CEOメッセージ

売上高10兆円に向けた道筋
― 次の30年の考え方
昨年2025年4月、大和ハウスグループは創業70周年を迎え、100周年まで残すところ30年となりました。これから30年の成長のあり方を具体的な構想に落とし込み、確かな道筋として示す段階に入ってきています。今、私が常に考えているのは、売上高10兆円をどのようなシナリオで実現するのか、そして当社グループはどのような姿でその時を迎えるべきか、ということです。
売上高10兆円は一つの節目です。重要なのは、“ 達成そのもの”ではなく、「どのように達成するか」にあります。そのなかで私が念頭に置いているのは、「どのような人財とともに目標を実現していくのか」という点です。単なる規模の拡張を追い求めるだけであれば、持続的な発展にはつながりません。外部環境が大きく変化するなかで、どのような事業ポートフォリオを描くのか、そして、その事業を担う人財をどう構築していくのかを、今からしっかりと準備していくことが重要だと考えています。
当社グループは「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という創業者精神を原点に歩んできました。社会課題のあるところに事業機会を見いだし、その解決を通じて企業としての役割を果たしていく。この姿勢がこれまでの成長を支えてきました。この精神を次の世代へ確かにつなぎ、大和ハウスグループらしい成長をこれからも実現し続けてまいります。
今年の一文字「創」に込めた想い、
“次の30年”に向けて新たな価値を創り続ける

次の30年を見据えるなかで、創業者精神が社員一人ひとりの行動に根付いているのか意識しています。創業者は、常に新しいものを生み出し、世に送り出そうとする強い意志と実行力を持っていました。短期的な成果にとらわれると、過去の延長線上で物事を捉え、本来持つべき新しい発想が生まれにくくなります。
だからこそ、原点に立ち返り、変化の時代にふさわしい創造性をもって行動することが求められます。その想いを込めて、2026年の年初に掲げる一文字に、「創」を選びました。「創」には「創見」という言葉が示す通り、これまでにない新しい価値を生み出す意味があります。創業者の「停滞は後退」という言葉の本質は、現状維持にとどまるのではなく、新たな価値を生み出し続けることこそが大切であるという意味です。
また、この「創」には、創業100周年となる2055年を見据えた長期的な価値創造への想いも込めています。過去70年の延長線上で未来を考えるのではなく、“ 次の30年” に向けて、どのような「未来価値」を築いていくのかを問い続けることが重要です。売上高10兆円の実現においても、“量”だけでなく“質”にこだわっていきたいと考えています。
創業100周年、そして売上高10兆円の実現に向けて、私たちは“新たな価値を創り続ける”こと、そして“事業を通じて人を育てる”ことに、これからもこだわり続けます。そうした「大和ハウスらしさ」を大切にしながら、次の時代の成長を切り拓いていきます。
社会課題を起点に、未来価値を実装する

当社グループはこれまでも、さまざまな社会課題を起点に、次に生み出すべき「未来価値」を見極め、新たな事業提案や研究開発に取り組み、課題解決に資する技術力を培ってきました。社会の変化を的確に捉え、世の中に求められるものを先んじて形にしていくことは、私たちが大切にしてきた姿勢であり、今後も変わることのない進むべき道だと考えています。
私たちは、ハウスメーカー、ゼネコン、デベロッパーの機能を兼ね備えています。社会の変化に応じて、既存事業の枠組みにとらわれず、新たな領域に挑戦してきたことが今日の成長につながっています。こうした枠を超えた挑戦のなかにこそ、新たな可能性や次の成長機会があると考えています。この姿勢は今後も変わることなく、社会に必要とされる価値の創出に挑み続けていきます。
その一例がデータセンター事業です。データやデジタルインフラは、社会や産業の根幹を支えるものであり、今後その重要性はさらに高まっていきます。データセンター事業の拡大を通じて、安全で安定したデジタル基盤の構築に貢献し、企業活動や社会の持続的な発展を支えていきたいと考えています。
こうした価値を確実に実装していくためには、それを支える技術基盤の強化が不可欠です。当社は必要に応じて外部の知見を導入しながら、技術基盤の強化を進めてきました。2013年にフジタがグループ入りしたことで、用地取得からインフラ整備、建物建設までを垂直統合型で推進できる体制が整いました。さらにスーパーゼネコンで社長も務めた村田さんによる指揮のもと、大和ハウス工業単体にとどまらず、グループ全体での技術力の強化も進めており、サプライチェーン全体の技術・ものづくり基盤も着実に強化されています。大阪・関西万博、みなとみらい21中央地区52街区開発事業、淀屋橋ゲートタワーの再開発、大阪マルビルの建替といった大型案件を着実に進められているのも、こうした積み重ねの成果です。そのようななかで私たちは、昨年、住友電設をグループに迎え入れたことで、同社が持つ設備分野の技術力と現場力が加わり、当社グループの技術基盤はさらに厚みを増しました。設計段階からの協業によって競争力が高まり、より付加価値の高いプロジェクトへの対応力も強化されると期待しています。
また、社会課題への向き合い方は国内にとどまりません。創業者が掲げた「世の中の困り事を解決する」という原点は、国や地域を超えて広げていくべきものです。海外は、当社グループにとって、成長の機会であると同時に、グループの理念を世界へ展開していく場でもあります。東欧における復興支援への取り組みもその一つであり、困難に直面する人々に対し、事業を通じて応えていくことは、当社グループが社会のなかで果たすべき使命だと考えています。
今後も、既存の枠にとらわれることなく、社会に必要とされる新たな領域に挑戦し続け、「未来価値」の創造に取り組んでいきます。
事業を通じて人を育てる
当社グループが大切にしているのは、社是にも掲げる「事業を通じて人を育てる」という考え方です。これからの30年を見据えたとき、企業の発展を左右するのは、どのような人財とともに新しい可能性を切り拓いていくかにかかっています。人は、答えを与えられるだけでは成長しません。自ら考え、挑戦し、やり抜く経験を通じてこそ、力を伸ばしていきます。現場の部門に問いを投げ、自ら考えさせ、対話を重ねる。その積み重ねこそが、人財の成長と組織の進化につながります。変化の激しい時代において、新しい価値を生み出す原動力は「人」です。人こそが、企業の成長を支える源泉であり、最大の強みです。当社グループが求めるのは、「挑戦する意欲」「走りながらやりきる力」を備えた人財です。そうした人こそが、これからの時代に、新しい可能性を切り拓き、グループ全体の発展を支える存在になると確信しています。
株主・投資家の皆さまへ

私は、資本コストとは「投資家の皆さまが当社に期待するハードル」だと捉えています。私たちは、その期待を上回る価値を生み出し続けられているかを、常に自らに問い続けなければなりません。これは単なる数字の問題ではなく、経営姿勢そのものが問われるテーマだと考えています。
株価につきましては、昨年に続き、2026年2月に上場来高値を更新しました。皆さまのご支援に心より感謝申し上げます。株価は経営の現況に対して、市場が当社の戦略や将来性をどう評価しているのかを示すものであり、重要なメッセージであると認識しています。私自身、現在の株価水準に満足しているわけではありません。
創業100周年に向けてこれからの30年も創業者の理念を軸に据え、社会課題に正面から向き合い、新たな価値の創造に挑み続けていきます。
これからも、皆さまの信頼と期待に応えるべく、持続的な成長と企業価値の向上に全力で取り組んでまいります。今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。




