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コラム vol.113

なるほど納得!土地活用の基礎知識
第6回【土地活用の選択肢を検討する】
いろいろあって迷います

公開日:2016/02/25

そもそも、なぜ土地活用なのか?というテーマから始まり、市場的条件・物理的条件・法的条件・投資的条件とポイントを見てきましたが、こうした視点を持ったうえでさまざまな土地活用の選択肢を検討してみましょう。

駐車場・コインパーキング

更地にして、舗装・区割りをすればすぐに事業がスタートできる駐車場は、最も取り組みやすい土地活用のひとつです。さらに、時間貸しのコインパーキングにすれば売り上げ単価もアップします。
ここで注意しなければならないのは、他の土地活用と同様、投資基礎(その土地を売却した場合手元に残る現金)に対していくらのキャッシュフローが得られるかという視点です。
物理的条件の項でも触れましたが、意外と土地面積に対して駐車台数は取れません。また、地域によっては一日駐車で上限500円という場所もありますし、更地では固定資産税の軽減措置が原則受けられません。
一時的な土地利用であれば立ち退き等が容易な駐車場は魅力的ですが、中長期的な経営ということであれば、他の土地利用方法と比較して判断すると良いでしょう。
ちなみに、駐車場として立体的な土地利用をしようと機械式パーキングを選択する場合、機械メンテナンスなどの運営費にも注意を払ってください。

トランクルーム・倉庫

コンテナなどの設置をすれば済むため初期費用が抑えられるこの選択肢は、需要の有無を調べる必要があります。また、魅力の点は、

  1. 1)区画を細分化できるので単価が高くとれる
  2. 2)採光基準が無いので建築等の制限が緩い
  3. 3)初期投資額が小さい
  4. 4)デッドスペースを利用すれば建物内のレンタブル比を上げることができる

などでしょう。
留意点は、2階以上にすると荷物用エレベーターが必要なこと、書籍・書類・家財は常温・常湿、磁気テープ・美術品は定温・定湿など保管するものによって求められるクオリティーが違う点、あるいは薬品や危険物など不法に置かれるリスクもあります。投資判断は駐車場同様、コストとリターンで考えるべきでしょう。

太陽光発電

他の利用が困難な立地であっても、日照さえあれば収入をもたらしてくれる太陽光発電。政府補助金や一括償却などの恩恵で一気に土地活用方法としての市民権を得ました。大きな収入は見込めませんが空室の心配をすることなく、定期的に安定収入が得られるのが魅力です。
ただ最近は、2014年秋以降再生可能エネルギーの買い取りに対して各電力会社が一転消極的になり、人気に陰りが見られます。
問題は、維持管理コストと最終的な解体廃棄処分のコスト、そして突風被害などの天災や防犯上のリスクです。これらもキャッシュフローに反映させながら投資分析をすると、意外と低い利回りになるケースが多いでしょう。

賃貸アパート

木造や軽量鉄骨造といった比較的軽量小規模な構造の共同住宅や重層長屋住宅は、土地活用ではポピュラーな選択肢といえます。重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると、堅牢性や断熱性、防音性などに劣りますが、工法や仕様によってその差を限りなく小さくすることも可能です。
逆に、建物のメンテナンスコストや減価償却期間の短さ(経費として毎年多く落とせる)、2室を繋げるといった間取り変更などの改修や解体の容易さといった部分でマンションよりも優れた部分も持っています。
ただし、賃貸アパートも賃貸マンションもポピュラーな選択肢ゆえに競合も多く、専有面積、間取り、仕様、賃料設定などが市場にマッチしているか、あるいは投資として成り立つのかどうかといった分析を他の選択肢同様にきちんと行ったうえで判断をするべきです。

賃貸マンション

賃貸アパートに対して賃貸マンションは、堅牢性が高く長期にわたった投資により向いているといえます。賃貸アパートに比べると賃料も比較的高く、入居者付けでも有利な場合が多いでしょう。また、融資面でも融資期間などで有利になります。
売却出口を取る場合でも、買手の融資が長めにとれることもあり販売上も有利です。ただし、エレベーター点検や建物の固定資産税、屋上防水、給排水管といった部分の運営費やメンテナンスコストは賃貸アパートに比べるとかなり負担割合が大きくなりますので、賃料単価がある程度高くとれる地域でないと、維持が困難になる恐れがあります。
これも賃貸アパートと同様に市場分析、投資分析をしっかり行って判断をすべきです。また、建物の重量が大きい賃貸マンション建築は、地盤改良や基礎工事、杭工事で意外とコストがかかる場合が多いので、事業計画を行う上ではそのあたりも調査したうえで取り掛からないと、思わぬコストアップに驚くことになりますのでご注意ください。

戸建賃貸住宅

入居者アンケート調査(21C.住環境研究会)では一般的な賃貸アパート・賃貸マンションと同程度の支持率の戸建賃貸住宅ですが、供給量は圧倒的に少なく需給バランスは貸手優位です(総務省統計局)。
空室損も少なく、共用部分が無いため、清掃や水光熱費といった運営費も抑えられるのが魅力です。
ただし、世帯あたりで使う土地面積が大きい(供給量が少ない理由の一つ)ので、投資分析的に見ると土地価格が賃料に対して高い場所だと「投資効率が低下する」とも言えます。セオリーとして、地価が高い場所は「上に伸ばす」、地価が低い場所は「横に広げる」「広く使う」という理解をされると良いでしょう。また、賃貸住宅を借りるファミリー世帯の多くが子どもは多くて2人、その4割が小学校低学年以下(21C.住環境研究会)なので、あまり大きな間取りのものはニーズにマッチしないということに留意してください。

店舗・オフィス

土地活用のための建築はなにも居住系に限ったわけではありません。商業店舗やオフィスも選択肢に含まれます。駅から遠くても街道沿いの交通量が多い場所であれば、地価ではなく売上予想によって賃料が決まるコンビニエンスストアでもいいでしょうし、人通りの多い場所であれば飲食店や小売店がいいかもしれません。
内装を行わないスケルトン貸しや建築協力金などの初期費用に関する資金的なメリット、運営や管理も居住系物件に比べてコストが安く済むケースが多いようです。
懸念材料としては、撤退された場合や売却出口を取るときに買手の融資が受けづらかったりするところでしょう。

ここで取り上げた以外にも、保育園や高齢者施設など、土地活用方法には本当に沢山の選択肢があります。また、その土地は活用しないで売却し、それで得た資金を元に別の土地を取得してそちらを活用する、あるいはそれこそ何もせずに一切触らないということが最良の選択肢である場合もあるでしょう。 いずれにしても、土地活用の選択肢として何かを選ぶ場合には定量的なモノサシが必要です。そのためにもさまざまな投資指標や分析手法が用意されていますので、ぜひそういった引き出しを増やしていただくか、引き出しを持ったパートナーを味方にしていただくことをお勧めします。 思わぬ失敗や、機会損失を避けることが、きっとできるはずです。 皆様の土地活用の成功をお祈りします。

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