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コラム vol.314-1
  • 土地活用法律コラム

賃貸借契約における更新料

公開日:2020/01/28

POINT!

・更新の際に更新料請求が認められるためには、更新料支払特約をしておく必要がある

・賃貸借契約書には、法定更新の場合にも一義的に更新料が発生するよう記載しておくとよい

更新料の法的根拠及び合法性

更新料とは、土地、建物の賃貸借契約が更新される際に、更新の対価として支払われる一時金のことをいいます。民法や借地借家法に更新料に関する規定は特になく、法律上当然に認められるものではありません。また、更新料の授受は、戦後大都市を中心に行われるようになりましたが、判例では、更新料を支払う慣行が確立しているとはいえないとして、慣習法としての更新料支払義務を否定しています。
そのため、オーナー様において、賃貸借契約更新の際に更新料請求が認められるためには、更新料支払特約をしておく必要があります。
ところで、借地借家法第9条や第30条では、賃借人に不利なものは無効とすると定めているので、更新料支払特約の合意が、上記条項により無効とならないかとの疑問が起こります。また、消費者契約法第10条は、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」と定めており、賃借人が事業をしていない個人の場合には、消費者契約法が適用され得るので、この点からも更新料支払特約の合意の有効性が問題となり得ます。

上記問題点のうち、借地借家法との関係については、判例は、更新料の額が適当である限り、更新料支払特約合意が賃借人に不利な特約であるとは断定できない等と判断し、有効としております。
次に、消費者契約法については、判例は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額すぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと判断しました。
上記の例を見れば、金額如何等の条件によっては、更新料支払特約の合意が無効になる可能性がありますが、過去の裁判例では、契約期間5年の借家契約において、更新料を賃料の約6.35カ月分と合意されていた事例において、更新後の賃料の3カ月分を超える部分は無効であると判断したものがあります。

法定更新と更新料

一般的に、更新料支払特約の合意がある場合には、更新の合意と更新料の支払いとが同時になされる場合が多いと思われます。しかし、更新料支払特約の合意があるにもかかわらず、更新の合意がなされないために法定更新が成立した場合に、この場合でも、賃借人に対して更新料を請求できるか否かが問題となります。
この点、借家の更新料支払特約の合意の法定更新への適用については、過去の裁判例では、二分されていました。法定更新にも更新料支払特約の合意を認める裁判例の論拠としては、(1)賃貸借が期間満了後まで継続される点では法定更新も合意更新も異なるところはなく、文言上合意更新に限定しているとまでは解されないこと、(2)更新料は、実質的には更新後の賃料の一部前払いとしての性質を有すること、(3)更新後の新賃料の協議が調わない間に法定更新された場合、賃借人が更新料の支払義務を免れるとすると、賃貸人との公平を害することなどが挙げられています。

他方、法定更新における更新料支払特約の合意を認めない裁判例は、その論拠として、(1)適正賃料の算定に更新料の支払いの有無が必ずしも考慮されておらず、あえて更新料により賃料の不足を補充する必要性はないこと、(2)法定更新されれば期間の定めのない賃貸借に移行し、賃貸人はいつでも正当事由の存在による解約申入れをすることができ、賃借人は常時明渡しを巡る紛争に巻き込まれること、このような不利益を回避するために更新料を支払う実質的意味があるから、法定更新の場合にこれを支払わせる合理的な根拠はないこと等を挙げています。

もっとも、昨今の裁判例を分析すると、裁判となった事案においては、更新料支払特約合意の内容として、法定更新の場合を含むか否かについて曖昧なケースが多く、そのために、そもそもの更新料支払特約合意の適用の解釈として、法定更新が含まれないと判断されており、逆を言えば、法定更新の場合にも明確に更新料支払特約合意が適用されることが明示されている場合には、これが肯定されるものと解されています。そのため、借家契約書上、法定更新の場合も明確に更新料の支払いが生ずることを明記している場合には、法定更新の場合であっても、更新料請求が出来得るものと考えられます。
したがって、オーナー様は、賃貸住宅に関する賃貸借契約書に、法定更新の場合にも一義的に明確に更新料が発生するよう記載しておくなどの工夫が望まれます。

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