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コラム No.124

CREコラム・トレンド

不動産ID導入でデジタル化が加速

公開日:2022/01/11

新たな物件情報のデータベース化と取引の透明性向上などを目的に不動産情報のデジタル化が進みそうです。全国の土地や建物に対して共通する識別番号を割り振る「不動産ID」が創設されることになりました。早ければ2022年にも運用が始まりそうです。

国が不動産ID導入に向けて検討を開始

不動産に関連する情報は、法務局が管理する登記簿をはじめ、民間の不動産業者が独自に収集した物件情報など膨大な量が存在しています。しかし、同じ物件でも表記の仕方が微妙に異なるために違う物件と認識されてしまうことがあります。例えばマンションの名称を省略していたり、地番を記さずにハイフンと数字だけにしたりするなどの場合です。「1丁目1番地」にある物件の住所が「1丁目-1」または「1の1」、「1-1」などと表記されているケースがあります。物件は同じなのに、住所・地番の表記が異なるため異なる物件と認識されてしまうのです。

住所や地番の微妙な違いを「表記ゆれ」といいます。これが生じると、同一物件かそうでないかの確認作業に時間と手間がかかってしまいます。またレインズ(不動産流通標準情報システム)など外部の不動産情報データベースと自社の情報との連携もうまくいかなかったりして業務上支障が出ることもあります。一部の不動産情報サイトでは、既に募集が終了している物件を故意に掲載して顧客を誘引する「おとり物件」や重複掲載しているケースも見られますが、表記ゆれがあると、その誤りを見つけるのに時間がかかります。

こうしたことが起きる背景には、不動産に特定の共通言語がないことが挙げられます。登記簿に記されている「不動産番号」は存在するものの、その番号は民間の膨大な不動産情報の一つひとつと十分に連携していないからです。国土交通省は2021年4月に「不動産IDのルール整備について」を公表、9月に検討会を開始しています。2022年3月までにルールを取りまとめ、早ければ同年4月以降に順次運用を始める意向です。

不動産ID導入で重要なことは、できる限り低コストで迅速に導入することではないでしょうか。そのために今回検討会で検討されている番号の基礎に不動産番号が最有力になっているのは当然のことでしょう。不動産番号は登記の申請で信頼度の高い正確な情報であり、既に不動産登記のオンライン申請で活用されて普及しているからです。

導入のメリット大きい不動産ID

不動産取引では土地や建物に共通の識別情報が関連づけされていないため、デジタル化が叫ばれる今日でも情報連携が必ずしも進んでいません。取引は日々行われているのに情報の一元化が十分でないという不透明感があります。不動産IDはこうした取引の透明感を向上させると期待されています。

前述したように、不動産IDが実現すれば表記ゆれが原因で不動産情報の取得に多くの時間と経費がかかっていた不動産業界の生産性が改善されます。1つの物件の真偽を確認する作業にかかっていた時間とコストが軽減されることは、業界にとって朗報です。不動産IDが導入されれば、利便性が良いにもかかわらず利用されていない土地や物件を探し出す作業もより容易になると期待されています。

不動産番号を基礎に構成される不動産ID

不動産IDは不動産番号を基に作成することで議論が進んでいます。対象になる物件の種類は「土地」「建物(戸建)」「非区分所有の建物」「区分所有の建物」の4つ。 土地、建物は13桁の不動産番号をそのまま引き継ぐことになりそうですが、賃貸物件のマンションやアパートなど非区分所有の居住用建物は不動産番号に加えて部屋番号(4桁)、賃貸オフィスなど商業用建物の場合はマンションなどの部屋番号に代わって階数(2桁)を振ることになります。また区分所有建物の中で分譲マンションは、建物自体の不動産番号が不動産IDになるもようです。

図1:非区分所有・居住用建物のIDルール案(賃貸マンション・アパート等)

出典:国土交通省「不動産IDのルールについて(案)」

不動産情報の共有化は民間が先行

不動産IDに関しては既に民間の業者の間で実現に向けた動きが始まっています。不動産情報会社や地図情報大手企業、家賃保証業者の団体などが中心になり、2020年10月に一般社団法人不動産情報共有推進協議会が設立され、物件情報の一元管理を実現するための情報共有システムの構築に注力しています。同協議会は国土交通省と2020年12月に「不動産IDに関する意見交換会」を実施しており、官民が協力して不動産流通の活性化に努める意向です。

不動産情報のデジタル化では、不動産テックの分野で改ざんや情報漏えいに対するリスクが低いブロックチェーン技術を活用した不動産情報の共有化への取り組みが始まっていますが、不動産番号を管轄する国(法務局)との協業を抜きにして共有インフラの構築は不可能です。また、不動産IDは不動産番号を活用するとしても新たな番号を物件に付与することになり、システムの改修作業は避けられません。

中小企業から大手企業、仲介や開発、販売、建設など多彩なプレーヤーがひしめく不動産業界に共通のデジタルインフラを普及させ不動産情報のデジタル化を実現するには、国や自治体による財政支援は欠かせません。国土交通省の検討会は今後3回程度開催される予定ですが、不動産IDの導入における業者の負担軽減や個人情報保護との関係など留意すべき課題は少なくありません。

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