大和ハウス工業株式会社

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社外取締役メッセージ

社外取締役メッセージ 社外取締役 近藤 雄一郎

持続的成長を支えるガバナンスと、社外取締役に求められる監督機能

コーポレートガバナンスの意義は近年大きく変化しています。かつては不祥事防止などの「守り」の側面が中心でしたが、現在は「攻め」の側面として、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するための経営基盤としても位置づけられています。
ガバナンスは、ROEやROICなどの財務指標に加え、資本配分のあり方、経営陣の説明責任やリスク管理、挑戦を促すインセンティブ設計、さらには意思決定プロセスの妥当性など、企業価値向上に直結する経営の質そのものが問われる時代になっています。
そのため社外取締役の役割は、単に悪いところを見つけに行く「監視」ではなく、よい点も悪い点も含め、独立した立場から物事を見て、議論し、適切な方向へ導いていく「監督」にあると考えています。独立した立場から、株主を含むステークホルダーの視点、市場の視点をふまえ、経営方針や計画が適切か、社会に対して説明可能かを確認し、経営陣と率直かつ建設的な議論をすることが重要です。長年資本市場に関わってきた経験を活かし、資本政策や経営戦略について、投資家目線から意見を発信していきたいと考えています。
また私自身は、証券会社の経営に携わるなかで不祥事への対応を経験しました。その際に痛感したのは、同じ過ちを二度と繰り返さないためには、表面的な原因追及ではなく真因の分析が不可欠だということです。そのためには、社員が萎縮せず本音を語れる環境をつくる必要があります。私は、会社をよりよく変えるための機会と捉え、社員一人ひとりが誇りを持てる会社を目指そうと呼びかけました。
問題を個人の責任に帰するだけでは組織は変わりません。なぜその行動が起きたのか、その背景にある組織や経営の課題は何かを問い続けることが重要です。「なぜ」を繰り返し重ねて真因を見極め、組織の改善につなげることこそが、持続的な成長の基盤になると考えています。

多様な知見を活かし、中長期課題に向き合う取締役会へ

社外取締役 近藤 雄一郎

当社の取締役会は、社内の業務執行を担う取締役が7名、社外の独立取締役が7名という構成です。社外取締役には、企業経営、研究開発・製品開発、グローバルガバナンス、IT、サステナブル経営、ベンチャー投資・スタートアップ育成など、多様な専門性を備えた人財がそろっています。取締役会の円滑な運営と活発な議論の両立に向けては、取締役会に先立つ十分な説明や資料提供により、必要な情報が適切に共有されていますので、各取締役は専門性を活かしながら積極的に意見を述べており、取締役会の議論の質は着実に向上していると感じています。
さらに昨年下期から経営会議が新設されたことで、取締役会ではより中長期的な課題や経営戦略に時間を費やせるようになっています。取締役会では、個別案件の詳細そのものだけでなく、意思決定プロセスが適切か、どのような枠組みで議論されているのか、その体制が妥当かを確認することが重要です。例えば、不動産取得などの個別案件は、業務に精通した執行側が経営会議で十分に議論する方が建設的です。取締役会は、そうした意思決定の枠組みやガバナンスの有効性を検証することに重点を置くべきであり、そこにより多くの時間を割くことが重要だと考えています。
加えて、当社のガバナンスの特徴として、コーポレートガバナンス委員会のメンバー(社外取締役、社外監査役、常勤監査役ならびにCEO、COO、CFO、代表取締役で構成)が、株主・機関投資家の要望について自分たちの知見と照らし合わせたうえで行う「執行側への提言」が機能している点が挙げられます。この提言は、当社のガバナンスを高めるうえで重要な役割を果たしていると感じています。
先日のコーポレートガバナンス委員会では、私自身の経営経験をふまえた知見を共有しました。社員が安心して声を上げられるスピークアップの仕組みが実効的に機能しているか、また、それを組織に定着させるためにどのような枠組みが必要かといった点について議論・提言しています。

成長投資と資本効率を両立し、適切なリスクテイクを促す

大和ハウスグループは、金利上昇、インフレ、労働力不足、資材不足など厳しい外部環境が続くなかにあっても最高益を更新しており、これは経営陣、執行側、役職員の皆さんの真摯な努力の成果であると受け止めています。
一方、市場からの評価の一つである株価は足元で大きく変動していますが、短期的な動きに一喜一憂するものではありません。当社が持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させるための体制を構築できているか、また、その実現に向けた計画や戦略を市場に対してわかりやすく示していくことが求められます。そのためには、投資家との対話を通じて、意見や助言を真摯に受け止めながら議論を深めるとともに、当社としての考え方や取り組みについて説明責任を果たしていくことが必要であると考えています。
企業価値向上に向けては、成長投資と資本効率の両立が鍵となります。大きな資本を投下する案件については、その投資がどの程度の資本効率を生み出すのか、既存事業とのシナジーがどれだけ見込めるのか、そして最終的に株主価値の向上につながるのかを確認する必要があります。
また、子会社化をともなう案件では、買収そのものの妥当性に加え、買収後の統合プロセス、いわゆるPMIの実効性が極めて重要です。新たにグループに加わる会社との間で、どのようにカルチャーを醸成し、経営管理や人財、事業運営を統合していくのか。そのプロセスがしっかり機能する状態になっているのか、責任者は誰なのか、想定したシナジーを実現するための体制が整っているのか、といった点を、取締役会においても意識して議論しています。私自身、これまでさまざまなM&A案件に携わってきた経験がありますので、案件のリスクとリターン、統合後の実行可能性を確認するよう努めています。
リスクについては、「とるべきリスク」と「とってはならないリスク」を見極めることが肝要です。仮に損失が発生した場合にどの程度の影響があるのか、会社の基盤を揺るがすようなリスクではないのか、また、そのリスクテイクが持続的成長に資するものなのかを確認する必要があります。成長のためにチャレンジは不可欠ですが、その前提として、リスクを適切に把握し、管理できる体制が整っていなければなりません。
当社の取締役会では、自由闊達な議論を行える雰囲気が醸成されており、各取締役がそれぞれ知見を活かして発言しています。こうした建設的な議論の場をさらに活かし、資本政策、成長投資、事業ポートフォリオ、リスク管理といった中長期的な企業価値に直結するテーマについて、より深い議論を重ねていくことが重要です。
取締役会の役割は今後さらに重要性を増していきます。中長期的な課題の一つは、取締役の構成におけるさらなる多様性の確保です。グローバル企業のトッププレイヤーを目指すうえでは、国際的な経験やバックグラウンドを持つ人財の登用に加え、若い世代の視点も取り入れていくことが、将来的には有意義だと考えています。多様な経験や価値観を取締役会に取り込むことで、グローバルな成長機会やリスクに対する議論の幅と深さが一層高まると考えています。
さらに、報酬制度については、経営陣が企業家精神を発揮し、適切なリスクを取って挑戦できる仕組みになっているかも重要な視点だと考えています。企業価値の向上を促すためには、報酬が短期的な業績だけでなく、中長期的な成長や株主価値の向上とも適切に連動している必要があります。こうした観点から報酬諮問委員会でも議論を重ねてきましたが、今回の報酬制度は、当社がグローバル企業としてさらなる成長を目指すうえで、長期的な目標達成を後押しする仕組みになっていると評価しています。
今後も、社外取締役として、当社の持続的成長と中長期的な企業価値向上に資する議論を促し、経営陣による適切なリスクテイクと実行を支えていきます。

資本市場との対話を通じ、持続的成長への道筋を示す

近年、資本市場は大きな転換点を迎えています。資本効率重視へのパラダイムシフト、日本株への注目度の高まりやエンゲージメント投資家の存在感の増大、「金利のある世界」への回帰、さらには生成AIの進展による産業構造の変化など、経営を取り巻く環境は大きく変化しています。

社外取締役 近藤 雄一郎

特に不動産やインフラなど資本集約型の事業を展開する当社にとって、投下資本に対するリターンや資本コストをこれまで以上に意識した経営が求められます。成長投資を継続しながらも、市場から納得感の得られる資本効率を実現していくことが、企業価値向上の重要な前提になると考えています。
これからは、売上や利益の拡大だけを追うのではなく、その成長がどれだけ効率的に企業価値の向上につながっているのかを市場に示していくことが一層重要になります。そのためには、事業ポートフォリオや収益構造を継続的に見直しながら、各事業の成長戦略と資本効率向上に向けた道筋を投資家の皆さまにわかりやすく説明していかなければなりません。
また、企業価値を支えるのは財務指標だけではありません。パーパスや経営理念に基づく非財務の取り組みについても、その成果を適切に測定し、継続的にブラッシュアップしていくことが重要です。財務・非財務の両面から成長を示していくことが、市場からの信頼と評価につながると考えています。
大和ハウスグループは、前向きで明るく、意思決定のスピードが速い会社だと感じています。なかでも、企業理念やパーパスに立ち返る文化が深く根づき、社員一人ひとりの意識や行動の拠り所となっている点は大きな強みです。理念やパーパスを掲げる企業は数多くありますが、それを日々の行動にまで落とし込むことは容易ではありません。この企業文化は、当社グループの大きな財産だと思います。
とりわけ住宅は、お客さまの人生における大きな投資です。社員の皆さんがその重みを理解しているからこそ、お客さまに寄り添った丁寧なサービスや対応につながっているのではないでしょうか。こうした現場の姿勢こそが当社グループへの信頼を支え、長期的な企業価値の源泉になっていると感じています。
私は社外取締役として、当社の強みを大切にしながら、資本市場やステークホルダーの視点をふまえた建設的な議論を通じて、ガバナンスの高度化と企業価値向上に貢献してまいります。そして、当社グループの持続的な成長を支える一助となれるよう努めてまいります。

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