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コラム No.33

CREコラム

中小企業における生産性を考えるオフィス環境が「働きやすさ」「働きがい」を促進

公開日:2017/07/20

オフィス空間に対する意識が変化

現在のような知的生産性(ITビジネス、金融ビジネスをはじめとしたさまざまな知財を活用するビジネスのみならず、ホワイトカラーのビジネス全般の生産性)が求められる社会においては、高度成長時代とは違い、オフィス空間の重要性が飛躍的に高まっています。
高度成長時代には、オフィスは椅子と机が並ぶだけの、いわば事務職の工場と言われる企業が大半でした。しかし、現在では、集中力を高める快適性や効率を重視したレイアウト、創造性を刺激するデザインなどに代表されるように、オフィス空間に対する意識や考え方がかなり変わってきました。
さらに、個人の居心地の良さだけではなく、風通しの良さと呼ばれるコミュニケ―ションの活性化を促すような空間や、ミーティングなどの業務プロセスを円滑化するようなオフィスなども求められています。そしてこうした組織文化の良さが従業員の働きやすさや働きがいといったエンゲージメントを高め、業績に直結すると言われるようになってきました。

森ビルの調査によれば、「新規賃借する理由」アンケート調査(2016年)の1位は、「新部署設置・業容人員拡大」となっており、「人材」の観点での理由が1位となっています。そして第2位となったのは「ワンフロア面積が大きなビルに移りたい」で、効果的なオフィスレイアウトを行うことで、働くスタッフ間のコミュニケーションが活性化するような環境づくりをするという狙いもあるようです。
以前のコラムでもご紹介したように、中小企業向けのオフィスビルは築浅物件が少なくなっていますが、それに反して大企業向けのオフィスビル、特に東京地区においては、築20年未満の大規模ビルは非常に多く、移転のニーズに応え得る物件は相当数存在します。
そうすると、大企業においては、ますます充実した「オフィス環境」が準備されることになり、大企業と中小企業の生産性の差が開いてしまうことも考えられます。

働きやすさ、働きがいが収益を上げる

平成26年5月厚生労働省職業安定局の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」という調査データがあります。
この調査結果の中に、「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲、定着、業績との関係を調査したデータがあります。
この調査結果によれば、まず、「働きがい」「働きやすさ」がある方が、従業員の意欲は高くなっています。

「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲の関係

注)「働きがい」群:「働きがい」又は「どちらかといえば働きがいがある」と回答した群
「働きがいがない」群:「働きがいがない」又は「どちらかといえば働きがいがない」と回答した群

平成26年5月厚生労働省職業安定局の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」より

次に、従業員の「将来今の会社で働き続けたい」と思うかどうかにおいても、「働きがい」「働きやすさ」があるとする人のほうが、長期間の勤務意欲が高いことが分かりました。

「働きがい」「働きやすさ」と従業員の定着との関係

注)「働きがい」群:「働きがい」又は「どちらかといえば働きがいがある」と回答した群
「働きがいがない」群:「働きがいがない」又は「どちらかといえば働きがいがない」と回答した群

平成26年5月厚生労働省職業安定局の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」より

そして、肝心の業績について見てみても、「働きがい」「働きやすさ」とする人の方が、会社の業績は上がっていると答えています。

注)「働きがい」群:「働きがい」又は「どちらかといえば働きがいがある」と回答した群
「働きがいがない」群:「働きがいがない」又は「どちらかといえば働きがいがない」と回答した群

平成26年5月厚生労働省職業安定局の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」より

つまり、現在の企業においては、働きやすさ、働きがいを従業員が感じれば感じるほど、勤務意欲も業績も上がる企業が多いというわけです。

企業と従業員のWin-Winの関係を築く

この「働きやすさ」「働きがい」を左右するひとつの大きな要素が、ビジネスパーソン一人ひとりの生産性(特に知的生産性)を向上させる環境や制度です。
今でも、この「働きがい」を高めようと、成果に対しては高い報酬で対応しようとする企業はたくさんあります。しかし、昨今、従業員(特に知的労働者)の上げる成果は、報酬だけによって変わるものではないと言われています。
環境や制度には、ソフト、ハード、様々な要素がありますが、自分の能力をフルに発揮でき、チームメンバーやプロジェクトメンバーと協力して、優れた成果を出すことができる環境や制度があることで、「働きやすさ」「働きがい」は高くなります。

重要なことは、知的生産性を高める「働きやすさ」「働きがい」を生み出す組織とは、コミュニケーションや価値観などの企業風土(組織文化)、多様な選択肢があり個人を尊重する働き方、そして、設備やシステムなどのハード環境、この3つがそろってはじめて成立するということです。
CREの観点から提供できるのは、ハード的な側面、つまりオフィス・ワークプレイスの改善です。従業員のニーズに応え、知的生産性向上のためのワークプレイスを準備することで、新たな発想やアイデア、イノベーションを生み出すような生産性の向上を図ることができるでしょう。

オフィススペースの改革を行う目的のひとつは「知的生産性の向上」です。従業員が快適に働き十分な成果を出す、そして企業は安定した雇用と業績を手に入れ、さらに従業員には十分な報酬として還元される、こうした企業と従業員のWin-Winの関係を築くこと、これがCRE戦略としての「オフィス改革」なのではないでしょうか。

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