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【イベントレポート】フードディストリビューション2019
公開日:2019/10/23
9月11日(水)~13日(金)、東京ビッグサイト青海展示棟にて、一般社団法人日本加工食品卸協会と一般財団法人 食品産業センター主催のもと、「フードディストリビューション2019」が行われました。
現在の食品業界における物流においては、多くの産業界が抱える問題である、コストの問題、トラック運転手などの慢性的な人手不足や、燃料価格の上昇、CO2削減をはじめとする環境保全への対応に加えて、特に農産品の輸送においては、「長時間の拘束」「重労働」「運用管理の難しさ」「小ロット多頻度輸送」といった課題が顕著となっています。
さらに、将来的な海外展開を見据えたコールドチェーン物流の整備や、ICT活用による集荷システムの効率化、鉄道・船舶へのモーダルシフトなど、食品物流の改善に向けた取り組みは多岐にわたっています。
こうした大きな社会背景を含んだ大きな問題に対しては、以前のように、それぞれの企業が単独で問題を解決しようとしても限界があります。業界全体の問題を把握したうえで、効率的な物流戦略立案や、物流システムの構築、物流業務の包括的な実行が可能な食品物流のプロフェッショナルの存在が必要とされています。
食品物流業界全体のインフラ整備に向けた「食品企業物流プラットフォーム」などへの取り組みは、実際に始まっています。
こうした食品物流の課題解決に向けて行われたこの「フードディストリビューション2019」。
連日多くの参加者が訪れ、関心の高さをうかがわせました。
- 「フードディストリビューション2019」来場者
9月11日(水)14,941名
9月12日(木)15,126名
9月13日(金)16,071名
累計入場者数46,138名(主催者発表より)
大和ハウスグループ全体によって、総合的なソリューションを紹介
大和ハウス工業はグループ企業4社(出資会社含む)による、最新の食品物流に関するソリューションを提案しました。
大和ハウス工業はこれまで、食品施設のハードウェア(施設・設備)とソフトウェア(運用技術)の両側面からノウハウを駆使して、「安心・安全」「環境対応」「コスト」「施設計画」という4つのコンセプトを指標とした、高品質な食品施設を提供してきました。
また、昨今は「HACCP」や「GDP」に代表されるように、品質・衛生・温度管理による高い安全基準をクリアする必要があります。大和ハウス工業は、こうした認証取得に関するコンサルティング、サポートも行っています。
食品物流施設においても豊富な実績を持っています。さらに、全国各地において、マルチテナント型、BTS型として拠点、設備、スキームともにお客様の課題にあわせた展開が可能です。
大和リースは、作業者の負担軽減となるレイボエクソスケルトンという作業者の身体の負担を軽減する作業アシスト商品を紹介しました。食品物流での作業は重労働となりがちです。労働者の負担軽減に寄与します。
Hacobuは、大和ハウス工業が出資する、ICTによる輸配送のプラットフォーム化を推進する企業。トラックの物流センターでの待機時間を減らす「バース管理ソリューション」、荷主と運送会社をつなげる「配送マッチングサービス」、リアルタイムで全社の運行状況を確認できる「動態管理ソリューション」などの、ソリューションを紹介しました。
そして、2019年3月に新たに大和ハウスグループに参画した、若松梱包運輸倉庫は、食品物流を専門的に扱う運送会社です。高度な品質と安全を保つコールドチェーン物流やエリアグルーピングによる共同配送によって、高品質とコスト削減の双方を実現します。
また、若松梱包運輸倉庫は、海外事業展開のための「貸チルド冷蔵庫」を提案。アセアン地域や東アジアでの事業展開をサポートします。大和ハウス工業が手掛ける、東南アジアでのサプライチェーン展開と含めて、企業の海外展開を支援します。
食品物流の新しい取り組みは、すでにさまざまな企業、方法で行われています。食品業界のこれからの成長戦略におけるロジスティクスの役割は高まるばかりです。
企業戦略の一環としての取り組みが必要となっているようです。