大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

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環境配慮型商品/事例

担当役員メッセージ

気候変動に加え、
生物多様性などにも注力
業界を巻き込み、新たな展開を

上席執行役員
技術統括本部副本部長
住宅安全担当/環境担当

河野 宏

環境と企業収益の両立に向けて気候変動の緩和と適応に挑む

私たち大和ハウスグループは、究極の到達目標とする環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055” において「気候変動の緩和と適応」を重要な経営課題と位置づけ、2050年にカーボンニュートラル達成を目指すとともに、2030年までにバリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量を40%削減(2015年度比)することをマイルストーンに設定しています。これらの長期目標から現在取り組むべき具体的計画「エンドレス グリーン プログラム 2026」を導き出して実践しています。また、カーボンニュートラルの実現に向けた2030年目標は、第7次中期経営計画の目標にもなっています。

2022年度のバリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量は、23.5%削減(2015年度比)となり、計画を上回るペースで進捗しています。

このうち、販売した建物の使用段階で生じる排出量については、目標の35%を上回る39.3%削減(2015年度比)を達成することができました。この背景にあるのは商品におけるネットゼロへの取り組みの強化です。2022年度、戸建住宅では太陽光発電設備の搭載を徹底し分譲住宅でのZEH標準化を図ったことにより、ZEH(*1)率が86%(2021年度比33ポイント増)と大幅に増加しました。また、賃貸住宅では、2022年10月にZEH-M対応の新商品「トリシア」を発売。当社グループのZEH-Mへの取り組みに対しオーナーの皆さまからご理解いただくことができ、2022年度の賃貸住宅のZEH-M率は14%(2021年度比11ポイント増)となりました。さらに、分譲マンションのZEH-M率は68%(2021年度比33ポイント増)となり、当社が2024年度以降に着工する分譲マンション「プレミスト」をすべてZEH-M仕様とすることを2023年2月に公表しました。これらに加え、物流施設などのZEB(*1)化も加速しており、2022年度のZEB率は65.7% (2021年度比27.7ポイント増)となりました。このように各事業部門がそれぞれ前向きに取り組むことで、環境と企業収益の両立という方針が着実に根づき、結果につながってきています。

一方、事業活動における排出量については、当社単体で国内の購入電力を100%再生可能エネルギーにできたことが大きな成果です。これにより、スコープ2(*2)の排出量が大幅に減少。事業活動の排出量は目標の25%を上回る33.5%削減(2015年度比)となりました。今後はカーボンニュートラルへの一層の貢献を目指し、再生可能エネルギーを自らつくり出すことにもさらに注力していく計画です。2023年1月に株式会社響灘火力発電所の経営権を取得し、当社グループに迎えました。従来の石炭とバイオマスの混焼発電を停止し、バイオマス専焼発電所への転換を目指します。このため、自社発電を含めたグループ全体のRE100の実現目標年度は2023年度から2025年度へと変更しましたが、購入電力に限っては海外を含むグループ全体で2023年度に再生可能エネルギー100%達成を目指します。

また、クリーンエネルギー自動車の導入推進にも努め、2030年度までに社用車を100%クリーンエネルギー自動車にすることを目指しています。施工や営業の担当者など業務でのマイカー使用を許可されている従業員が多いため、「新エコ手当」を設けてクリーンエネルギー自動車の購入も支援しています。グループ内でも、大和リビングや大和リースで社用車の電気自動車への切り替えなどを積極的に推進しています。

サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減については、主要サプライヤー企業で取り組みが進み、2022年度のSBT(*3)水準の温室効果ガス削減目標設定率が、65.9%となり、2021年度と比較して約1.9倍に向上しました。サプライヤーの皆さまとの対話を深め、相互に良好な関係を築けたことが、こうした成果につながったものと考えています。サプライヤーの皆さまと共に、今後も「2026年度にSBT水準の温室効果ガス削減目標設定率90%」という目標を目指し、のちほどお話しするDX・GXに関連した新たな課題にも取り組んでいきます。

もう一つ新たな取り組みとして、環境省モデル事業に参画して有効性を確認したうえで、不動産投資判断へのICP(*4)導入を決め、2023年4月から運用を開始しました。投資案件の環境性能や事業性などを多面的にモニタリングしながら、環境配慮建物の普及をより後押しする制度として発展させていきたいと考えています。

カーボンニュートラル実現のための移行計画

ネイチャーポジティブを目指し、緑の創出と森林破壊ゼロに取り組む

ネイチャーポジティブに向けた、生物多様性保全も重要な取り組みテーマです。事業面では、生態系に配慮した緑被面積の拡大を図っています。2022年度実績は目標20万㎡に対して25.7万㎡を達成。「みどりをつなごう」を合言葉に、外構植栽の半分以上を在来種にする生態系に配慮した緑化の提案を推進する方針を定め、eラーニングによる社内周知を行いました。この結果、各事業所に取り組みが浸透し成果につながったものと考えています。

また、分譲マンション・物流施設といった大規模物件については、生物多様性に配慮した土地利用が行われている証しとなるABINC(エイビンク)認証の取得を進めています。分譲マンション「プレミスト藤が丘」(愛知県)はその一例で、ZEH-Mを実現した東海地区最大となる360戸の物件において在来種に配慮した緑地計画の実施や、鳥や蝶の生育環境の創出などに取り組みました。植栽は維持管理の大変さから一時期は減少傾向にありましたが、今は住む方々の意識の変化と共に状況が変わっていると考えています。地方と首都圏の違いなどもふまえつつ、環境に配慮した設計・施工を目指すとともに、グループ内の管理会社としっかり連携を図ることで、維持管理やメンテナンスにも力を注いでいきます。ABINC認証の取得については件数はまだわずかですが、関わった従業員の環境知識が増えることで、社内の環境意識が高まるため、チャレンジすることには大きな価値があります。こうした先行事例を、今後の推進に活かしていきます。また、eco検定の取得も全社で大きく進展しており、2022年度末現在、前年度の3割増となる26,135名が取得しています。グループ従業員の約半数が取得しているということで、大変心強く感じています。

このほか、森林破壊リスクのある木材の調達を回避することも重要です。最もリスクの高いCランク木材の調達先となったサプライヤーの皆さまには改善計画書の提出をお願いし、公的書類の確認徹底や低リスクエリアへの調達先の切り替えなどを推進しています。また、木材関連のサプライヤー企業の方々と直接対話し、森林破壊ゼロ方針の策定をお願いしています。

新たな課題にも積極的に挑み、“見える化” による持続可能なまちづくりへ

さらに今後は、気候変動対策とも関連した新たな取り組みとして、炭素固定や地産地消による地域課題解決の観点から、住宅のみならず公共事業においても木質化技術の創出や木材利用の推進を図っていこうとしています。すでに専任の部署を設け、公共事業に対し木質化の提案を行う活動を始めました。科学的なデータも重視しながら、鉄と木をうまく使い分 ける提案を目指していきたいと考えています。

一方、DX推進による環境改善の取り組みも、今後の重要なテーマです。その第一段階となるのが、建築情報を統合管理するBIM(*5)を軸とするデジタルプラットフォームを進化させて、使用建材の製造過程における温室効果ガス排出量を見える化し、排出量を抑えるための最適な設計を行いやすくすることです。その実現に向け、2023年4月に建材のデータ化を専門とする会社をグループ化しました。今後、データベースを充実させていくことで、建物全体の温室効果ガス排出量の見える化につなげていきたいと考えています。まずは、主要部材から着手し、順次その他の建材などにも取り組みを広げていきます。

建物全体の温室効果ガス排出量の見える化が実現すれば、最適な建物の設計が行えるようになり、まちづくりにおいてもデータの蓄積が進みます。さらに将来的には、まち全体のエネルギー使用量などを見える化し、持続可能なまちづくりに役立てることもできるでしょう。それを、今後グループを挙げて取り組んでいく「コ“Re” カラ(コレカラ)・シティ プロジェクト」などにも活かしていきたいと考えています。また、当社の取り組みをオープンにして、よいものはみんなで一緒に使っていくというスタンスで業界を巻き込み、地球環境へ の貢献度を高めていきます。

DX・GX を確かな成果に結びつけ、環境への取り組みを深め広げていく

カーボンニュートラルに向けての今後の課題であるサプライチェーンの温室効果ガス排出量削減については、先にお話しした温室効果ガス排出量の見える化を着実に実施することで、推進できるものと考えています。協業先やサプライヤーの皆さまにもデータでつながることによるメリットをしっかり提示し、理解を得ながら取り組み、良好な関係を維持していくことが重要です。環境やDXへの取り組みは、私が現場監督時代から目指してきた建設業における労働環境などの課題の解決にもつながっています。環境とDXを結びつけると一層大きな成果が得られるという手応えもあり、大きなやりがいを感じます。

さらに気候変動以外のテーマについては、環境と企業収益の両立という方針に沿った取り組みがまだ十分とはいえません。今後は、生物多様性など気候変動以外のテーマにおいても、事業戦略に織り込み、取り組みを加速させていきます。

*1 Net Zero Energy House、Net Zero Energy Buildingの略。省エネ・創エネにより、快適な室内環境を実現しながら年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅・建築物。

*2 他社から供給された電気、熱、蒸気を使用したことによる間接排出の温室効果ガス。

*3 Science Based Targetsの略。パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス削減目標。

*4 Internal Carbon Pricingの略。企業独自で炭素価格を設定する制度のこと。CO2排出量1tあたりの費用を自社基準で費用換算し、気候変動リスクを定量化するもの。

*5 Building Information Modelingの略。3Dモデルに建物情報を付加しデジタル化したもの。設計から施工維持管理までのライフサイクル全体で蓄積された建物情報を活用する手法。

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