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コラム No.104

CREコラム・トレンド

「スマートシティ」が注目される理由とは?

公開日:2020/06/25

先端技術などを駆使して都市の抱える課題を解決し、快適で安全に暮らせる都市を目指す「スマートシティ」が各地で実現に向けて動き出しています。新型コロナウィルスの発生で生活様式が激変した現在、都市生活者にとって身近で切実な話題になっています。

人口集中進む都市の居住性改善

2020年4月7日に緊急事態宣言が出て以来私たちの日常生活は一変し、経験したことのない自粛ムードが広がりました。感染者数は減少傾向にあるとはいえ、ウィルス終息までに今後1、2年は人との接触を極力減らす生活が続くのではとの見方もあり、長期戦も覚悟しなければなりません。

そうした状況の中、新しい都市再開発のあり方として注目されている「スマートシティ」構想が実現に向けて動きを見せています。スマートシティとは、都市の抱える諸課題に対してICTなどの新技術を活用してマネジメント(計画、整備、管理・運営)が行われ、最適化を図る都市や地区を指します。国土交通省は今年4月、昨年5月に選定したスマートシティの先行モデルプロジェクトの実行計画を明らかにしました。全国各地で15の計画が立ち上がり、構想実現に向けて開発が進んでいます。

スマートシティが注目される最大の理由は、都市への人口集中が激化しその動きは今後も避けられないという現状への危機感があるからです。高齢化の進展や地方の就業機会の減少などの理由により、地方から都市に移動する人々が増加しています。その結果、都市の様々な機能に負担が増大し、都市の居住性が劣化しています。将来的にも人口集中が不可避ならば、都市への人口流入を解決するよりも都市の居住性を改善するほうが得策、との視点が出てきたのではないでしょうか。

一方、ITが高度に進展し、社会経済構造が変化しています。遠隔制御による設備や機器の稼働、インターネットショッピングや宅配便の浸透、スマホ決済の普及で私たちの生活スタイルは大きく様変わりし、デジタル端末のない日常生活は考えられないようになってきました。在宅勤務を導入する企業が急増したことで、民間企業の間でWeb会議システムの導入が相次ぎ、家電量販店ではWebカメラが売れているようです。

生活者の視点が変わる

国土交通省が昨年取りまとめた報告書「スマートシティの実現に向けて 中間とりまとめ」によると、スマートシティが実現した社会では、「生活者は物理的な距離や時間的な制約から解放され、有意義な時間を最適かつ自由に使うことができる」と指摘しています。これまで費やしてきた通勤や買い物、通院などの時間は今後、大幅に短縮されるでしょう。そこで余った時間は自己啓発の時間や自由学習、ボランティア活動などの社会貢献、地域でのイベントを通じた交流の場への参加に振り向けることができます。

図1:スマートシティが実現した後の生活者の視点イメージ

出典:「国土交通省「スマートシティの実現に向けて 中間とりまとめ」

都市生活者がこうした暮らしを実現するには、これからも人口が増え続けるとみられる「都市」がこれまで以上に多彩な機能を有していくことが求められます。現在は人との接触を避ける生活が続いていますが、コミュニケーションは対面接触が前提であり、他者との「ふれあい」が暮らしに彩りを添えます。中間報告では「生活者が対面接触の経験的活動を充実させるためには、様々なヒト・モノ・カネが集まっており、そこに居ることで生活者が様々な経験をできる都市環境であることが前提」と記しています。

全国で15のプロジェクトが動き出す

国交省はこのほど、全国15のスマートシティ実行計画を公表しました。既に実現に向けて動き出しているものもありますが、人口が急激に集中している都市圏だけに、環境エネルギーや防災、医療、交通、教育など、解決すべき課題が山積しています。スマートシティは、こうした課題を官民一体となって取り組んでいくものです。また都市は生き物であり、その時々で新たな課題が生じることもあることから、到達点を決めるのは難しいと思われます。このため、実行計画もできるだけ幅広な内容になっている印象を受けます。

例えば、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」は、2005年に開通したつくばエクスプレス線(略称:TX)柏の葉キャンパス駅周辺のエリアにあります。同駅は東京・秋葉原から約40分の通勤圏で、土地区画整理事業や民間事業者による開発が行なわれ、多くの分譲マンションや大規模商業施設、ホテルが整備されました。近隣には東大や千葉大のキャンパスがあり、Jリーグの公式戦を開催する総合運動場や森林浴が楽しめる公園、大型商業施設や総合病院など、数多くの施設が集中しています。

柏の葉スマートシティは資源・エネルギー問題や高齢化などの課題解決都市を目指して「環境共生都市」、「健康長寿都市」、「新産業創造都市」の3つのテーマを掲げており、その実現に向けて自治体、民間企業、教育機関の「公・民・学」が連携して取り組んでいます。

コンパクトシティ政策を推進する原動力

わが国では2008年に人口のピークを迎え人口減少局面に入っており、これを踏まえた都市計画の目標のひとつに「コンパクトシティ」があります。少子高齢化で人口が減少した社会では、利便性の高い都市生活を持続させるため、まちなかの拠点や公共交通沿線に居住・都市機能を集約し、人口密度が適度に維持された市街地の形成を目指すコンパクトシティ政策の推進が求められています。

中間報告では、都市機能や居住が物理的に集積されるコンパクトシティ政策に環境・健康・産業創造など分野横断的な考え方を基本にするスマートシティ構想が加わることで都市の利便性や効率性、生産性の向上につながることが期待されると指摘しています。

スマートシティが進展すれば人々の行動様式や移動形態に変化が生ずる可能性が高い反面、仮に人の移動が減ってもフェイス・ツー・フェイスの交流はむしろ価値が高まります。スマートシティへの取り組みは、より高い次元で人の交流や快適性の向上を実現できるコンパクトシティ政策の重要な要素でもあるといえるでしょう。

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