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コラム No.15

PREコラム

(1)地方都市が抱える課題

更新日:2019/09/30
公開日:2016/03/25

多くの地方自治体で、高度成長期における人口増加対策のまちづくりから、人口減少、高齢化を踏まえた新たなまちづくりへと、大きな転換が求められています。
人口減少、財政の悪化をはじめ、さまざまな課題を抱える中で、「人口を増やす」「雇用創出」を目指した「地方創生」を進めていかなければなりません。

人口構造の変化

日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに減少へと転じ、2053年には1億人を割ると予測されています。老年人口(65歳以上)の割合は年々増加傾向にあり、2042年には3,935万人になりピークを迎えると予測されています。相対して生産年齢人口は減少することになり、税収入の減少や購買力の低下は、自治体の経済活力にも大きな影響をもたらします。高齢者人口が増えれば、医療、福祉にかかわる需要も増大します。
(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口[2017年推計])

地方はさらに深刻です。大都市と地方の差はさらに広がるとも予測されています。東京圏、三大都市圏、それ以外を比較すると、人口差はますます広がると予測されています。

三大都市圏および東京圏の人口が総人口に占める割合

総務省統計局「国勢調査」及び国土交通省「国土の長期展望」中間取りまとめを元に、総務省市町村課より作成

一方、政令指定都市や県庁所在地などの都市部は、人口が増加している都市もあり、同じ県のなかでも地域間の格差がますます開いています。
しかし、この人口増加の都市部においても、DID(人口集中地区)の面積は、特に県庁所在都市においては拡大しています。1都市あたりの平均人口は約2割増加したのに対して、1都市あたりの平均DID面積は大きく増えています。つまり、合併や郊外の開発によって、人口の増加以上に、市街地が拡散し、広がったといえます。
この先、拡大した市街地で人口減少が継続的に起これば、利用されない土地や建物が各地で大量発生することになります。
その結果、空き地や空き家などが増加し、高齢の住民が広い面積の中でバラバラに点在して居住することが予想されます。こうした状況では、一定の人口密度(利用圏人口)によって支えられてきた各種都市機能(医療・福祉・商業・子育て支援など)や公共交通が成立しなくなる恐れがあります。

県庁所在地の平均人口の伸びと、DID面積の伸びとの比較

国土交通省都市局 都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ「『都市のスポンジ化』への対応参考資料」(2017年8月)より作成

都市機能が低下すれば生活基盤のレベルも下がり、雇用確保においてもマイナスに作用し、企業の撤退が加速することも考えられます。
人口が増加していた時代には、モータリゼーションの発展や地価の安い郊外での宅地開発が進み、どんどん市街地が拡大していきました。しかし、人口減少時代を迎えた現在、すでに公共施設の需要と供給のバランスは崩れてきており、小中学校や公共施設の統廃合が着実に進んでいます。
また、地域公共施設に対する人々のニーズも変化してきており、公共施設に求める機能や目的も、当初のものとはかなり変化しています。
地方自治体としては、こうした公共施設をはじめ、利用されなくなった土地やインフラをどのように活用していくべきか。コンパクトシティ化と呼ばれる、これまでとはまったく逆の都市政策を考え、つくりあげていく時代になったといえるでしょう。

財政状況の悪化

財政状況の悪化も地方自治体にとっては長年の課題です。2019年版の地方財政白書によると、平成29年度末における地方債現在高は144兆2,891億円、平成29年度末における臨時財政対策債を除いた地方債現在高は91兆1,980億円で、平成4年度以降急増したまま、依然として高い水準で推移しています。

借入金残高は平成25年をピークに微減しているものの、平成29年度末の借入金残高(地方債、交付税特会借入金、公営企業債)は約196兆円に膨れ上がったままです。今後の財政運営はより一層厳しいものになることが予想されます。

借入金残高推移

2019年度版 地方財政白書より作成

産業構造、社会環境の変化

さらに、産業構造、社会構造の変化が与える影響にも目を向ける必要があります。 東南アジアを中心とした新興国の発展によって、世界の金融の流れが変わり、製造拠点の移転、マーケットの拡大の両方で大きな変化が起きています。
その結果、かつては日本国内だけで展開していたサプライチェーンがアジアスケールへと拡大しました。若干、国内回帰の動きはあるものの、生産拠点の国外移転は確実に進み、マーケット自体も世界各国へと広がっています。
そのため、海外に移転した施設跡地の再利用、その地域の雇用確保などが、やはり急務となってきているわけです。
消費や購買の構造も明らかに変化しています。日本の小売自体の売上高はほとんど変化していませんが、その内容は大きく変わっています。
インターネットや流通手段、物流機能の進化などによって通販が大きく伸び、今後は住民が店舗に行く頻度がさらに減ることが予測されます。
このように、生活行動やライフスタイルが変わっていくと、それに応じた都市機能やまちづくりが必要になっていくことは避けられません。
各都市がそれぞれの課題と向き合いながら、新しい時代のニーズに合ったまちづくりを進めていくことが、今まさに求められているのです。

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