    


◆◆◆主催者としての所感◆◆◆
   企業が社会活動として森林・林業に関わる際、植林や清掃活動といった取組が行われてきた中で、より深く森林について学んだり、林業とつながったりといった試みが進められています。その際、企業側と森林側の相互の理解やコミュニケーションが重要となりますが、それが不足している現状を今回のセミナーでは現場の声として伺うこととなりました。
 CSR活動にとどまらない企業のCSVや、Jクレジットなどの森林に関する経済活動も推進されることが期待されている中、こうしたコミュニケーションを図る場が今後さらに求められることが予想され、「お見合いの場」となるようなプラットフォームや、有効な情報共有・交換の場のセッティングが必要となると思われます。
 


◆◆◆講師の紹介◆◆◆
 第一生命情報システム株式会社 Studio Xedge 
 Lead Planner 岡野 くるみ 氏

  https://www.dls.co.jp/dls/index.html

 第一生命情報システム株式会社 Studio Xedge 
 Assistant Planner 森下 奈々 氏

  https://www.dls.co.jp/dls/index.html

 田島山業株式会社 
 統括本部長 田島 大輔 氏

  http://tajimaforest.co.jp/


◆◆◆コーディネーターの紹介◆◆◆


 
株式会社ソマノベース 
 代表取締役 奥川 季花 氏

  https://somanobase.com/

お問合わせ先

担当 本社 人財・組織開発部みらい価値共創センター
住所 奈良県奈良市西九条町4丁目1番1号
FAX 06-6342-1399

0742-93-8062