土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.341-6
  • 賃貸住宅経営のポイント

「所有者不明土地」関連法改正の行方(4)所有者不明土地を“減らす”「相隣関係(そうりんかんけい)規定」を“整理する”

公開日:2021/03/19

POINT!

・相隣関係規定を整理することは、所有者不明土地のまま活用しやすくするという問題解決へのアプローチ 

・近隣トラブルを解決するルールを明確化し、所有者不明土地問題を解消する 

これまで、所有者不明土地問題を解消するために国が対応していることを3つの視点からお伝えしました。1つめの“予防する”と2つめの“減らす”という視点は、所有者不明土地になる前後、つまり、スタートとゴールから問題解決をしていこうというアプローチでした。

今回お伝えする3つめの視点「相そうりん隣関かんけい係規定を“整理する”」は、前の2つの視点と少々違い、所有者不明土地のまま活用しやすくするという、時間軸の途中で“実質的な”問題解決を図っていこうというアプローチになります。誰が持っているのかわからず、地域住民が迷惑をしている未利用や低利用の土地利用を円滑化し、周辺への悪影響を最小限にしようというアプローチでもあります。

「相隣関係」とは?

相隣関係とは、隣接する不動産の所有者の間で、流水や排水、通行や境界などの諸問題について相互の土地利用を円滑にするために、各自の不動産の機能を制限したり調整したりする関係、「持ちつ持たれつ」の関係ということです。
例えば、民法では、境界付近で建築工事をするときの隣地の使用、袋地の所有者の隣地通行(囲繞地通行権)、水流に関するルール(自然水流に対する妨害の禁止、水流の障害を除去する権利、水流の変更についての制限など)、境界標の設置、囲障の設置、境界線付近の建築の制限などを調整する規定があります。

  • 民法の相隣関係に関する規定
  • ・隣地使用権(209条)
  • ・水流に関する権利(215条~222条)
  • ・囲障境界設置権(223条~232条)
  • ・竹木切除権(233条)
  • ・境界線隣接地帯に関する権利(234条~238条)

ただし、民法の規定と異なるその土地の慣習があるときには、それに従うとされ、基本的に話し合いにより解決することになっています。

この相隣関係には、コロナ禍でトラブルの多い騒音問題や、以前から存在する建物建築による日照問題なども該当し、個別の法令に違反したり、受忍限度を超えた影響を及ぼしたりする場合は、不法行為として損害賠償責任を負うこともあります。

実際の近隣トラブルは?

このような近隣とのトラブル解決は、以下の理由で地域が迷惑を被っているケースも多いため、所有者不明土地問題解消のためには必要不可欠です。

  • (1)境界確定のため、近隣の土地を使わせてほしいのに、OKしてくれない【隣地使用権の問題】
  • (2)越境した庭木の枝を切りたいのに、ダメだと言われる【竹木の枝の切除等の問題】
  • (3)電気やガス、水道管など、自分自身が継続的に利用するライフラインが、私道や隣地の下を通っていて、工事したくとも許可してもらえない【継続的給付を受けるための設備設置権及び設備使用権の問題】

実は、現行の民法では、上記のトラブルについて明確な規定がなく(特に所有者が不明な場合)、解決のためにルール設定が必要でした。例えば、相続の大量発生時代を前にして、上記(1)「境界確定のルールを明確化」しておく必要があります。また、2021年4月に改定された新しい住宅政策(住生活基本計画)でも管理の重要性が増しますし、すでに2020年3月に土地基本法も改正され、土地所有者の管理責任が明確化されていますから、(2)「竹木の枝の切除等の問題」についても解決する必要があります。

さらに、社会インフラや住宅自体の老朽化による多くの弊害が指摘される中、(3)の問題についても早急な補修や修繕が行えるようにしておく必要がありす。
これらの実効性を高める意味でも、近隣トラブルを解消するためのルールを明確化することは急務でした。
例えば、(1)隣地の使用については、土地所有者Aが、以下の目的で必要な範囲内であれば、隣地所有者Bに対して、隣地の使用承諾を求めることができるようになります。

  • ・境界やその周辺にある障壁や建物などの築造または修繕 
  • ・越境した竹木の枝の切除
  • ・界標の調査や境界を確定するための測量

土地所有者Aは、隣地所有者Bに対して「隣地の使用目的や場所、その方法と時期」および「相手が一定の期間内に異議を述べることができる旨」を通知したにもかかわらず、相当の期間内に異議がないときは、上記を行うことができるようになります。
今までは隣地所有者Bに請求しても、無視されるとどうすることもできませんでしたが、今後、そのような問題は解消されるでしょう。また、(2)「竹木の枝の切除等の問題」についても、これまでも隣地から木の根が越境した場合は切除できたものの、枝の場合はNGという解釈でしたが、「越境した木の枝の切除」について、以下の場合においては、可能となりました。

  • ・今まで通り、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、請求者(土地所有者A)は、その竹木の隣地所有者Bにその枝を切除させることができます。隣地所有者が複数名の共有の場合は各共有者が切除できます。
  • ・請求者(土地所有者A)は、(1)切除を催告したにもかかわらず、相当の期間内に切除されない場合、(2)所有者が不明の場合、(3)災害など急迫の事情があるときは、自ら切除できるようになります。

そして、(3)電気やガス、水道管など「自分自身が継続的に利用するライフラインが私道や隣地の下を通っている」ケースについては、請求者(土地所有者A)が隣地(所有者B)にライフラインを設置したり接続したりしなければ継続的な利用できない場合、必要な範囲内で隣地を使用することができるようになります。当然、その設置場所や方法は、隣地所有者Bの損害が最も少ないものを選ばなければいけません。
また、事前に、以下の内容について通知する必要もあります。

  • ・ライフラインの設置場所や接続方法 
  • ・その工事の方法や時期
  • ・相手が一定の期間内に異議を述べることができる旨

ただし、他人の土地を無償で利用できるわけではなく、請求者(土地所有者A)は隣地(所有者B)に対して一定の償金を支払わなければいけません。 

また、上記(1)~(3)について、隣地所有者Bの所在が不明な場合は公告を経て対応できるようになります。

今後の法改正に備えて、準備をしておくことが大切

今までこれらのルールが無かったために、ある意味、所有者のわがままとも思われるような権利の濫用を助長していた傾向もありました。私たちも、今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言により、個人の権利がある程度制限されることを知りました。今後は、全員の幸せのため、いわゆる「公共の福祉」により、個人の権利がある程度制限されることもあり得ると理解しましょう。
今回のような大きな法改正は、社会への影響が大きく周知に時間を要するため、施行まではまだしばらく時間がかかるのが普通です。長期投資が前提である土地活用=賃貸経営において、このような法改正によるルール変更は自分自身の力ではどうしようもできない、受け入れざるを得ない事柄です。
そのためにも、今後もこのような優良な情報が詰まった情報ソースを利用して、先読み力を高め、事前準備を進めてください。

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