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コラム vol.066

資産管理会社の活用法の続きと、相続で失敗をしないために

執筆:公認会計士・税理士 高桑昌也
公開日:2015/03/18

不動産の資産管理会社を所有することによって、お子さんに資産管理会社の「株式」を譲渡し、相続税が実質無税になるなど、税務対策の観点からは優れた方法と言えます。

資産管理会社の留意点

ただし、この資産管理会社を使った方法は、いくつか留意点があります。

1.株式譲渡までのタイミング

資産管理会社の株式の子どもへの譲渡は、資産管理会社による不動産購入から3年を超えていることが必要です。そうでないと、資産管理会社が3年以内に取得した土地等及び建物等の価額は、実勢価格よりも割安な路線価や固定資産税評価額ではなく「通常の取引価額」(実勢価格)で評価されてしまいます。
したがって、ある程度計画を持って、資産管理会社の設立、不動産の取得~売却まで実行する必要があります。

2.設立費用

資産管理会社を設立するときに、費用が掛かります。主に登記代や税金、司法書士などの費用です。合同会社の場合で10万円~20万円前後、株式会社の場合25万~30万円前後発生します。

3.ランニングコスト

資産管理会社は利益の出ている、出ていないにかかわらず、ランニングコストがかかります。住民税や税務申告費用などで、年間数万円~10数万円かかります。

4.所得税のような特例が無い

資産管理会社で不動産を売却した場合には、個人の長期譲渡所得の軽減税率の特例や、マイホームを売ったときの3,000万円の控除の特例などはありません。

5.資産管理会社への融資に慣れていない金融機関もある

個人への住宅ローンはどの金融機関も慣れているのですが、資産管理会社に融資を行うのは、通常の住宅ローンを扱う部署とは異なる部署が担当することが少なくありません。通常の住宅ローンと比べて時間がかかったり、金利が多少高くなったりすることもあります。ただし、これは金融機関によってケースバイケースです。このようなデメリットもある中で、資産管理会社を作った方がいいのかどうか検討する必要があります。これは個人の感覚ですが、資産1億円以上、年収2000万円以上の方は、資産管理会社を作るほうが、メリットがあるでしょう。

相続で失敗しないために

これまで6回にわたり、相続税・贈与税の仕組みや税率、不動産の評価(価格は複数ある)、不動産と保険の組み合わせ、資産管理会社の活用などを解説してきました。こういった情報は税理士などの専門家に聞けば教えてくれますし、インターネット・雑誌の類にも多少は載っていますが、それにも関わらず相続で失敗する例は少なくありません。私の身近な失敗例とその対処法について解説します。

【失敗例1】金融資産ばかり

銀行預金や株式を沢山持たれていた方が亡くなられた場合です。vol.062の記事お話ししましたが、金融資産を相続した場合は、基本的に「額面=税務上の評価額」として課税されます。銀行預金1億円を相続された場合は、(基礎控除などを考慮しなければ)その1億円に対し税率を掛けられることになります。一方、不動産で保有した場合には、税額は3分の1程度になったりします(不動産による。第2回目の記事をご参照ください)。

【失敗例 2】名義が良くわからない、複雑。いつ買ったか分からない

不動産を相続したものの、その不動産が共有名義(3人以上など)になっていて、相続した不動産について「私は売りたくない」「私は売ってお金に変えたい」など意見が分かれ、なかなか方針が定まらないケースです。方針が定まらないまま、相続税の納期限が来てしまい延滞税が発生する、なんてことも良くあります。不動産を共有で持たれているのは構わないのですが、いざというときに備え、せいぜい2人くらいの名義にしておくことが望まれます。
また、祖父祖母の代で取得した不動産で、取得時期・価格が分からないケースもままありますので、お元気なうちにいつ幾らで買ったか聞き取っておくのも重要です。

【失敗例3】遅かった

相続対策を打つ前に急逝されてしまったケースです。相続対策は当然ながら生前に行わなければ意味がありません。60歳をめどに、一度ご自分の資産の整理や、誰に将来引き継ぐかの計画を立てることをおすすめします。お子さんやお孫さんなど身内の方は、(あなたの資産の相続を)なかなか言いだせません。

【失敗例4】隠れ借金

隠れ借金は、完済しておくか、配偶者にお伝えしておきましょう。お心当たりのある方は、早めに親しい弁護士などに相談しておきましょう。

これまでのまとめ

  • ・相続税・贈与税は、金額が多ければ税率も高くなる、累進課税制。
  • ・相続対策は、不動産に大きなメリットあり。
  • ・資産管理会社を活用するとメリットあるが、留意点も忘れずに。
  • ・不動産のほか、保険などの控除も活用。
  • ・万一に備え、50歳~60歳くらいで相続の計画を立てましょう。
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