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コラム No.67

CREコラム・トレンド

サブリース関連トラブルに関係省庁が注意喚起

公開日:2018/11/30

国土交通省は2018年10月下旬、消費者庁・金融庁と連携してサブリース契約に関する注意喚起を行いました。女性向けシェアハウスの運営会社の破たんや、一部の地方銀行が関与したシェアハウス向けの不動産融資で不正行為が発覚して以降、社会問題化したサブリースについて改めて紹介します。

2015年の相続税改正で増加も2年後には下火

サブリースとは又貸し、転貸の意味です。不動産用語としては賃貸住宅やマンションなどの集合住宅を一括して借り上げることを指します。その歴史について有力な資料などはありませんが、わが国で本格化したのは2015年の相続税改正以降のようです。
2015年の相続税改正は、最高税率が50%から55%に引き上げられ、基礎控除額が4割削減されることになりました。それまで減税の改正だった相続税が初めて増税での決着になったのです。その狙いは、高齢者が保有する資産を若い世代に早期移転するよう促して経済を活性化することにありました。
これを受けて、相続税の負担増を回避する土地の有効活用がにわかにクローズアップされました。都市部から通勤圏内にある郊外だけでなく、多くの地方都市で賃貸住宅やマンションの建設が急増。不動産向けの新規融資も2016年には12兆円を突破して、1977年以来の最高額になりました。ところが、2017年になると2011年以来6年ぶりに不動産の新規融資が減少に転じます。相続税対策として脚光を浴びて2年で下火になったのです。

業者登録制度は2011年スタート、 3年後に適正化通知

一方、サブリース業の登録制度が2011年12月に施行されました。賃貸住宅の管理業務の適正化を図るため、国土交通省が「賃貸住宅管理業者登録制度」を創設したのです。賃貸住宅管理業務に関して一定のルールを設けることで、借主と貸主の利益保護を図り、登録事業者を公表することで消費者が管理業者や物件選択の判断材料として活用することを支援する制度です。2012年には制度が広く認知されるよう、登録業者であることを示すシンボルマークを制定しました。登録の有効期限は5年。2017年12月末には、4049業者が登録しています。

図1:賃貸住宅管理業者登録制度の登録業者であることを示すシンボルマーク

サブリースの適切な業務運営を目指した制度でしたが、2015年7月には最初の注意喚起ともいうべき通知が国交省から出ました。急な家賃減額や契約解消などで業者とオーナーとの間でトラブルが目立つようになったからです。同省のサブリース業者に対する業務適正化の通知は2016年9月、2018年には2月、3月と続き、10月の3省庁による連名の注意喚起で4度目となりました。

日弁連がサブリース被害対策で声明

マスコミの報道は、女性向けシェアハウスの運営会社の破たんや一部地銀の不正な不動産融資を数多く取り上げました。その中で目立ちませんでしたが、日本弁護士連合会が国交省に対して「サブリースを前提とするアパート等の建設勧誘の際の規制強化を求める意見書」と題する声明を出しました。
その中で、制度の登録業者はオーナーに対して、次の3点についての説明を法令上の義務にするべきと主張しました。

  1. (1)借り上げ家賃の変動リスクや借り上げ期間の限定、中途解約のリスクに照らして将来の家賃収入が保証されているものではないこと
  2. (2)金融機関からの融資を完済するまでの賃貸住宅の維持修繕内容や、それにかかる費用など投下した資金を回収するために必要な月額賃料額
  3. (3)相続税対策として検討する際には、相続税の軽減とともに事業収支の成否を併せて検討する必要があることを説明すべきこと

つまり、サブリース契約を前提とした賃貸住宅やマンションなどの集合住宅を建設する場合、サブリース業者は契約当事者であるオーナーに対して、家賃の減額やサブリース契約の中途解約の可能性を含めて十分かつ適切に説明します。銀行融資を含む建設資金を返済できるための毎月の家賃総額とともに開示したうえで、相続税対策としてサブリース契約の建設が有効かどうかを説明するよう求めました。

また、日弁連は不動産融資を行っている銀行に対し、サブリース契約による貸家業を行うために借り入れをする人には、金利上昇や空室、賃料低下といったリスクを理解するよう、適切な情報提供や注意喚起をすべきとしています。具体的には銀行は融資の際、先行きの金利や空室率の将来予測を踏まえたシミュレーションを示すなど、家賃収入だけではローン返済が滞る場合があることを説明すべきであり、銀行法施行規則に盛り込むべきだと指摘しています。

図2:サブリースの一般的な契約関係のイメージ

国土交通省2018年10月26日公表の資料より抜粋

適切な業務運営求められる

国交省および金融庁、消費者庁では、サブリース契約をする場合は、契約の相手方から説明を受け、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してから契約するように注意喚起するとともに、契約を交わす際の注意点を挙げています。

サブリース契約をする際の主な注意点

賃料は変更になる場合がある 多くのサブリース契約では、定期的に賃料を見直すことになっている。
「家賃保証」とうたわれていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性がある。
「空室保証」とうたわれていても、入居者の募集時に賃料支払いの免責期間が設けられている場合がある。
契約期間中でも解約されることがある 「30年一括借り上げ」とうたわれていても、契約書でサブリース業者から解約することができる規定がある場合は、契約期間中であっても解約される可能性がある。
契約後の出費もある オーナーは、サブリース業者が賃貸住宅を使用するために必要な修繕費用を求められる場合がある。
賃貸住宅の老朽化等などによる、建物や設備の修繕費用が必要になる。
賃貸住宅に対する固定資産税は所有者であるオーナーの負担となる。

民営の賃貸住宅は約1500万戸あるといわれ、そのうちの半数にあたる約720万戸を4000社あまりの賃貸住宅管理業者が管理しているといわれています。現在は任意の登録に留まっている賃貸管理業者登録は、登録制度そのものを知らない人も少なくありません。また、トラブルが増えているにもかかわらず登録抹消になった業者はいないといわれています。
サブリース事業を健全に発展させていくことは、国の住宅政策の一翼を担うことにつながり、意義のあることです。そのためには、法令などによる賃貸管理業者の適正化の徹底と同時に、オーナーも自身で収支計画をきちんと立て、建設予定の地域に賃貸ニーズがあるかどうかを調査することも必要でしょう。そのうえで、より良い賃貸管理登録業者を見つけてサブリース契約を結ぶことができれば、トラブルは減少するのではないでしょうか。

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