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コラム No.16

PREコラム

(2)地方自治体におけるPREの活用状況

更新日:2019/09/30
公開日:2016/04/27

2014年12月に、国から発表された「まち・ひと・しごと創生の長期ビジョンと総合戦略」は、毎年基本方針と総合戦略が見直され、2019年には5年目を迎えました。 内閣府の資料によれば、2020年度からの第2期においては、以下の内容について特に重点的に進めるとされました。

  • (1)地方へのひと・資金の流れを強化する
  • (2)新しい時代の流れを力にする
  • (3)人材を育て活かす
  • (4)民間と協働する
  • (5)誰もが活躍できる地域社会をつくる
  • (6)地域経営の視点で取り組む

新時代のまちづくりが加速するなか、地方活性化の鍵を握ると考えられているのがPRE(Public Real Estate:公的不動産)戦略です。

なぜPRE戦略が必要なのか

多くの地方自治体が財政問題を抱える中、PRE戦略の最大のポイントは、「地域経済の活性化」です。地方自治体の厳しい財政状況は依然として続いています。財政的にも、保有する不動産の有効活用は必須です。
すべてのPREを一元的に把握し、管理・活用を行えば、コストの削減、新たなニーズへの迅速な対応など、さまざまな面で効率化を図ることができます。特に、地方都市において雇用創出は切実な課題であり、未利用地に一定規模の工場施設や物流施設、開発センターなどを誘致できれば、雇用、経済の活性化に大きく貢献することができます。
また、老朽化した施設や建物においては、耐震面やアスベスト、土壌汚染など、災害や環境問題への対策も避けて通ることはできません。
こうした様々なこれらの施設や建物の再生においても、PRE戦略の適切な運用が望まれているわけです。

地方財政の健全化に向けて、フロー指標だけではなくストック指標も加えた財政情報の開示が義務付けられました。「地方公共団体財政健全化法」において、実質赤字比率などのフロー指標に加え、地方公社、第三セクターなどを含めた実質的な将来負担に関するストック指標(将来負担比率)による財政状況の開示が要求されています(地方公共団体の財政の健全化に関する法律 平成19年6月15日)。
さらにそれに伴い、資産内容の情報開示に加えて、資産、債務に関する改革の具体的な施策内容を策定することも求められています。
こうした背景から、地方自治体におけるPREの有効活用は不可避の課題となっています。

実際のPRE戦略実施状況

では、実際のPRE戦略実施状況はどのようになっているのでしょうか。
国土交通省による「公的不動産の合理的な所有・利用に関するアンケート調査(2008年)」によると、地方公共団体における公的不動産のマネジメントの状況に関して、98.2%とほぼすべての地方公共団体が「不動産の合理的な所有・利用の必要性を感じている」と答えています。しかし、その8割以上が「必要性を感じているものの実施していない」と答えているのが実情です。
さらに、保有するPREに対し、活用方針などを定めたガイドラインを策定しているかとの質問に、ガイドラインを「策定している」と回答した地方公共団体は、全体の6.2%とごく少数で、一方、「策定しておらず、今後も特に予定していない」と答えた地方公共団体は、実に全体の50%を占めています。
この調査結果からは、適切なPREマネジメントの必要性を感じながらも、具体的な方向性や手段を持つまでには至らないという、自治体の実態が浮かび上がっているといえそうです。

ガイドラインの策定状況

保有不動産の合理的な所有の必要性

PREの利用・活用手法の多様化

人口の減少、都市部への移動、また産業構造が変化する中、利用・活用されない土地や住宅が増加しています。高度成長期に建設された施設の多くが老朽化し、その修繕やメンテナンスにもコストがかかります。多くの自治体において、PREが価値を生み出すどころか、負の遺産と化しているケースも少なくありません。
こうしたニーズの変化を受け、不動産を所有することから利用することへ、移行を促すためのさまざまなスキームや方法が生まれ、制度化されてきました。
拡大した市街地をコンパクト化し、新たなニーズに合ったまちづくりを行ううえでは、PREの適切な管理とともに、民間の力をうまく活用することが、コスト削減やリスク回避につながるものと考えられています。
民間の力や財力を活用する方法はPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ばれます。たとえばインフラ事業などで、従来地方自治体が公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、設備は官が保有したまま、設備投資や運営を民間事業者が行うなどの方法があります。
また、PFI(プライベイート・ファイナンス・イニシアティブ)と呼ばれる民間の資金を活用する方法も、不動産の証券化などの手法を通じ、民間活力や民間資金の導入、利活用手法の多様化といった観点から制度化され、大きな進展を見せています。

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