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コラム No.102

CREコラム・トレンド

企業経営にも役立つ不動産証券化デュー・デリジェンス

公開日:2020/04/30

不動産証券化は、不動産と金融が融合してできた事業分野です。そのノウハウを学ぶことは、2つの事業領域を学ぶことになります。そこには財務や広報・IRなど、ある程度の資産を持つ企業にとって経営上不可欠な要素が多く含まれています。企業経営にも役立つ不動産証券化のノウハウやスキルを紹介していきます。

デュー・デリは将来の価値予測

デュー・デリジェンス(Due・Diligence)のデューは「適正な」「正当な」、あるいは「義務」、デリジェンスは「努力」「精査」の意味があります。直訳すればデュー・デリジェンスは「適正評価」。現在は多くの場合で「資産査定」と訳されています。略して「デューデリ」、頭文字を取って「DD」(ディーディー)と呼ぶこともあります。

資産査定とは、対象となる資産の将来における価値を予測して現在の価値を決める作業のことです。例えば賃貸オフィス物件である不動産に投資する場合、当初の賃料収入は将来、周辺のオフィス物件環境から判断してどの程度の水準になっているか。稼働率はどの程度確保できるのかなどを予測します。大きな投資行動の前に必要な調査をするのは、当然のこと。不動産投資は金額的にも規模も大きい投資ですから、慎重な判断を要します。

近年、デュー・デリジェンスは企業買収(M&A)において頻繁に登場します。新たな事業に着手するための近道として、新規事業を立ち上げるのではなく、その事業を展開している企業を買収する企業が増えています。その際、買収する企業が将来どのような利益をもたらしてくれるのか。逆にどのようなリスクにさらされるのかを総合的に判断するためにデュー・デリジェンスを活用しています。

M&Aが増加するにつれて客観的、総合的に企業価値を判断するデュー・デリジェンスは、それ自体が事業として急成長しています。建設業界では建築診断をデュー・デリジェンスと呼んで新たな事業として位置付けています。また、銀行のプロジェクトファイナンスでは、融資する企業に対してデュー・デリジェンスを実施しています。株式公開の支援を行う証券会社も、収益性の高いM&Aのアドバイザリー業務に注力しています。

図1:不動産証券化におけるデュー・デリジェンスの意義

情報発信は投資家保護、証券化市場の健全化に不可欠

不動産証券化では、主に証券化商品の発行主体で不動産の買い主であるSPC(特別目的会社)がデュー・デリジェンスを実施します。実際はSPCから資産運用を委託されたアセットマネージャーが実務を担います。SPCは資金調達のために不動産を小口化した有価証券を不特定多数の投資家に販売します。そのためには、より多くの投資家に対して投資対象である物件の情報を最大限公開する必要があります。その情報がデュー・デリジェンスを実施して得られる情報です。つまり、デュー・デリは投資家保護のための基本的要件であり、証券化市場の健全化に必要不可欠なものなのです。

SPCは、それ自体は実態のある会社組織ではないものの、証券化においては多様な業務を代行するプレーヤーの集まりとして、ひとつの企業体と見なすことができます。従って、情報公開は投資家への情報発信で、企業の広報・IR活動に通じるものといえるでしょう。

3つの分野における調査

前置きが少し長くなりました。デュー・デリジェンスには、大きく分けると3つの調査項目があります。物理的調査と法的調査、経済的調査です。このうち物理的調査はエンジニアリング・レポート(ER)と呼ばれています。

物理的調査は土地や建物、および環境の状況調査を行います。所在地や地番、地積の調査や隣地との境界はどうなっているのか。土地の下に埋蔵品などの文化財がないかどうか。地質・地盤も調べます。土地の境界は物理的調査で問題になりやすいといわれています。境界の目印になるべき境界石がなくなっていたり、建物の一部が他人の土地に越境している場合などは是正方法を巡って相手方との調整が必要になります。
建物の調査も重要です。経年劣化の程度や修繕費用、改築や増築などで建築基準法に違反していないかどうかを調査します。環境調査は近年最も重要な項目でで、アスベストなどの有害物質を含んでいないかどうか。土地や地下水の汚染可能性はないのか、入念に調べます。

法的調査は権利関係や賃貸借契約の内容、売買契約書をチェックします。登記簿などの所有権や抵当権の調査。共有、区分所有などの権利関係を調査します。
経済的調査は、テナント関係では、テナントの業種や信用情報、稼働率や賃料の推移を調査します。賃貸オフィス物件では大口テナントが退去予定だったりすれば、不動産の収益が低下しますので、こうした調査も欠かせません。

図2:3つの調査と2つの客観評価ツール

客観性を担保するため第三者レポート活用

デュー・デリジェンスでは、調査結果をより客観的なものにするため、デュー・デリを行った当事者とは別の第三者の意見を付けることが一般的とされています。その際に導入されるのが不動産鑑定評価書とエンジニアリング・レポート(ER)です。
不動産鑑定評価書は、専門家の不動産鑑定士が作成する土地建物のレポートで、デュー・デリの見解と不動産鑑定評価書の結果が著しく異なる場合は、デュー・デリをチェックすることがあります。エンジニアリング・レポートは、前述した「物理的調査」のことで、不動産鑑定評価書が「法的調査」と「経済的調査」と同等のものです。デュー・デリジェンスの3つの調査作業をそれぞれ補完するものとなっています。

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