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コラム No.98

CREコラム・トレンド

登録義務など「賃貸管理業適正化法」制定へ

公開日:2020/02/28

開会中の通常国会で、賃貸住宅管理を巡る問題への対応策として「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」(賃貸管理業適正化法案)が3月に上程されることになりました。サブリースを含めた賃貸住宅の管理業務でシェアハウスが社会問題化するなど、トラブルが表面化しました。業者登録の義務化やサブリースの行為規制などを盛り込んだ新法が制定されそうです。

2011年に「賃貸住宅管理業者登録制度」がスタート

賃貸住宅はわが国の住宅ストックの中で4分の1以上を占めており、居住ニーズに応える暮らしのスタイルのひとつです。住環境は日常生活の基盤となるもので、長期にわたって適切に管理されることが必要不可欠といえます。また、近年は人口減少や高齢化の進展で空き家が増加していますが、その4割がこうした賃貸住宅物件となっています。それだけに、賃貸住宅の管理業務の適正化は喫緊の課題といえるのです。
賃貸住宅管理を巡るこれまでの政策の経緯を振り返って見ましょう。
2011年、国土交通省で社会資本整備審議会の産業分科会「不動産部会」における論点整理を経て、賃貸不動産管理業務を適正に運営し賃貸人(貸し主)と賃借人(借り主)の利益を保護するための「賃貸住宅管理業者登録制度」が施行されました。登録業者にはシンボルマークの使用が認められ、管理業務の適正化が進んでいきました。しかし、登録自体は任意に留まり、強制力はありませんでした。

「登録制度」の運用開始から5年目の2016年に制度を検証、「賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会」(検討会)で登録制度・運用の見直しを検討しました。管理業務の適正化に向けたルールの見直しとして賃貸人への重要事項説明は一定の資格者が行うものとし、その適格者として賃貸不動産経営管理士協議会が認定する「賃貸不動産経営管理士」などを例示し、制度の規則を一部改正しました。そして2018年10月、検討会における議論を踏まえて「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」(提言)が取りまとめられ、今回の賃貸管理業適正化のための法案作成に繋がっていきました。

登録の義務化と「統括管理者」の配置へ

2011年12月に始まった「賃貸住宅管理業者登録制度」(登録制度)は、貸し主と借り主の間の賃借管理を委託されている受託管理業者と、貸し主とリース契約して家賃管理などを委託されているサブリース業者の2種類が対象です。少し古いですが、2015年12月末現在、登録業者の管理戸数は民間の借家の40%にあたる583万戸に留まっており、登録制度が必ずしも普及しているとはいえない状況です。

図1:賃貸住宅管理登録業者 管理戸数の推移

国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度 関連資料集」より作成

賃貸住宅管理業を営む11,538社を対象に国交省が2019年7月に実施した「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」(登録業者4,429社、未登録業者7,109社)によれば、「登録しておらず、今後も登録しない見込み」と回答した業者が25%。その理由の多くは「営業上のメリットがない」「登録後の国への報告が負担大」になっています。

今後施行される「適正化法」では、管理業務を適切に運営していくには、まず業務の現状を把握するため登録を義務化して各社の経営情報などを集めることが求められます。ただし、地域の小規模業者に配慮して管理戸数200戸未満の業者は制度義務化の対象外とする方針です。

その上で、管理業者は専門的な知識を備えた「統括的な管理者」を各事業所に配置することが盛り込まれる模様です。その候補者には、2016年の制度一部改正で例示された、賃貸不動産経営管理士協議会の「賃貸不動産経営管理士」が挙げられており、国家資格となる公算が強くなっています。

サブリース業者には契約書面発行、行為規制も明記か

シェアハウス投資など、一部のサブリース業者が関与したトラブルが社会問題化しました。2015年12月現在、登録業者のサブリースの実態を見ると、5,000戸以上を管理している業者は29社で全体の3.4%。この3%の業者が国内157万戸あまりのサブリース物件の9割近くを占めており、寡占化が顕著です。サブリースの世界では一部の大手が市場シェアを握っている現状が浮かび上がります。

図2:登録業者のサブリース戸数規模別分布
サブリース実施業者/原契約戸数

国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度 関連資料集」より作成

サブリース契約では、家賃保証をうたい文句に賃貸住宅を新築させた後、当初の想定より入居率が低いことを理由に一方的に賃料減額や解約を迫り、家主とトラブルとなる事例が発生しました。最近では、非登録のサブリース業者が破産手続開始決定を受ける事例が相次ぎました。

このため、(1)家主に対して将来の家賃変動や当初設定した家賃の根拠を示していくことなど契約条件を明記した書面の発行(2)重要事項の説明(3)勧誘行為に関する規制―などの行為規制を設けるものと見られています。適正化法案のテキストになった2018年の「提言」では、住宅以外の「賃貸不動産」に関するサブリースの実態なども今後の制度設計における検討事項にすべきと記しており、賃貸オフィスの業務管理の現状に対してもスポットがあたる可能性が出てきました。

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